ふしぎロマンス12~錯誤する想い~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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皇帝の煌びやかな服を身にまとった星宿の前に鎮座する。私の後ろには一緒に来た七星たちがまた一列に並んで座っている。
「奏多、話せるか?」
高い位置に座っている星宿が静かに聞いてきた。
「……美朱と、鬼宿は今どちらに……」
「あの者達がいたら話せぬか」
「……聞かせたくないし、知る必要も無いと思う……」
星宿は控えていた家臣を呼び寄せる。家臣が脇に下がると、もう一度こちらに目を向けた。
「あの2人がこの部屋に近づくのを止めてもらった。これで話せるか?」
「……話すって言っても、どこから……」
「最初からや!」
最初ってどこよ。考えて思いつくのは、鬼宿が蠱毒を飲まされたところからを言うのだろう。
「……話すと長くなりそう……」
「それでも、何が起こっているのか知りたいのだ。話してくれまいか」
やはり星宿に出てこられては逃げ場がない。
話すまで聞く。その気持ちがひしひしと伝わってくる。
斜め後ろにいるだろう、翼宿を見やる。
……ドヤ顔。めちゃくちゃ勝ち誇った顔をしていた。
しょうがない。
差し障りのないところを掻い摘んで話すしかないと決め込んだ時、ススス……と右手側に大きな鏡が現れた。
その確かに見覚えのある鏡に井宿も驚いた。
「なんや?あのでっかい鏡は……」
「あれは……この世のことをすべて記憶してある太一君の鏡なのだ」
「この世のすべてやて?」
え、なにそれ。こんなこと、知らない。
こんな……鏡がでてくるなんて。まさかこれで見せる気なの?本気?
「み……見せなくていい!話すから!ちゃんと話すから見せないでよ!」
「奏多!ちょっと落ち着いて!」
これが落ち着いていられるわけがない!
今から何を見せるって!?私は何を……してきた!?
空中に投げかけた言葉は、無情にも聞き入れてくれなかった。自分の思いとは別にヴォン……と鏡に映像が映し出される。
………終わった………。
こんな羞恥プレイは初めてだ。
鏡はすべてのことをダイジェストに見せた。
誰1人として口を開けない。私は顔すら上げられない。
鬼宿にキスされたところも、透に頬を染めたところも、美朱と翼宿を庇い、背中をやられたところも……。
傷だらけの翼宿に口付けをしたところも、透に睡眠薬を飲まされたところも……。
それだけで終わるわけもなく、心宿に気を送ってもらっている寝ている自分も……。
透とのやり取りさえも映し出された。
告白され、狼狽えている自分を見るだけでも恥ずかしい。
極めつけは……心宿に鬼宿の部屋に連れていかれた時。さすがに抵抗する声と共に聞こえてくる愛撫の音には耳を塞いだ。私が塞いだところで、ここにいる人には聞こえていたというのに。
「あいつ……なんちゅー男やねん……!しばいたらんと気がすまんで!」
「翼宿!ま、待って!!」
「なんで止めるんや!お前……お前のそれは……無理矢理やないか!」
「ッ………」
翼宿が私の首を見て自分のことのように顔を苦痛に歪める。
話したら、こうなるだろうと思った。あなたは……ううん。翼宿だけじゃない。みんな……真っ直ぐで優しい人だから。
「奏多……私達はどうしたらよいのだ。鬼宿は仲間だ。しかしそなたにしたことは……」
「星宿。鬼宿は記憶がないの……。知った所で悩み苦しむだけだよ……」
「それくらいのことを……したのだ。そなたに……」
「鬼宿だけじゃない。苦しむのは美朱もなのよ?」
美朱の名前を出すと、皆がハッとした。
「やっと美朱は好きな人に想われたの。すごく幸せそうだった。きっと今も鬼宿は美朱と一緒に、今という幸せを噛み締めてると思う」
「あんたは……それでいいの……?」
柳宿の声が震えてる。
「これのことを言ってるなら……それでいい」
そっと首に触れた。
「鬼宿にされたと思ってない。ほんとに……別人みたいだったから」
「だからって……怖かったのには違いないでしょう!?」
「怖いのは……鬼宿と美朱がこのことを知ったら……その方が怖い。でも……鬼宿に自分から口づけたことは話そうと思う。だってどうして戻れたのかわからないでしょう?」
「ちょっと……本気なの!?」
「隠されて、後で知った時の方が……私は嫌。それに……」
ふと脳裏によぎる私に言われた言葉。夢の中での出来事だったからか、鏡には映し出されなかった井宿の部屋に行った時のこと。
ーーあれは術の一種であって、変な意味は無いのだ
あれから、どうしても頭にある。
「……あれは再生の能力を使っただけで、口付けに変な意味はないもの」
言ったら気持ちがわかるかと思った。でも……ちっともわからなかった。
井宿を見れば、バツの悪そうな顔で視線を外していた。