ふしぎロマンス19~見えない未来~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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「……まだ……だよ」
「……奏多?」
「まだ私は……帰れない」
「奏多!」
「まだ、諦めない……!」
透の腕をするりと外す。まだこの手をとるわけにはいかないから。
「私、本当に助けたいの。死んでいい人なんていない。それは……心宿もなの」
すんなりと、声に出せた。これはもう、先のことではないのだろうか。少しも頭は痛くない。
「心宿が……死ぬやて?」
「……心宿だけじゃない。このあと、張宿もだ」
「ぼ、僕……ですか?」
「透くんっ!」
彼も痛む素振りもなく、張宿の未来を言い放つ。
「本来なら、柳宿……張宿、星宿、軫宿……君たちは死ぬはずだった」
「……俺も、なのか」
「ほ、星宿様もだなんて!紅南国の皇帝陛下なのよ!?」
「……嘘、やろ……そないなこと、あるかい!!」
「なぜ……なぜ今になってオイラ達に話せるのだ……?」
なぜ……。考えたくない。
私たちが未来のことを言える理由なんてただ1つ。
「先のことを話せるのは……つまりは未来が変わったからだ」
信じたくなかった。
でも、痛みのない事実がそれを物語っているような気がした。
みんなの視線が、私に集まる。彼らも本当のことなのか、信じられないのかもしれない。
「……本当、なの……。張宿も軫宿も、星宿も……戦いの中、死んでしまうの……」
言えたことが、こんなにも複雑だなんて。
だってそうでしょう?未来が変わってしまったということは……もう……。
「どう……しようっ」
誰にいつ、危険が迫るのかが……わからないということだ。だから、本来なら生きるはずの……未来さえもどうなるのかわからない。
「あっ……。ダメ……いやよ……」
「おい、大丈夫かいな」
「た、翼宿……死なないで!」
「へ?」
「井宿も……死なないで!!」
そうだ。生きるはずの彼らが、無事に生きるのかも……わからない。
そう思ったら、これ以上にないほど震えた。
怖くて仕方がない。どう動いたら彼らも護れるの?
みんな、ちゃんと護れるの!?
「死なないのだ」
「せやな。オレが死ぬわけないやろ。何やねん。勝手にあたふたしよってからに。死ぬなんて有り得へんわ。わかりきっとるで」
彼らを見れば、彼らは全員、笑っていた。
「奏多さん。これはいい方に考えられます」
「そうだな。死ぬとなっている俺達も、これからはわからないということだろう?」
「そーよ。現にあたしは死んでないわ。これからだって死ぬつもりないわよ」
「……張宿……軫宿……柳宿……」
なんて前向きなのだろう。
勝手に怖がっている私は、なんて小さい人間なのだろう。
「ずっと……あんたはこれを怖がっていたのね。みんな、死んじゃうから」
「……うん……」
「このことを、夢で見ていたのだ?」
井宿に優しく問いかけられ、これまでに見ていた夢を思い出す。
「……ずっと、七つの光のうち、四つの光がパッと消えて……それが怖かった」
「そんな夢、何を不安に思うことがあるのだ」
「だって……!」
「もう大丈夫よ。みんな、それぞれ気をつけるわ」
「僕も気をつけます!奏多さんを悲しませたくありませんから」
「張宿……」
みんなが、とても頼もしい。大丈夫。
きっと、大丈夫なんだ。
この時の、安易に考えていた私を……私はいずれ恨むことになる。
もっと慎重になるべきだった。悔やんでも、悔やみきれない。
それだけ私たちが成そうとしていることは、大変で大きなことだった。