ふしぎロマンス2~夢と出会い~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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「ちょっと!まだ話は終わってないわよ!」
「あ、髪が……」
「髪が何なのよ!話逸らすんじゃ……!」
「そっか……鬼宿の髪はここで切れちゃったのか」
「あ、あんた……たまちゃんの名前まで……」
柳宿は袖で口元を隠した。
でもすぐに、私の腕をつかむ。
「痛っ……」
「ほんと、あんた……何者?」
「…………」
「あんたも……七星士なの……?」
……あ、そっちに捉えましたか。
柳宿が顔色を伺ってくる。
「ごめんなさい。違います」
「なっ……じゃあ、なんで……!」
驚くのも……無理ない。
明らかに怪しい人と思われているだろう。
でも……今は何より……
柳 宿 が 生 き て る
「え……ちょ、ちょっと……!?」
なぜ、そうしたのかわからない。
気がつけば、柳宿を抱きしめていた。
夢の中で消えていく光の中のひとつ。
消えさせたくなかった。
「おねがい……死なないで……」
「な、に……わけわかんないこと言ってんのよ……?」
突然現れて、突然変なことを言われて抱きしめて……。
絶対に突き飛ばされてもおかしくはないのに、柳宿はしなかった。
ただ……私の背中を撫でてくれた。
それだけで……
涙がこみ上げたーーー。
「あたし……あんたのこと好きだもん!!」
その声にハッとして、柳宿から離れた。
「あ、あの……あの……」
やばい、完全に変質者だ。
血の気が失せる。
「……あんた……」
「はいっ!すみませんでした!」
「……そんな顔されちゃ、怒るに怒れないじゃない」
「へ……?」
どんな顔をしてるんだろう。
思わず顔を触ろうとする。
だけど、聞こえてきた鬼宿の声に手が止まった。
「………悪いな。オレ、そういう感情ねェから」
あぁ、やめて。
そんなこと、言わないで……。
「お前が“朱雀の巫女”だから護ってるだけだ」
鬼宿の言葉に、私も柳宿も動けずにいた。
でもすぐに美朱がその場に崩れ落ちたことで、私はすぐに駆け出した。
「……美朱ちゃん!」
美朱に向けて背を向けていた鬼宿が私の声によって振り返る。
「美朱!?おい!どうした!」
「どうしたじゃない!あなた、よくも想いを告げた子に冷たく出来るわね!」
「なっ……」
「ただ、女の子に慣れてないだけなんでしょ……それは意気地なしよ!!」
「なんだ、お前!誰だよ!」
「いいから早く宮殿に連れて行って!すごい熱があるんだから!!」
正直、出しゃばりすぎた。
あとで思えば、こんなことをしなくても2人は想いが通じ合えるのに。
鬼宿は仏頂面で私を見たあと美朱を抱き上げた。
すっかり美朱は意識を手放し、ぐったりしている。
「美朱ちゃん……どうか……元気になって」
美朱に近づくと、一瞬、鬼宿は後ろに下がり美朱に触れさせまいとした。
けれど、それを柳宿が止めた。
そっと美朱の額に手を置く。
熱い……。この世界でがんばりすぎてる。
まだ中学生という若さなのに……。
少しでも、よくなって。
そう思って、頭を一撫でした。
この時は気が付かなかった。
手が離れる時には、美朱の表情が少しだけ和らいでいたことに。
鬼宿が美朱を連れていった後、そこには私と柳宿がいた。
……非常に気まずい。
「で、あんたは誰なの?名前は?」
「え?あ~……い、いえー?ただの通りすがりの旅人です」
「嘘おっしゃい。こんな小娘が旅ですって?」
小娘って……。
あなたよりかなり年上なんだけど……。
逃げるか。
今この時の柳宿は女性の格好をした柳宿。なら逃げ切れるかもしれない。
じり……と足を動かした時だった。
ふわっと、布らしき何かが私と柳宿の間に入り視界を遮る。
その色と模様で、井宿の袈裟だとすぐにわかった。
袈裟から手がにゅっと出てくる。
私の首の後ろに手が回ったかと思うと、そのまま引っ張りこまれた。
あっという間の出来事で声にならない。
「なっ……何なのよ~……!きもちわるっ」
ただ柳宿の声が微かに聞き取れた。