ふしぎロマンス15~護れるのなら~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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「…………あれ?」
痛みがなかなか来ないから目を開け今の状況を見た瞬間、こんなお決まりなことってあるんだ……と一瞬冷静に思う自分がいた。
「………風………」
私の周りに風が集まっている。体ごとふわふわと浮いていたかと思うと、スィーっとすぐ横に動いた。
「奏多、無事?」
風が止んだ、と思った瞬間に体が抱き締められる。見上げると……いるはずのない透が立っていた。
「透、くん……?」
「もうそろそろ、ここを通っていくんじゃないかと思って。当たったね」
それじゃあ、待っていたというのだろうか。でも、どうして……。
「奏多ー!」
柳宿達がこちらに向かってきている。思いのほか彼らから離れていたようだ。
「あ、あんた……透!?」
私の隣にいる透に視線が集まる。
「あれ?俺のこと、知ってる?初めて会うと思ってたけど」
「あ……えぇとー……太一君の鏡が突然現れて……それで……」
「太一君の鏡……あぁ、それじゃあ見たの?全部?」
察しのいい透に顔を覗き込まれて、カァッと熱くなるのがわかる。
「ふふ。……そっか。だから柳宿と井宿、ものすごく警戒してるんだね」
そう。先程からものすごく険しい顔をして透を見ている。そして透は鬼宿にものすごく嫌悪の顔を向けた。
「やあ、鬼宿。無事に鬼宿に戻ったようだね。戻ってこないから心宿が驚いてたよ」
「お前……」
「奏多。こっちにおいで。鬼宿の近くにいたら危ないよ。まぁ、もう襲わせないけど」
「透くん……!」
「な、んだよ……それ」
やばい、やばい!
鬼宿と目が合う。めちゃくちゃ怪しんでる!
「鬼宿を戻したのは……美朱ちゃん?」
「それは……」
「……うーん、奏多の顔を見るに……やっぱり行かせるんじゃなかったかな」
「透くん……」
「ごめん。君が護るためなら自分を犠牲にしてまでするってわかってるんだけど……やっぱり嫌だな」
みんながいるというのに、彼は私の唇を親指で拭った。
「……っ!」
驚いて身を引くものの、すでにそれはされた後で、一気に顔が熱くなる。
「ちょっと、あんた。何しに来たのよ。まさかまた奏多を連れ去ろうってんじゃ……」
「そんな気持ちはなかったかな。ただ俺は……奏多を護りに来ただけ」
「え……?」
護る?意味がわからずにいると、透がじっと私を見て口を開いた。
「昨夜、奏多の夢を見たよ」
「私の夢……?」
「うん。笑ってくれていたのなら心配しなかったけど、ずっと泣いてたんだ」
「えっ……」
「ずっと泣いて……泣き叫んでた。ずっと……“柳宿”って呼んでた」
「あ……」
同じ時に、私の夢を見たんだ。
まさか、そんなことが……。
「心配で飛んできた。元気な姿を見て安心したよ」
「ご、ごめんなさい。元気だから、大丈夫だよ」
柳宿をチラリと見る。驚いた顔をしてる。
「でも馬から振り落とされてるし、どうしてひとりで馬に乗ったの?乗れないよね」
「それは……」
真実を伝えたら、それはそれで怖いことになりそうだ。そう思って言葉を選んでいる時だった。
来た方の道から、美朱達の姿が見えた。
「鬼宿ー!!」
軫宿の馬に張宿と乗って、その馬を軫宿が引きながら走っている。
その横で翼宿も走っていた。
「ホンマ……すまんかった!!」
翼宿に馬のことで再び頭を下げられた。
今回は落ちて痛い目にあったのは翼宿なわけだし、謝られるつもりはなかったのに。
「翼宿、謝らないで。私こそごめん。怪我なかった?」
「別にどうってことあらへん」
「ホントに?」
「俺が治した。心配ないぞ」
ほらやっぱり。軫宿が治すくらいだもの。
それなりに痛いことになってたんじゃない。
「軫宿、力を使わせてごめんなさい」
「気にするな。大して使ってない」
「それで、奏多さん!この人は同じ世界から来た人なんだよね?」
美朱が興奮気味でススス……と寄ってきた。
「あ、うん。美朱ちゃんは何度か会ってると思うけど……」
「俺、君に謝らないと。初めて会った時、君に弓を向けてしまったから。怖がらせてごめんね?」
「あ!い、いいえ!別に当らなかったし!奏多さんが護ってくれましたし!」
美朱ちゃん、顔真っ赤だ。
うん。わかるよー。透くんに真正面から見られて顔が赤くならない人はいないんだもの。
でもね美朱ちゃん。隣で鬼宿がすっごい顔してるけど大丈夫かしら。