ふしぎロマンス2~夢と出会い~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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「井宿のお守り、あっという間に売れちゃった。すごーい」
宿に向かう中、井宿が稼いだお金を仕舞いこんでいるであろう服の併せを見る。
賭け射的をしたあと、井宿のお守りを売りに出た。
あれよあれよと奥様方が買い求めにやってくる。
井宿も得意の笑顔で器用にも売り捌いていった。
「井宿って……こうやって生活してたんだ……」
「だ?」
「ちゃんと人付き合い、出来てる」
「背に腹は変えられないのだ。それよりも……」
「ん?」
「武器屋に行くのだ」
「武器屋?」
井宿が欲しいものでもあるのだろうか、と思っていたら、着いた早々、目の前に弓と矢が。
「えっと……」
「あるに越したことはないと思うのだ」
「私の!?」
「だっ。手に取ってみるといいのだ」
これは……
絶対に高い……!!!
「井宿っ!で、でも私の弓は実戦向きじゃないと思うけどー……」
「持っていないよりも持っていた方がいいのだ」
そう言って弓を見る井宿の目は真剣だった。
声色からそれも伺える。
こうなってしまって、拒否という選択肢は選ぶことは出来なさそうだ。
「結局、買ってるし……というか、結構重いのよね」
「筋力つければいいだけなのだー」
何の問題もない、と言わんばかりの声に、ジロリと見る。
また私に部活動ばりに練習しろというのか。
高校を卒業して何年経つと思っているのだろう。
すでに腕がだるい。
きっと明日には筋肉痛になっているかもしれない。
この日はまた同じ宿に戻り、案の定早々に休むことが出来た。
「はぁ~、さっぱりした」
「それは良かったのだ。今日は焼き魚を用意してみたのだ」
「焼き魚ー!?いつの間に!?」
この宿は小さいながらもお風呂があった。
戻ってみると井宿が小さな台におにぎりと焼き魚を並べて待っていた。
「すごい!美味しそう!」
「嫌いじゃなくてよかったのだー」
「嫌いだなんて、そんな!」
ウキウキと台の前に座る。
台を挟んで前に座る井宿も嬉しそうだ。
昨日の夜から主食を半分こ、ばっかりだったもんね。
食べられただけでもありがたい事だけれど、やはりご飯にお魚は嬉しかった。
「だ?奏多、まだ髪から水が落ちているのだ」
「しょうがないよ。ドライヤーなんてないんだし」
でもちゃんと拭いた、と言おうと思った。
思った言葉は、井宿が動いたことで止められてしまった。
なんだろ?と思った時には手ぬぐいが頭に被さる。
そして……
思いっきり拭かれた。
「ち、井宿!?」
「世話が焼けるのだー」
「ちょっと……!!!」
井宿の両手が器用にも髪を拭きあげていく。
髪を誰かに拭いてもらうのは小さい頃以来だ。
本当に……この世界に来て、慣れていないことばかり。
これ……普通にあることなの……?
わしわし、とされているはずなのに心地よくて、つい、じっとしてしまう。
あー、美容室に来てるみたい。
「こら、寝るんじゃないのだー」
「あ、ごめん。つい」
「髪が長いと乾くのも遅いのだー」
「それ、井宿も同じじゃん」
「オイラは長いのはここだけなのだ」
ペラ、と自分の後毛を見せる。
いや、前髪も長いよ?井宿サン。
井宿に拭いてもらって、先程よりもかなり髪が軽くなった。
それでも……たしかに不便だ。
魚を食べつつ、ふいに「髪を切ったら楽かな?」と呟いた。
今は胸下くらいにあるけれど、ボブにするのもありかも知れない。
だけど、井宿は「そんなことする必要ない。拭けば済む話なのだ」と言った。
どの世界も長い方が好きなのかしら?
特別な意味を持って伸ばしていたわけじゃなかったけれど、この時ばかりは伸ばしたままにしてようかな、と思った。
我ながら、単純。
「さ、明日もまた稼いでおくのだ。早めに休むのだ」
「はーい」
この世界に来て2日目。
これなら、やっていけるかも知れない、そう思った。
井宿はいずれ巫女の元へと行くだろう。
だから明日は、自分でどこか働ける場所を見つけに行こう。
そう、心に決め、眠りについた。