ふしぎロマンス18~定まらない感情~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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美朱を鬼宿に預け、私は駆け出した。
角宿にやられうつ伏せに横たわる……氏宿のもとへ。
すごく血が流されていた。ピクリとも動かない。
同じだ。鬼宿の妹、玉蘭と。
だったらまだ、間に合うかもしれない!あの時と同じ、流星錘でやられているのだから……。
同じように私の血を、氏宿に与えられたら……。
地面に手をついた瞬間だった。その手を……それも両手を、乱暴に掴みあげられた。
右手を井宿に、左手を翼宿に。
「やめるのだ」
「させへんぞ!」
……私の考えなんて……筒抜けだった。
「ま、まだ助けられるかも知れない!」
「アホ言うんやないで。心臓刺されてたまるかい!」
「でも……氏宿だって……!」
「もう完全に息絶えている。君の力でも無理なのだ」
「……やってみなきゃわからない!!放して!!」
いえば言うほど、掴む手に力が入る。
……痛い。
どうしてさせてくれないの。人ひとりの命がかかっているのに……。
「もう、よせや……」
「君が呵責に苛まれる必要はないのだ」
「……っ」
初めて……七星を失った。話す機会はなかった。
でも私がもっとうまく動いていたら、彼の運命も変わっていたのだろうか。
抵抗する力がなくなった所で、2人は私の手を放した。そのまま顔を覆った。涙が止めどもなく溢れてくる。
「氏宿……ごめんなさいっ……」
あなたのことを止められなくて。あなたを救えなくて。
もっと私が……しっかりしていれば……っ。
「奏多、あんたが気に病むことなんてないのよ……」
「……ううん………。もっとやれることあったと思う」
氏宿の亡骸に近づいて膝で立つ。翼宿がまた、肩に手を置いて止めに入った。
「……違うわ、翼宿。氏宿を……土に還すだけ……」
「なんやて?」
なぜ、そう言ったのかわからない。そんなことが出来るとも思ってなかった。
でもこの時は、そうするのが普通とばかりに手が、想いが一人でに動いた。
「……地よ、この人を安らかなる道に導け……」
ふわっと温かな風が私と氏宿を包み込んで彼を持ち上げた。
彼の体が仰向けになった所で目を閉じ、氏宿の傷を再生した。
傷だらけだった傷も塞がり、破けていた服も再生される。
「なんや……あいつの目……」
「また……黄金になったわ……」
そのまま彼の体の上に手をかざし、そっと下に下げていく。
ぽわぽわと光が漂い始め、氏宿の体が地に溶け込んでいった。
「………氏宿………ごめんね……」
現れた光が消え始め、最後の光が消えた瞬間……私は力尽きた……。
真っ暗な世界に目が覚めた。
いや、目が覚めたと言ってもいいのだろうか。だってこれは、夢の中だとすぐにわかったから。
今度は一体どんな夢……?
ああ、この感覚は予知夢のようなものだ。だったら、ちゃんと見て覚えておかなくては。
いざ、意気込んでみるものの、いくら待っても何も流れ込んでこない。
さすがに暗闇に居すぎて不安になる。
まさか……夢の世界に……取り込まれてしまった……?