ふしぎロマンス20~小さな魂~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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一体、何が起こったというの……。
どうして、透くんが……。
彼らは大丈夫なの……?
「泣いている顔は、なかなかにそそるな」
「!」
虚ろな表情になった透の前に途方に暮れていた時だった。その声は、突如聞こえた。
振り返らなくったってわかる。
そうだ。
これは……あなたがやったことなのよ。
「心宿……今すぐ、彼の術を解いて」
「……私の術はお前達の術者が解いただろう?」
「なに、言って……解けてないじゃない!!」
どこが解けてるっていうの!
今だって彼は……苦しんで……。
「………え……?」
目が……生気が戻っている。しっかりと。
さっきは黄金に見えた瞳の色も、もう黒い瞳に戻っている。まるで、いつもの彼のよう……。
「俺は正気だよ……奏多」
「……な、なんで……」
正気?でも今……今、あなたは……操られていたはず。
「くくっ……さすが透様。私が言わずとも力をお貸しくださるとは」
「と、おる……くん?」
なに?
なにが……起きてるの……?
「透くんっっっ!!!」
ドンッとその胸を叩いた。
悔しい。これは一体、どういう事なの!?
「演技だよ。君をここまで連れてくるために」
「なに……」
「でも心宿に全部話したのは本当だよ。それに術をかけられたのも。軽くかけるという割には、随分苦しかったけどね」
「それは、少しくらい強くないと、あの術者は騙されませんので」
「まあ、確かに井宿は警戒するに越したことは無いかな」
……誰?
いま、目の前にいる人は、誰なの?
この人は、本当に透くんなの……?
「なんっ……なんで、井宿と翼宿を……っ!」
胸がムカムカする。
勝手に体が震えてくるし、涙は出てくるし、本当に腹が立つとこうなるのか。
「奏多……」
「名前を呼ばないで!!あなたは……あの人たちに酷いことをした!」
「…………」
「連れていきたいだけなら、私だけ連れ去ればいいじゃない!!どうしてみんなまで巻き込むの!?」
「……井宿の目はなかなか欺けない。ずっと……君を見ているから」
「だからって……!」
よろよろ、と後ろに下がる。
ここにはもういられない。
早く、早くみんなのところへ行かなくては。早く、井宿と翼宿の安否を知らなくては!
「どこへ行く」
「っ!?」
ドンッと背中が硬いものに当たる。それがすぐに心宿の体だとわかると、バッと離れようとした。
「逃がさぬ」
目が細められたかと思ったら、すぐに何かの力で体がぎゅんっ!と引かれると、心宿にぶつかった。
そのまま、体を抱きしめられる。
「何するの!放して!!」
「心宿、奏多に触れるな。約束は守るはずじゃなかった?」
「……ええ。守りますよ」
心宿がするりと腕を解いた。
約束……?彼と心宿の間に何か取り交わされた約束があるの?
「……無理は承知の上で言うよ」
「……………」
「俺と一緒にいて」
「っ……!」
それをあなたが言うのっ!?大切な仲間をあなたが傷つけたのに!?
「ほんとに、無理な話ね……」
「奏多」
「私はっ……もうあなたを信じられないっ!!」
涙を流し、泣き叫んだときだった。
心宿がピクッと何かに反応すると、さっと身を引いた。
「烈火!神焔ーーー!!」
耳に飛び込んできた、まさに今、欲していた声に心が跳ねた。それと同時に炎が私と心宿の間を通り抜けていく。
「……戻ってきたか」
心宿が目を細める。
手をかざした瞬間、私は力強く引き寄せられると、横抱きにされていた。