ふしぎロマンス12~錯誤する想い~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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「美朱ちゃんの所に行ってくるね」
部屋を出ていく奏多を見送った柳宿は、星宿へと視線を向けた。
「星宿様、本当にこれでよろしいのでしょうか」
問いかけられた星宿は、神妙な顔で答えを探していた。
「奏多があそこまで言うのだ。鬼宿も覚えてはおらぬし、無事に鬼宿も四神天地書も戻ってきた」
「そうですが……」
「しかし、なんとも想像をはるかに超えることが起こっていたのだな」
星宿は翼宿を見やる。
彼から自分の体は奏多が治したと聞いていたが……まさか、直接、口に受けていたとは。
「あの男、透は奏多と同じ世界の者か?」
「そのようですわ」
「そうか。黄龍の力を使いこなしているようだ。心宿の真意もわからぬし、心穏やかには過ごせそうもないな。用心するに越したことはないであろう」
「ええ。そうですわね」
「(……ここにも心穏やかじゃなさそうなのが2人いるみたいだけどねェ……)」
柳宿は今も喋らずにいる井宿と、翼宿に目を向ける。
「(どうしたものかしら……)」
柳宿は廊下を歩いていると、前方に奏多の姿を見つけた。ゆっくり歩いては、時折休んで背中をさすっている。
「(まだ辛いのね……)」
力を使ったあとの軫宿では完全には治りきっていなかったのかもしれない。
柳宿は足早に追いついて声をかけた。
「奏多」
「あ、柳宿」
「美朱の所はもう済んだの?」
「うん、ちゃんと話してきたよ」
奏多が僅かに自分を見上げて微笑んできた。その顔を見れば、美朱とは上手くいったのがわかる。
「美朱ちゃんって、ほんとにいい子だよね」
「そーねェ」
「こんな私のことも笑って許してくれるんだよ?好きな人に……あんなことしたのに」
「あんたは美朱にとって、好きな人を救ってくれた恩人だもの。許すも何もないでしょ」
奏多は首を降った。どうしてこのコはそんなに気落ちしているのだろう。
「私がいなかったら……美朱が救ってたんだ」
「……え?」
「私がいるから……」
このコは何を言ってるのだろう。
途中で言葉が途切れれば、奏多は顔を俯かせた。
「なーに、らしくない顔してンのよ」
「いや、だって……」
「(ふぅ……しょーがないわね)」
柳宿は一息吐くと、奏多の顔をのぞき込んだ。
「……あら、やだ。今のあんた。女に見えるわ」
「…………」
「(あ、固まった)」
「………え、私、女だけど……え?男に見えてた?」
「そんなこと言ってないわよ」
「やだ、まさか……お手入れしてなかったから!?男性化してきた!?」
「あんた、お手入れしてなかったの?」
「この状況でできるわけないじゃない!!」
悲愴な顔をしてる姿に柳宿はくすくす笑う。
見ていて飽きない。これが、奏多の魅力なんだろうか。
「ねぇ、奏多。部屋に来なさいな。あたしの着なくなった服、あげるわよ。ついでにお茶もしましょ」
「え?服?どうして私に?」
「あたしはもう、あまり着てないじゃない?」
「そう言えば……着ないの?」
「あれ、動きづらいもの」
「……それを私にくれるって?私も動きづらいの嫌よ」
「もーいいじゃない!!ほら、行くわよ!」
あんたの方が綺麗だし似合いそうだから。それに、あたしが女の格好してたら守れないじゃない。
そう言っても良かったが、言ったら奏多はどういう反応を見せるのだろう。
喜ぶ?困らせる?後者の方ならと思うと、柳宿はそっとその言葉を胸にとどめた。