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タリーア公国

 神父マシューと行商人ロビンの船出の日は春のよく晴れた暖かい日だった。少し不安そうな顔で甲板から街を眺めているマシューにロビンは笑いかける。
「なぁに、そんなに気負わなくてもなんとかなるって」
二人は二十年来の親友で、人見知りの激しかった四歳のマシューに出来た初めての友達が七歳のロビンだった。この旅に出るきっかけを作ったのも他ならぬロビンである。
 ロビンの父親が管理するワーナー商会は国内でも五本の指に入るくらいなのだが、ロビンは七人兄弟のうちの五番目のために行商というていで厄介払いされていた。そのぶん航海資金は多めに用意されていたのだ。
「…なんとかなるの?」
「お前と俺なら大丈夫だって!気楽にいこうぜ」
「ロブがそう言うならいいけれど…やっぱり少し不安だな」
「マシュは心配性だな、なにかあったら俺が守ってやるって言ってるだろ」
 ロビンは胸に手を当て得意げに誓う。その言葉にマシューは「僕はレディではないんだけどなぁ」と呟いて笑った。

二人を乗せた船は空色の海にまっすぐ進む。潮風に吹かれながらマシューとロビンはこの先に待ち受けるすべてに期待と希望を抱くのだった。
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