ふしぎロマンス14~女誠国~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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「貴様ら!そこで何をしている!!」
それは突然現れた。
武装した1人の女性の後ろに、軽装ではあるものの武器を持った沢山の女性たちがいた。
「あ、あの!あたし達あやしい者じゃないんです!」
美朱が口早に説明する。武装した女性が、じ……と私たちを見てきた。
「ん?この中に男がいる!!」
あ あ、軫宿が捕まってしまう。そろり、と近寄り軫宿に小声で言った。
「軫宿、必ず助けに行くわ」
案の定、すぐに控えていた女性らに連れていかれて行った。なおも武装した女性は私たちを鋭く観察した。
「や、やっだー。あの人男だったのォ?幻ちゃん信じらんなーい」
「あたしもォ。全っ然気付かなかったーっ」
………さっきまでイヤイヤだったって言うのにこいつらは……。でもこれで疑いの目もなくなるはず。
「そこのお前!お前も男だろう!!」
……そこのお前?誰?
キョロキョロと見ても、誰のことかわからない。
「お前だ!!髪は長いが男だろう!」
「……私?」
え、本気で言われてる?
「えぇーーーっ!?失礼な!女ですけど!!と言うか他の人を差し置いて私だけ疑われてるの!?嘘でしょ!?」
「お前が一番、みすぼらしいからだ!」
なんですと!?確かに年季入ってることには間違いないけれど、破けては再生して元に戻していたのだ。
みすぼらしいわけがない!
「だったら証拠を見せろ!」
「証拠?え、美朱ちゃん、女の証明ってどうしたらいいの?」
「わ、わかんない……」
「ごちゃごちゃうるさい!女だというならここで脱げ!」
「なんですと!?」
思わず体を抱きしめる。この人は何を言ってるのか。
「ここは女しかいない。何を恥じらう必要が?」
……めちゃくちゃ男がいますからー!!って、言えないし……。見ると、思いっきし視線を外してるし。
「もう……なんなのよー」
「ちょっと、あんたホントに脱ぐつもりじゃ……」
「脱がないわよ。脱ぐよりこっちの方が手っ取り早いわ」
私はそう言うなり、脱げと言った女性の手をとった。その手をズボッと自分の服の合わせ目から中に入れる。
「ほら、ちゃんと女……って、揉まないでくれる!?」
「……確かに。疑ってすまなかった」
「いえ、別に……」
「しっかりとしたふくらみ、大きさもあって柔らかい。本物だ。服が体にあっていないだけだったか」
「く、口に出さないでもらえます!?」
顔が赤くなるのを感じながら周りを見れば、バッチリ聞いたのか耳を赤くする翼宿と鬼宿。
……って、鬼宿もかい!!
女性はそれから誰にも疑いの目を向けることなく、王に合わせるからと城に案内された。
ひどい……どうして私だけなの。これも!これも!こっちも!そっちも!!男なのに……!!
と、じろりと柳宿、鬼宿、翼宿、井宿を見る。
柳宿は美人だし、張宿は女の子みたいだし、井宿はそれこそ完璧に女の子になってるからしょうがないとしても……。
翼宿と鬼宿に負けたと思うと……くやしいっ!こんなガタイのいいやつらに……っ。
すぐに美朱が“朱雀の巫女”だとわかると宴が開かれた。目の前に並ぶたくさんの料理に、美朱はバクバク食べている。
「あんた、食べないの?」
「あ……うん、ちょっと食欲が……」
ここがどういう所かわかるだけに、手が出ない。だってこのお酒……あーあ、鬼宿たち飲んでるし。
「……おぇ」
「ちょっと、大丈夫なの?あんた、さっきも倒れたんでしょ」
あ、そうだ。何も今ここにいる必要はない。
「どうかなさいました?」
ちょうどのタイミングで声がかかる。私はこれでもかと言うくらい、演技をした。
「あの……実は体調が優れなくて……」
「まぁ」
「良ければどこかで休ませてもらえませんか」
「えぇ。お部屋にご案内しますわ」
「あたしもついていくわよ」
「あ、ほん……」
「私が行きますわ」
「はい?」
私の言葉に被る声。見るとあの可愛らしい子に変身した……井宿が笑みを浮かべて立っている。
「あぁ~。そうね、それがいいわ」
柳宿は井宿が行くなら安心とばかりに座り直す。いやいや、柳宿でいいんだけど。柳宿が、いいんだけど。
すでに井宿はこちらに手を差し伸べて待っている。
……拒む選択肢は……ないのか。
「手を貸しますわ」
なんで声まで可愛いんだ。でも病人のフリをしなくては。手を重ねると、その容姿からは考えられないほどの力強さで引き上げられた。
男、出てるよ……。
よく見たら所作に男らしさが出ているのに、その井宿に負けた、と言う気持ちが更に私の気分をズンと下げた。