ふしぎロマンス19~見えない未来~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「透くん、私……」
「……君は戦う。そう言うんだね」
「………うん。心配して言ってくれているのに、ごめんなさい」
「奏多はきっと……そう言うんじゃないかって……心のどこかで思ってた」
「透くん……」
「君にとって、この世界の人達は特別なんだから、当然だよ」
特別……。そうね。その言葉がしっくりくる。
彼らは特別だった。実際に、この世界に来てしまうほど想っていたなんて。
やれることは、全部やろう。
「柳宿。美朱ちゃんと鬼宿を呼んできてくれない?」
「美朱と鬼宿?」
「ええ。神座宝を、手に入れよう」
本当なら美朱が塔に一人で行く。そこで婁宿(タタラ)に遭って、美朱に神座宝を渡してくれる。
でも、その未来はもうないようだ。
美朱はまだこの家にいる。鬼宿と。
そこに慌ただしく、昴宿と奎宿(トカキ)が入ってきた。
「大変だよ!今、連絡があって……婁宿が白虎廟から連れ去られたって!!」
その言葉を聞いて、柳宿がすぐに部屋から飛び出した。美朱を呼びに行ってくれたんだろう。
「……青龍が召喚されるのも、時間の問題だ……」
「でも透くん。婁宿が唯に神座宝を渡すとは思えないわ」
「心宿がそばにいるんだ。彼に何をする……わからないよ。心宿はなんでもする」
「っ……」
「彼の体力から考えると……急いだほうがいい」
そうだ。彼が白虎廟から出てしまえば、老化が進む。
心宿が手荒くしていたら、さすがに神座宝を護り抜くことは出来ないかもしれない。
焦る気持ちを胸に、私たちは美朱と鬼宿が揃ったところで、寺院へと急いだ。
「いい?張宿、油断しちゃダメよ」
「特に字が消えてしまっては厄介なのだ」
寺院について、真っ先に柳宿と井宿が張宿のそばにつく。
「せやな。こいつ、コケたり叩いただけで字ィ消えてまうもんな。………って、おまえのこと言っとるねん。聞いとんのか!」
張宿は顔を強ばらせていた。
まだ13歳という幼さだもの。この先、死んでしまうと聞けば、怖いのも無理はない。
落ち着かせようとした時だった。ポカっと翼宿の拳が張宿の頭を掠める。
誰もが「あ。」と口に出した。
暫し固まる。そして……案の定、最悪な展開となった。
「………っ……いたいよぉ」
「やってもうた………」
「翼宿ーーー!!!あんた、言ったそばから何してくれてンのよ!?」
「つい手が出てしもうた!張宿、はよ字ィ出さんかい!」
「ひっ……」
「余計、怖がってダメじゃないのよ!!」
「なんでじゃー!!」
なんだってこうも……緊張感が感じられないのかしら。
「まるでコントだね」
「透くん。私も今、同じこと思ってた」
「でもこれが彼らのいいところ、なのかな」
「……うん」
「急ごう。どの道、心宿にはバレているだろうけれど」
それでも、入らないわけにはいかない。
私たちは足を踏み入れた。