ふしぎロマンス21~予期せぬ事態~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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「あ!いたいた!今から援軍を出動させるわよ!準備しなさい!」
部屋に向かう中、回廊を歩いていると柳宿が前から小走りにやってきた。
「わかったのだ」
すかさず数歩、前を歩いていた井宿が戻ってきて私の手を取る。
「え、なに……?」
「君も当然来るのだ」
「…………」
なぜ私が……!?
いや、待って。この先にいるはずだわ。
「珍し……あんたってこういうの参戦させなさそうだけど……」
「今はそう言ってられないのだ。目を離したら心宿の所へ行ってしまうのだ」
「なんですって!?」
ガシッともう片方の手が取られる。なんですか、もう……私は反逆者か何かですか?
「もういいわ……好きにして」
両手を掴まれたまま、回廊を歩いた。
行き交う女官さんや文官さん、武官さんでさえも何事かと見られた。
もう2人がいいのなら別にいいわ。
……恥ずかしいけれど!!
「皆、充分気をつけるのだぞ」
馬に跨ると、星宿に目を向けた。
星宿。大丈夫よ。
あなたに出陣させはしないわ。私が……何としてでも食い止めてみせる。
「奏多、行くわよ。捕まってなさい」
「うん」
私は柳宿の馬に乗ることになっていた。
体重が比較的軽い柳宿とのペアの方が、馬への負担が軽いからだ。
国境付近の河広市(カコウシ)までの道のりはやはり遠かった。
あっという間に日が暮れ、陣地にて一夜を過ごすことになった。
「……く……お尻、痛い……」
通された部屋でうつ伏せになりながらお尻を撫でる。馬での長距離はどうにも慣れない。
今、七星士は軍議の真っ只中だ。
夜も更けた。動くなら……今しかないのかもしれない。
部屋をコソ、と抜け出した。誰も私なんぞに目もくれないほど周りは慌ただしい。
そんな中、軍議が開かれている部屋に近づくと、中をこっそり覗き見た。
よし、いるいる。
一瞬見えたのは、翼宿と井宿。
その奥に柳宿もいたようだ。そぅ~と後退すると、私は一目散に駆け出した。
走るのはダメだとわかっている。もう既に息が上がり足が重たい。
やはりどんなにこの時代に感化されようと体力は変わず、走りは鈍臭いままだった。
中庭を通り抜けて、外へと出る。この先に行けば……馬がいる。
乗れるかわからない。でも、走るよりは絶対に早いはずだ。
そう、決意してきたのに……なぜ……あなたはいるのかな?
「………………」
せっかく部屋にいるのを確認して走ってきたのに、私の足は止まった。
……行く手を阻むように立つ井宿の姿があった。
「この先は厩舎(キュウシャ)……馬小屋しかないのだ。馬にも乗れない君が、どうしてこの道を通るのだ?」
……わかっているくせに、聞いてくる。
でもそれだけ今、私は温厚であるはずの彼を……
怒らせているのだと思う。
「嘘だったら、今度は容赦しないと言ったはずなのだ」
普段の井宿から想像出来ないほど、その声は低く怒気に溢れていた。
本気で怒らせている。
圧倒されて、思わず一歩下がった。
「どうして勝手に行こうとするのだ。本当に行って無事に帰れると思っているのだ?そもそも、帰ってこれる保障がどこにあるのだ!?」
ズンズン近づいてきて、手を掴まれる。
「っ……い、たいわ……井宿っ」
「君は本気でオイラに……メチャクチャにされないとわからないのだ!?」
……くあ!!なに、そのセリフ!
あ~~っ怖い!ダメだ!本気だ!!
手を引っ込めようとしてもその力には敵わない。
もう片方の手で引き離そうと井宿の腕をとっても、離してくれなかった。
「来るのだ」
ようやく離れた!と思ったらすぐにまた、今度は引っ張って歩きやすいように手を握りなおす。
そのまま半ば強引に来た道を引き返された。
「……いっそどこかに縛りつけておきたいのだ」
なんか物騒なセリフが聞こえてきた!
でも……そう極限まで追い込んだのは……私だ。