ふしぎロマンス18~定まらない感情~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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これは夢だと思う。その夢の中、こ 暗闇の中で佇む。
私はどうしたらいいのだろうか。
ーー我ハ、此処二イル……
それは突然、頭に直接響いてきた。
「だ、だれ……っ!?」
聞いたことのない声だった。
あたりを見回しても何もない。変わらず闇のままだ。
ーー我ヲ……求メヨ……
「求めよって……」
ーー……我ノ、代ワリヲ……
夢の中だというのに、急激に息苦しくなった。その場にしゃがみ込む。
「……はあっ……はっ……も、戻らなきゃ……」
夢の中で死ぬなんて、そんな馬鹿なことあるわけがない。だと思うのに苦しみが続くと不安になる。
息を荒く吐きながらぎゅっと目を閉じる。
起きろ。起きるんだ。
目……覚めてよ……!
「奏多!!」
名を呼ばれた。その声が聞えたことに、心底ホッとした……。
「……っ……はあ……戻って……これた……?」
「………君は……大馬鹿なのだ!!」
「寝起き早々、バカって……」
「抜けているところがあると思っていたが、ここまで馬鹿だったのだ!?」
ピシャリと言い放たれる。あまりの剣幕に自然と体が萎縮した。
「井宿……お、落ち着いて……」
怖々その顔を見る。
敷かれた布団に寝かされていたらしく、その横に完全に怒っている井宿がいる。
「これでどう……落ち着けと……」
「戻ってこれたし……」
「誰が戻したと思ってるのだ!?」
………………。
はい?
「……自力で……」
「オイラが戻したのだ!!」
「…………井宿、が?」
…………ふう。
それは、なんだ。つまりは……。
「……私にしたわね!?」
思わず口に手を当てる。夢から引き戻すやり方なんて……あれしか知らない。
「悪いのだ?」
「ひ、開き直った!?」
「あのまま異空間にいたかったのなら謝るのだ。しかしどうなっていたか……苦しそうに暴れる君を見てそのままにしていたらよかったのだ!?どうなのだ?」
「うっ……」
そう言われてしまったら……文句なんて言えない。
「……ごめん、井宿」
「少し対策を考えた方が良さそうなのだ。無意識だとおちおち寝てもいられ……」
「また嫌いになった……?」
「………なに……」
「ごめんなさい……」
どうしたら好かれる?なんてことは思わない。
ただ……もう嫌いにならないで欲しい。
これ以上、嫌いに……ならないで。
「……そんな顔をされると、困るのだ」
「え……?」
「自分でも……戸惑っているのに……」
戸惑ってる?
「1人が好きだったのに……人は1人では生きられないのか……」
「井宿……?」
「…………」
井宿の面が外される。
すっとした瞳が見られたかと思うと、すぐに目を閉じられる。
「………オイラには、無理だ……」
井宿の手が、目の傷に添えられている。
……今、あなたは……昔を思い出しているの?
私が、苦しめているの?
井宿はすぐに面をつけた。そこには変わらず、笑みを浮かべた顔。
「井宿……?」
「オイラはやることがあるのだ」
「やること?」
「陛下にご報告するのだ」
「……あ!ねえ、私も見れる?」
報告と聞けば、あれだろう。今は脇に置いてある鏡に目が行く。
「君は本当に……侮れないのだ」
そう言うと、井宿は私の額に触れてきた。
「……まだ熱がある。軫宿もそろそろ回復するはずなのだ」
「大丈夫よ、これくらい」
「いや、陛下にはまた今度会わせるのだ。軫宿のところに行くのだ」
それは、有無を言わせない語尾だった。