ふしぎロマンス13~痛む心~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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翌日。
この日、都で星見祭りがあると村の人から聞いた。
美朱は見に行っただろうか。そもそも美朱は太一君に言われてしまっているのだろうか。
“恋慕の情を捨てろ”と。
「なんや、全然なんもあらへんやないか」
翼宿が春敬くんの相手をしながら呟く。
確かに昨夜は風が強かっただけで、特別変わったことはなかった。
「なんでここ来たんや?」
「ええと……」
「まだわからないのだ」
「そうだな……奏多はまだここにいたいんだろう?」
「うん……もう少しだけ」
すると、裾をツンツンと引っ張られた。
「うん?」
「ねぇねぇ」
「玉蘭ちゃん。どうしたの?」
きょとんと素直な眼差しで見上げられる。
腰をかがめ目線を合わせると、玉蘭は首を傾げながら聞いてきた。
「お姉ちゃんが兄ちゃんのお嫁さんじゃなかったら、どの人のお嫁さん?」
「………はぃ?」
なんとも、突拍子もない質問が来たもんだ。
「はあ!?なんやて!?」
「……だぁ……」
「子供らしい見解だな」
玉蘭の視線は彼らに向いている。
あはははは。そういうこと?
「玉蘭ちゃん、残念だけど、誰のお嫁さんじゃないの」
「違うの?お嫁さんになれないの?」
「うっ……」
刺さった。これは子供の小さな疑問だ。
大して深く考えなくてもいいというのに、何故か現実的に聞こえてその言葉に……ぐっと来る。
「お嫁さんに……もうなれないのかもね」
「なれるよー!」
「なれるかな?」
「すきって、あいしてるって言ったらいいんだよ!」
……的を得てる。
子供はどの時代の子もすごいわね。
「……なんか、えらいもん見せられとるなぁ……」
「最近の女の子はしっかりしてるのだ」
「この子は一体どこでそんなことを……」
男達が私たちの会話を呆気になって聞いている。
「だからね、言って!すきって!そしたらお嫁さんにしてもらえるよ!!」
「………ん?」
言え、とは?
「いま!?」
「そう!誰が好きなの!?いるんでしょう!?」
いやいやいや、なぜそうなる。
子供の率直な考えなんだろうけれど……これは……。
チラ、と後ろを見れば、困った顔をしてる3人が。
少しは助け舟、出してくれてもいいのだけど!?
「えーと、玉蘭ちゃん」
「なぁに?」
「私……あの人たちより年が上でお姉さんなの」
「上じゃダメなの?」
「正直に言うともう年も年だし、もらってくれるなら喜んでお嫁に行くところだけど……うんと……そうね。この人とかね!」
「どわっ!なんやねん!」
私は翼宿を引っ張った。突然過ぎてビックリされた。
「この人なんて……」
「な、なんや……」
翼宿の顔をじっと見る。いい男だ。
だけど……だけどねぇ!!
「……11個も下なのよ……」
……はぁ。悲しい現実。
「なんやねん!!ガキ扱いすな!」
「犯罪だわ……高校生に手を出すようなもんよ」
「意味わからんわ!」
「じゃぁ、この人たちのこと好きじゃないの?」
玉蘭ちゃん、なかなか諦めないわね。
「すきすき。軫宿とか、いい旦那様になってくれそうね」
「……俺に白羽の矢を立てるのか」
翼宿から離れて、そそそ……と軫宿に寄り添う。この際、早く納得してもらわなくては。
「軫宿、協力してよ」
「俺は所帯を持つ気はないな」
「……少華さん、好きだもんね」
「あぁ」
何気にこれはこれで……ショックだ!でも少華さんに勝てるわけもなく帰って申し訳ない!
早く話を変えなくては。
「玉蘭ちゃん……もう、あっちで遊ぼ?お花摘んで首飾りでも作る?」
「作る!」
……この手ですんなり行きますか。
気にもしてなかった“結婚”の言葉を嫌でも思い出してしまった。
この世界にいてはそれは夢となり……元の世界に戻れば……。
果たしてその時に不思議な体験をした私をもらってくれる人はいるのだろうか。
やだやだ。考えないようにしとこ。
純粋な笑顔を向けてくる玉蘭に、現実を突きつけられた気がした。
その晩も、風が吹き荒れたが、何事も起きることなく朝を迎えるはずだった。
でもそれは明朝。
彼らはやって来た。