「おはよーござーまーす」
「おはよう…って、愛奈さー…普通に挨拶出来ないのか？」

タイムカードを切って自分の席に着いて隣の席の、何だかんだ小さい頃からの腐れ縁の後輩のロイドに挨拶をすると、呆れた様子で挨拶を返され突っ込まれてしまう。

「大丈夫だって、ロイド君や。上司にはちゃんと媚びへつらい丁寧な挨拶を心がけてるからさ」
「いやいや、俺にもちゃんとした挨拶してくれないか？一応会社なんだしさ」
「そんな私、見たいか？」
「………いや、想像したら恐ろしかったからやっぱいいや」
「お前も大概失礼な奴だな、おい」

「おはよう。朝から賑やかだな、二人共」

失礼な事を抜かすロイドに軽くチョップをかましていると背後からクラトス部長に声を掛けられ、私は直ぐに目上の者に対する態度で対応した。

「あ、クラトス部長。お早う御座います」
「父さ……部長、お早うございます」
「ロイド、此処では父と呼ばぬよう何度も言っている筈だが。何時になったら直るのだ」
「分かって…ます…」
「あの、クラトス部長は何故此処に？」
「ああ…リフィルに用事があってな」
「主任に、ですか。では、呼んで参りますので少々お待ち下さい」

私は主任のリフィルさんに声を掛けに行くと、待っている間にクラトス部長とロイドが話をしていた。ロイドの様子を見た感じ大方説教であろう。ドンマイ、ロイド。

「お早う御座います、主任」
「あら、おはよう。どうかしたのかしら？」
「クラトス部長が主任をお呼びです」
「部長が？分かったわ。教えてくれて有り難うね」

美しい笑みを浮かべて私に礼を言うと直ぐにクラトス部長の元へと向かう主任を見送った。相変わらず美人さんだし仕草も綺麗だ。何をしても美しいというのは凄いな。
それに比べて私と来たら…普段から男性の様な喋り方だし、がさつな方だし。
と自己嫌悪に陥りながら私は自分の席へと戻るとロイドは落ち込み、クラトス部長は少し離れた所で主任と会話をしていた。

「ロイドー…生きてるー？」
「半分…ったく…こんな所で叱らなくてもいいだろー…」
「ロイド。こんな所だから、だぞ。クラトス部長は目上の人なんだから会社では敬わないと」
「分かってるよ…」

あまりにも落ち込んでいたのでよしよし、と頭を撫でてやりながら優しく諭すとロイドは顔を真っ赤にしながら膨れていた。

「あ、ごめんごめん。つい昔の癖で」
「別に良いけど…俺ももう『大人の男』なんだぞ？」
「ふふふん、そうだったな。でも、私にとっては可愛い可愛いロイド君なんだけど」
「…同い年だろ。ったく……覚えてろよー…」
「ん？何か言った？」
「別にー…それよりそろそろ仕事始めようぜ。部長もこっち睨んでるし、今日は定時で上がりたいしな」
「おおう、本当だ。凄い形相でこっち見てるぞ…急げ急げ」

小さな声で呟いたロイドの言葉は私の耳に届くことはなく、聞き返しても別にとはぐらかされてしまいロイドは先に作業を始めてしまった。
私も急いで仕事に手を付けカタカタとパソコンでソースを打ち込んだりしていく。連日残業続きだったので今日位は早めに帰って酒をあおりたいものだ。酒…飲まずにはいられない！
という事で、持てる力を全てを出しひたすらソースを打ち込んでいった。昼休憩を取るのも忘れて。

「だー！終わったー！！」

そこそこな量の仕事量をこなし終え、時計を見ると時計の針はギリギリ定時前を指していた。何とか終わらせたのだ…これで酒を飲みに行けるぞ！

「お疲れ、愛奈」
「あー…ロイドもお疲れさん。私は終わらしたしさっさと帰るわ。酒が飲める酒が飲める酒が飲めるぞー！」
「そ、そっか…じゃあ、また来週」
「まったなー」

ロイドだけでなく他の皆にも挨拶をした後私は軽快な足取りで階段を駆け下りエントランスまで辿り着くと私は誰かに声を掛けられた。その相手とは…。


「愛奈ー！俺と飲みに行かないか？」(ロイド裏夢)

「愛奈、この後時間は空いているか？」(クラトス裏夢)

「愛奈、ちょっと良くて？」(リフィル、ジーニアス夢)




「愛奈、俺達と一緒に飯食わないか？」
「昼も食べていないのだろう？腕によりをかけて私が作ろう」
(ロイド、クラトス裏夢)