ふしぎロマンス19~見えない未来~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
柳宿から告白されてしまった。
夢でもないらしい。だとしたらこれは……今ここで茶化すことなく話さなければならない。
「柳宿」
名前を呼んだ時だった。
部屋にバタバタと昴宿が駆け込んでくる。
「奏多ちゃん!ちょっと、来てくれるかい!」
その声が緊迫していて、私はすぐに立ち上がった。
みんなもただ事ではないとわかり、すぐに意識を集中させる。
「今、表に人が倒れてたんだよ!それもすごい怪我をしてね」
「人やて!?誰や!」
「わからないよ。ただ、ずっと“奏多”って言ってるんだよ。あんたの知り合いかと思ってね。一緒に来てくれるかい?」
「……はいっ!」
心臓が嫌というほど速く打ちつけた。
胸がざわざわする。こんな嫌な気持ちがする時は、いいことなんてない。
「ここだよ!」
案内された部屋に入る。
ああ、やっぱり……
嫌な予感はしたんだ…………。
「透くんっ!!!」
布団に仰向けで寝ていて、胸を上下に大きく動かすほど息を乱している。その顔は痛みが酷いのか、歪められていた。
「な、何があったんや……」
「酷いな。これは……鞭か何かで打たれたのか?」
軫宿が素早く体中の傷をチェックする。
痛々しいまでにつけられた傷は、無数に赤くミミズ腫れになってしまい、特に酷い部分は皮膚が裂け、血を流している。
ムチ……?
そんな、ムチを使う人なんて……。
「やっぱり知ってる人だったんだね」
昴宿の声がして、透のそばに膝をつく。
「大事な人ですっ……昴宿さん、教えてくれてありがとうございます……」
一体、何があったというの……!
「奏多……ごめん……」
弱々しい声が聞こえた。それと同時に苦痛に歪められる顔。透は自分の頭に手を添えるとくしゃりと髪を握りしめた。
「……ごめん、奏多………全部……言ってしまった……」
………え?
「全部……話したんだ……っ」
それは……一体……
「ど、どういうこと……?」
「いッ……つぅ……ッ」
「話はあとがいいだろう。すぐに治す」
苦しむ彼を見て、軫宿が手をかざした。
軫宿の力は大切にしたい。その思いは透にもあったのか、透は軫宿の手を自分の手で制した。
「………ダメ…だ………軫宿、力……つかうな………っ」
「お前まで……俺に使うなと、言うんだな」
軫宿が「どうする?」と私の顔を見てくる。
どうする?そんなの……決まってる。
「私が治す」
横になっている透にすぐさま口を通して力を与える。その場にいるみんなに止められる間も与えず。
唇がうっすら開いたところで深く重ねた。彼は力尽きたようにじっとしていた。傷心しきっていた。
なぜ、こんなになるまで……。そして、全部話したとは……。
嘘であって欲しい。
私たちは無理に話せない。それを話したということは……そんな……そんなことって……っ。
「っ……」
悲しみが沸き起こり喉が詰まった。一旦、息をつこうと口を話そうとすると、今までダランと横になっていただけだった彼の腕に力が入るのがわかった。
そのまま体を引き寄せられ、彼は上体を起こして貪りついてきた。
「んっ……!透……くんっ」
息をするタイミングもないほど、口内をかき乱された。離れる隙もないくらい、ただ無心に口づけられた。
「待っ……」
どんどん苦しくなって、ついに手で彼の胸を叩いた。それを合図に強く引き離される感覚と同時に、抱き込まれる感覚。呼吸もやっと出来た。
「っ……はあ……はあっ……」
「大丈夫?」
「ぬ、柳宿……」
「すまんな。もう、ええかと思て」
「翼宿……」
見れば、軫宿と井宿が透を押さえ込んでいる。
「何か様子が変なのだ」
井宿に言われて、透を見る。体中にあった傷は綺麗に消えていた。それなのに……透は苦しそうだった。
「透くん……?」
「……奏多……俺から離れて……っ」
ぎゅっと胸のあたりを服ごと掴む。
「透くん、どうしたの……?」
「……何か……術を、かけられてる……っ」
「え……?」
荒々しく吐き出された声に、事態は更に緊迫した。