ふしぎロマンス14~女誠国~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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「こちらのお部屋にどうぞ」
「ありがとうございますですわ」
女性に変身した井宿が対応する。井宿の口調は女になっても変なのね。
部屋に入るまで、ずっと握られていた手が離れる。
「井宿、私ほんとは具合なんて悪くないから」
「わかってるのだ」
「……やっぱりか」
井宿はなんでもわかる。私が思うことはすぐにバレる。今だって、私が軫宿を探しに行こうとしているのがわかったんだ。
井宿は可愛い女の子のまま、ため息をついた。
「軫宿はオイラにまかせておくのだ」
「井宿って……なんでもお見通しなのね」
「だ?……そんなことはないのだ」
「絶対そんなことある。人の心でも読めるの?」
「読めるわけないのだ。わからないことだらけなのだ……」
「どうだか」
ふい、と視線を外した。なぜだろう。今はあまり……井宿と話していたくない。
「奏多」
名前を呼ばれて、思わず反応してチラリと見る。
「……なんで変身の術、といてるのよ」
その姿はいつもの井宿で。そしてなぜか、思いつめたような表情をしてるように思えて、目が離せなかった。
「どうして……泣いたのだ」
「………え?」
「オイラは、ちゃんと説明したのだ。それなのに……どうして泣いたのだ」
あのことだ。あの時、泣いたことを言ってるんだ。
また、胸が苦しくなる。
「そんなの……こっちが知りたいわよ」
「奏多……」
嘘だ。ほんとは、わかる。嫌だったんだ。
あの言葉で、あの行為がただの使命感からやったことだと、思いたくなかった。でも……それを認めたくない。
どうして、そう思うのかも、自覚したくない。
「オイラの何に泣いたのだ?」
「もう、いいって……」
「よくないのだ!わからないと、また同じことをしてしまう気がするのだ!」
「だからっ、もう井宿の“気”はいらない……ッ……ち、ちり、あれ……」
「どうしたのだ……?……まずったのだ」
言い合っていて、気づかなかった。扉を開けて見ている……先ほど案内をしてくれた女性がいることを。
「おと、こ……?男だわ!!」
すぐに部屋から顔を出し、大声で「男がいますわー!!」と叫んだ。
「井宿!まずい!逃げて!!」
「オイラのことはいいのだ。このまま軫宿の所に行くなら場所がわかっていいのだ」
「んな、悠長な!ここはね……ッ」
こんな時に頭が痛くなるなんて。すぐにバタバタと武装した女性が入ってくる。
「井宿!」
「平気なのだ。それより、君は誰かと合流するのだ!一人でいるなっ!わかったのだ!?」
「わ、わかった……!」
問答無用で引きずられていく中、井宿が必死に言った言葉に頷きながら応える。
パタン、と扉が締まり、1人残された私は、血の気が引いた。
「ま、まずい……井宿まで捕まるなんて!」
こんなことはなかった。井宿が捕まるなんて……私のせいだ!
「い、かなきゃ……誰かと、合流……しなきゃ」
実際、私だけで井宿と軫宿を助け出すなんて無理だ。助けを呼ばなくちゃ。
震える足をパンッと叩き奮い立たせ、手始めに隣の部屋に入ってみた。
朱雀の巫女御一行なのだ。部屋も隣接してるかと思ったのに、私たちがいた部屋の周りにはいなかった。
「どこにいるのよ……もう!」
走りすぎてヘトヘトになって来た。……我ながら情けなさすぎる。
「早くしなきゃ……2人の目が……」
考えただけでゾッとする。ハァ……と壁に手をつき、息を整えようとした。
壁に手をついたと思ったのに、体重をかけた途端その奥へと倒れ込んだ。