ふしぎロマンス15~護れるのなら~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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首を横に降った。
それはどういう意味なの?ダメなの?彼らが一緒にいたらいいのよ?
七星が揃っていたら、柳宿だって……。
「奏多。少し出よう」
「え?あっ……」
まだ話の途中だというのに、透は私の手を掴んでそのまま立たせる。
待って。今ここで離れてしまっては話に加われない。それじゃあ、回避することも出来なくなってしまう。
力強く引かれる手から離れようともがく。戻らなくては……っ。
「ダメだ!」
「ッ……」
抵抗を見せるとさらに手に力が込められてそれは痛みに変わった。
驚いて見上げると透は顔を近づけ静かに諭した。
「……ダメなんだ。大人しくついてきて。気づかれたら頭が痛くなって話せなくなる」
外に出たところで、透が振り返った。
「透くん……どう、して……」
「俺たちは今は見守るべきだ」
「な、に……言ってるの……?」
本当に、何を言ってるの?
「君は柳宿を助けたい。そうでしょ?」
「そうよ。ここでみんなが離れなかったらきっと……」
「その気持ちはわかる。でも考えてみて。“今”、未来を変えてしまっては本当に未来がわからなくなる」
「……え?」
よく、わからなかった。
「待つんだ。変えたいなら。もっとあとまで。ギリギリのところまで待って未来を変える努力をした方がいい」
「どうしてなの?」
「俺たちはあの本のことならわかる。でも、ここで変えてしまっては、これから起こることがわからなくなる」
ハッ、と息を呑んだ。
「何が起こるかわかっていれば、救うこともできるかもしれない。でも、状況がわからないと……俺たちは間違いを起こすかもしれない」
「ま、間違っ……間違えられない!失敗できないわ!!」
思わず透にすがりつく。私の体をしっかりと支えてくれた。
「俺もしばらくは君たちといる。唯もここに来ているのはわかるね?」
「え、えぇ……きっと、来てるわよね。鬼宿が、会ってしまうのよ」
「そう。その間に柳宿と美朱は青龍七星に狙われる」
「青龍……あ、したれ……」
声が震える。
「そう。尾宿が動き出す」
「ど、どこまで見守っていたらいいの……。危険に晒したくない」
「俺が柳宿と一緒にいるよ」
「透くんが?でも、そうしたら……!」
「俺は簡単には殺られないよ。近づくことさえ、出来ないから」
透の能力を思えば、風に破壊。確かに接近しなくても戦える。
私がそばにいるよりも……きっと安全……。
「俺が柳宿を守るから、君は……そうだな、井宿と一緒にいるといい」
「井宿?」
「彼はしっかりしてるから安心できる」
「う、ん……それはそうだけど……」
「絶対に、井宿といるんだ。絶対、こちらに来てはダメだよ?」
肩に手を置かれて、目を覗き込まれる。
不安で仕方がない。それでも……今は無闇に動いて間違ったことになるのが怖い。
「うん……わかった」
彼に頼るしかなかった。
「あんた達、戻ってこないと思ったらこんなとこにいたの?」
見ると、皆がお店から出てくるところだった。
「柳宿……っ、髪の毛が……」
「あぁ、これ?女に見られてちゃ護りたいもの護れないしねェ……」
「柳宿……」
「これもなかなか似合うでしょ?あたしってばホント何でも似合うのよね~」
あぁ、もう……ほんとに……っ
「柳宿」
たまらず、抱きついた。
「え?な、なによー」
「すっごく……かっこいい」
柳宿の強い意志が伝わる。
「奏多……ありがと。素直に、嬉しく思うわ」
柳宿。
あなたのことは、絶対に護るから。
「暫く君たちと行動させて欲しい」
透が言い放った言葉に、私以外の皆が驚きの表情を浮かべた。
「あんた、青龍七星士の仲間じゃないの!?」
「力を貸しているだけだよ。この世界に来た時に、心宿に拾ってもらった恩があるから」
「それだけなのだ?」
「そうだよ。この世界に奏多はいないと思ってたからね。でもいるなら話は別だ。俺は一番に君の無事を願うよ」
「透くん……」
「今から分かれて探すんだろ?俺は美朱ちゃんたちと行くよ。奏多は井宿、君に任せる」
そう言うと、そっと私を井宿のそばに行くように押した。
「なんやねん。守る守る言うわりには別々になるんやな」
「翼宿、一緒にいるだけが守るということじゃないんだよ。それに……」
「あ?」
「今回は離れていた方が安全だ」
透の気持ちがわかるだけに、言葉を返すことが出来なかった。美朱たちや、翼宿たちと分かれて、井宿、張宿とともに歩き出す。
「さて、闇雲に探したくはないが……どこに行けばいいのだ」
「この街の人たちに聞き込むしかないでしょうか」
井宿と張宿が話し合う。七星の中で、最年長と最年少なのに話が噛み合うってすごいことだ。そこにむしろ私は入れていなくて居た堪れない。
でもこの時間は意味がないとはわかる。神座宝の場所はわかっているのだから。
……そうよ。どこにあるか、わかってる。
私、どこにあるのかわかるわ!話すことが出来れば、動いていいということよね。