ふしぎロマンス19~見えない未来~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
踏み入れた瞬間、透はその場に崩れ落ちた。
「と、透くん!?」
「うっ……ぁ……ああ」
「奏多!離れるのだ!」
ぐいっと井宿が私の方を引き寄せ、透から離そうとする。でも、それと本当に同じくらい、いきなり透が腕をつかんできた。
「えっ……?」
「……一緒に、来るんだ……」
腕をつかむ手に力が入る。
井宿が咄嗟に私を抱き込み、その場にとどまることが出来た。
でも、手が……透に引っ張られて、すごく痛い。
「ちょっと、透!放しなさい!何、やってンのよ!」
「い、痛いよっ……透くん、痛い!」
「奏多……一緒に、来て……」
「まさか……ここに入ると術が再びかけられるようにしくんであったのだ!?」
「なんやて!?そんならこいつは……!」
相手が透という事もあって、みんな手出しができない。それでも、井宿が何か呪文を呟き始めると、透の顔色が変わった。
「お前……邪魔だな」
彼が井宿を直視した。
その目が、キラリと光る。まるで、猫の目のように、キラリと黄金に光った。
「うっ……ぐっ」
井宿が呻く。
堪らず私を抱き包む力が抜ける。その隙を、彼は見逃さなかった。
「あっ!」
瞬時に腕を引き寄せられる。
「くっ……」
「井宿!!透くん!井宿に何をしてるの!?」
尚も苦しむ井宿が、ついには頭を抱えて膝を地面についた。
「おい!どないしたっていうんや!」
「お前も、邪魔だね」
「………!!」
「翼宿!」
「ぐ、ああ……!なんっ……頭が……!」
透が一度直視すると、今度は翼宿までもその場に崩れ落ちた。
これは……この痛み方は。
まさか、“破壊”の能力を使っているの……?
「透くん!やめて!!なんてことするの!」
「……邪魔だ。全て壊してやる……」
「あっ……が……っ」
「ぐ……ぅっ!」
「翼宿っ!!井宿!!み、みんな……!2人を連れて逃げて!!」
「奏多を置いていけないわよ!」
「お願い!!」
井宿と翼宿がこの状態では分が悪い。
軫宿と鬼宿が2人を抱えあげる。
「逃がさないよ」
「あああああっ!!」
「ぐあああっ!!!」
「やめてったら!!みんな!早く!!鬼宿!美朱ちゃんを!!」
「……くそっ、行くぞ!美朱!来い!」
「柳宿は張宿を頼む」
「で、でも軫宿……!」
「今はこいつらを助けるのが先だ!このままでは脳がやられて死ぬぞ!!」
去り際に聞こえた言葉が……耳にいつまでも残った。
このままでは……死ぬ。
誰が……誰を殺すの…?
「透くん!!!」
2人きりになったその場で、思いっきり胸を叩いた。
「なんてことしたの!?井宿だよ!?翼宿だよ!?仲間なんだよ!?」
「……………」
「しっかりしてよ!!なんでっ……なんであなたが傷つけるの……」
叩く力が、どんどん弱くなる。
何がどうなって、どうしてこうなったのか……。
ただただ、涙が頬を伝う。
悲しいのか、悔しいのか、怒りでなのかわからない。もう、いろいろな感情からの涙でぐちゃぐちゃだった。