ふしぎロマンス14~女誠国~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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軫宿の前に膝をついた。軫宿の服の合わせ目をわずかに開く。広い胸板がピクリと動いた。
「じっとなさっててね?」
また猫なで声を出した。まだ……見られているから。でも視線は私に向けられている。
これなら、柳宿が動けるはず……。
「まー、すごい……オホホ」
って、なに柳宿までガン見してるの!?早く井宿の鎖外してっ。
ギ、と目線で伝えてみるものの、柳宿は困ったように小さく首を降る。よくよく見れば柳宿近くにも女が2人ほどついていた。
隙がないのね。こうなったら、もっと視線を集めるしかない。
ごめん、ごめんね……。
……無理矢理なんて……。嫌なのに。
それを私は今、軫宿にしてるんだ……。
チュッ、と鎖骨に唇を這わせる。軫宿は声を出すわけでもなく、抵抗するわけもなく、ただ体を硬直させ、喉だけ動いた。
私はここから救い出すためとはいえ、大事な仲間に何をしてるのだろうか。
胸元を肌蹴させ、そこに口づけしていく。視線を集める。集めれば柳宿が自由になる。
触れるか触れないか。手を下腹部にまで下げ、軫宿の中心部をさすればさすがに軫宿が身じろいだ。
「……そこまでなのだ」
その声にピタリと手が止まった。その後すぐに「むんッ」と気を高める声。
あたりがパァッと明るくなった。
「もういいわよ。遅くなってごめんなさいね」
「柳宿……」
柳宿が私の腕を引き寄せ立たせる。続いて軫宿を立たせる時に鎖も引きちぎった。
「逃げるわよ!!」
柳宿に引っ張られるように走る。すぐあとに軫宿も井宿と一緒に走ってきた。その胸元は肌蹴たままだ。
「軫宿、あんたアレ……よく耐えたわね。すごいわ……」
「……いろいろと、危ないところだったがな……」
「ほんとに奏多に食われるかと思ったわよ」
「俺もだ……」
「軫宿っ……ごめんっ、ごめんねっ」
走りながら叫ぶ。軫宿はふっ、といつもの優しい目を向けてきた。
「いい。驚いたが役得なんだろう」
「軫宿……」
「今は喋ってる暇はないのだ。ただでさえ君は走るのが遅いのだ」
「う……」
「……翼宿を見習わせてもらうのだ」
「えっ……」
井宿は前に走っていったかと思うと、くるりと振り返る。ちょうどそこに私が走り向かう形になって、そのまま……肩に担がれた。
「なーーっ!!!」
「なるほど。いい考えだ」
「あっ!美朱たちよ!」
美朱、鬼宿、翼宿、張宿と落ち合った時、たくさんの武装した女の人が見えた。
「お前ら、無事やったんやな!」
「えぇ、そりゃあもう、見物だったわよ~。ふふふっ」
「柳宿!余計なこと言わない!!」
「なになに?何したンだよ」
「奏多が軫宿にぃ……」
「柳宿ー!!!」
「いいから逃げるのだ!」
「あいつらも全員男だ!!生け捕りにしろ!」
「ひどーい!あたしは正真正銘女のコよーっ」
「同じく!女って確認したくせにーっ!!」
「そーよ、失礼ねーっ」
「お前は男やろが!!井宿、そいつ抱えて走れるんかいな!かわったろうか!?」
「オイラはそんなひ弱ではないのだ。いいから走るのだ!」
ここには一体何人の女がいるのだろう。次から次へと、わらわら現れる。
私たちは散り散りに西の城壁に集まることになった。
「井宿……!美朱ちゃんから離れちゃダメ!」
「そんな事言われてももういないのだっ」
「ええっ!?」
外に出て空を見る。一箇所だけ、雲が集まり始めていた。
「井宿、私置いてっていいから、先に……」
「バカなこと言ってる暇があるなら黙ってるのだ!!話しているとさすがに息が上がるのだっ」
「……うっ……ごめん」
そう言われてしまっては黙る他ない。黙り込んでその揺れに身を任せた。
「あれは……」
井宿が思わず立ち止まる。何か緊迫した様子に、私も身をよじり前方を見た。
「あ……あの光はっ」
明るくなったと思うと、城壁の上に一気に落ちた。
ドォォォォォォン……!!!
「ッ……!!」
あまりの音の大きさに体がビクつく。
なかなか滅多にないよ。雷をこんな近くで感じるなんて。普段はそんなに気にならないのに、やけに心臓がバクバクする。
「大丈夫なのだ?」
「あ、うん。音にびっくりしただけ……」
すぐにまた、立て続けに雷が落ちた。今、まさに美朱は狙われているのだ。
「井宿!美朱が……っ」
「わかっているのだ」
井宿はすでに走り出していた。城壁に続く山道を走る。前方に柳宿と翼宿が見え始めた。軫宿に張宿も傍にいる。
全員が城壁についた時だった。
「バカ、美朱!ぬくな!!」
焦りに満ちた鬼宿の声が聞こえてきた。