ふしぎロマンス2~夢と出会い~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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引っ張りこまれて思わず目を閉じた。
体に掛かっていた負荷がないと感じると目を開けた。
「うわ、瞬間移動しちゃった……」
そこは宿の一室だった。
これがいわゆる、井宿の瞬間移動ですか。
「何を……やってたのだ……」
…………げっ。
バッと身を起こし状況を確認すると、部屋の中で2人して座り込んでいた。
井宿は尻をつき、私は膝をつき……井宿にもたれ掛かっていた。
「わお!」
井宿の上から退くと、井宿はすぐに手首を掴んできた。
……痛い。
「井宿……怒ってますね」
「当たり前なのだ」
「……ごめんなさい」
井宿の放つオーラが禍々しい。
あのお面をしてなかったら……考えただけで恐ろしい。
「危なくはなかったのだ?」
「あ、うん。それは大丈夫」
「そうか」
むしろ、あなたのお仲間に会ってきました、なんて……言えないわ。
「怪しいのだ」
「へっ?」
「何か隠してるのだ」
……するどいなー!もう!!
「別に、何も」
「町で巫女がいたと耳にしたのだ」
「え゛」
「会ったのだ?」
お見通しじゃん!!
「んと……偶然……ほんと、会うと思ってなくて……」
「やっぱりなのだ」
「でも井宿のことも私のことも話してないわ!」
「だ?」
「ボロが出そうになったけどそこに井宿が来てくれたから助かった。でも……柳宿に会えて、嬉しかった」
「…………」
「巫女もとってもいい子だよ。井宿もそう思うよ」
「オイラが?」
「うん。純粋でまっすぐ。まだ若いから無茶しちゃうこともあるけれど」
倒れてた……あれからどうなっただろう。
この後、あの子達は何をするんだっけ。
翌日、井宿がいきなり空を見た。
「巫女の……気配が消えた……」
呟いた言葉に思い当たる記憶がある。
「太極山……」
「本当に……何でも知ってるのだー」
「じゃあ、やっぱり……」
「だ。太一君の元から帰ったのだ」
「そっか」
じゃあ、何か?
今日……今……
「井宿!!」
「だっ?」
「倶東国に瞬間移動して!!」
「だあっ!?」
道端で井宿に詰め寄る。何度も何度もお願いする。
でも井宿は頑なに無理だと言った。
「井宿!!」
「無理なのだ!!どれだけ遠いと思ってるのだ!?」
「あなたなら出来るわよ!さあ!早く!!」
「む、無理なのだ~!そんな簡単にひょいひょい、行ける場所でもないのだ」
「早くしないと!早くしなきゃ……!」
走り出したところで意味が無いのに、いても立ってもいられず走る。
それもすぐに井宿から引き止められた。
「何をそんなに慌ててるのだ!?」
「早く……助けなきゃ……美朱ちゃんの友達が襲われる……」
「だっ!?」
今、思い出したとしてもしょうがないのに。
美朱が戻ったのなら……あの子が来る。
名前……名前はそうだ。
唯、だ。
「井宿……ほんとに、無理?」
「……すまないのだ……」
そうか……。
私もあの子を傷つけてしまった。
あの子は今、とても苦しいだろう。それに……あの者がつけ込むだろう。
助けてあげたかった。
もっと早くに思い出して井宿に伝えていたら……違っただろうか。
「井宿……」
「…………」
「ごめん。困らせて」
「大丈夫なのだ?」
「うん。帰ろっか」
井宿はうなづいて歩き出した。
これから3ヶ月くらい、美朱は帰ってこないはず。
その間、私は……それに井宿は……どうするのだろう。
巫女でもない私は井宿とずっとはいられない。
私は、ここで何をしたらいいのだろう。
私は……
何ができるのだろう。