ふしぎロマンス14~女誠国~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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私がいた部屋は1番奥だったようだ。ドアを開けると、軫宿が立っていた。
「奏多……大丈夫か?」
「うん、もう……熱も下がったんじゃないかな」
「いや……その、泣いてるみたいだが」
「え……」
自分の頬を触ってみる。確かに濡れている。
「あ……うん。大丈夫よ。夢でも見てたのかな?」
「……そうか」
「美朱ちゃんは?」
「3人とも無事だ。今、あの部屋に……」
その時だった。船が大きく揺れ、振動が体を直撃した。立っていることが出来なくて、その場にうずくまる。
「一体今度は何が……」
「船が止まってるわ……」
今まで揺れていたふわふわとしていた感覚がいきなりピタッと止まった。
「どこかの島に乗り上げたようなのだ」
後ろから声がかかる。一瞬、体が強ばった。
「わ、私……美朱ちゃんの所に行かなきゃ」
「奏多。着替えが先だ。濡れたままは ではまた熱を出す」
「軫宿。大丈夫よ」
ここにいたくなかった。今は早くこの場から離れて、美朱たちのところへ行きたい。
「美朱ちゃん!柳宿!鬼宿!!」
「奏多さんー!」
「お前、倒れたって聞いたけど、大丈夫なのか?」
「奏多!あんた、どうして濡れたままなの!?」
「みんな……元気ねぇ……もう、クタクタよ」
「なんやねん、お前はヨボヨボのばあさんか」
あぁ、翼宿のこのノリに救われるわ。
「……やっぱ具合悪いんとちゃうか?」
「え?」
「いつもならさっきのでどつかれとるわ」
「お望みなら……やってあげようか?ん?」
「……イエ。結構デス」
じりじり近づいていると、美朱が悲鳴を上げた。
「この鎧は……船から落ちたうちの兵士じゃねェか!」
茂みの中に、目玉をくり貫かれた遺体。
「うっ……」
「ちょっと、大丈夫!?」
直視してしまった。現代人にはきつい。
槍とか刺さってるし。血みどろだし。というか、目がない時点で無理だ……。
「こ、これは……」
「張宿、なんや?」
「まずいです……ここは……」
張宿が思い出したようだ。
「みなさん!今すぐ“女装”してください!」
張宿が説明をする。
あ、そうだ……と思った時には既に張宿が転倒して、足の甲の字が消えてしまっていた。
「痛いよぉ~」
「あちゃー……遅かったわね」
「おい!“男”はなんや!?お前、知っとるんやろ!」
翼宿が私の肩を揺さぶってくる。確かに知っている。でも……。
ズキンッ……!
この面倒臭い体質め……。
「翼宿、やめなさい。痛がってるわ。聞いちゃいけないことなのよ」
「……ごめん。ただ……張宿の言う通り早く着替えた方がいい」
私の言葉を受けて、船に急いで戻っていった。
「奏多さんも着替えてきて?」
「みんな行っちゃったら美朱ちゃん1人になっちゃうわ。それに服は乾いてきたし」
「オイラがついてるのだ」
「!?」
「あれ、井宿。着替えに行ってなかったの?」
「美朱はオイラが術が出来ることを忘れてるのだ」
「あぁ!なるほどー!変身できるんだ!」
「……………」
まただ。また、一々反応している自分がいる。
何を意識してるの。相手は自分より下の男の子じゃない。
「だから早く着替えてくるのだ」
「……いいわよ、別に。ほんとに乾いてきてるし」
「君はそれでまた……!」
まだ何か小言を言われそうになる時、船から意気揚々と歩いてくる柳宿が見えた。
「美朱ー!奏多ー!着替えてきたわよ~!」
その明るい声に救われる。タッと駆け出し、柳宿のそばに行った。
「柳宿!可愛い!!似合うわね!」
「でっしょ~!ほんと、あたしってば女装が似合うわよね~」
「張宿もかわいい!」
「あ、ありがとうございます」
「あら、井宿も意外とやるじゃない。あたしには負けるけど」
見れば井宿も既に可愛らしい女の子になっている。……ほんと、どこかの娘さんにいそうな顔立ちだこと。
「さあて、問題はあの3人よねェ……」
柳宿が言って、後ろを見る。つられて目で追うと、その先には……。
「…………」
やばい。
ダメよ。ダメ……。笑うなんてほら……失礼……。
「ブハッ……」
おっと。まずいまずい。でも既に横で美朱が指をさし、腹を抱えて大きな声で笑い転げている。
私だって我慢してるのに……!我慢しようとすればするほど……顔が緩んじゃう……!
「こぉら笑っとんのはバレバレやで!!」
「た、翼宿……ちがっ……似合う。かわいいよ、ほんと……っ、ぷっ……くくくっ……お腹、痛い。お腹プルプルするっ!やめて……ふふっ、こっち見ないで」
「笑うか話すかどっちかにせい!!」
「あ、軫宿だ!………おお」
「…………」
正直、これは見たくなかったかも。ごめん。
軫宿はどうがんばっても女の子には見えない。