第十七章 博士の本性
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足を踏み入れたその部屋は、遺物や翼竜の骨格標本が飾られ、本棚にはたくさんの書物が収められていた。
天井はガラス張りで、向こう側にある重い曇天の中で時々雷が光っては部屋全体が照らされる。
部屋の上段にある書斎机の立派な椅子から立ち上がり悠々とこちらを見下ろすブロネフに、ルークはただならぬプレッシャーを感じて足がすくんだ。
「ようやくここまでたどり着いたか。ゴッド街はお楽しみいただけたかな?」
「楽しんでるわけねーだろ!こちとら出戻りしとんじゃボケェ!!」
「ブロネフ…!貴様だけは、絶対に許さん!!」
レイカだけでなくサーハイマンまでもがブロネフへ烈火のごとく怒りをぶつけ、レイトンはサーハイマンを二度見した。
予想外の反応にブロネフは煩わしそうに2人に視線をやった。
「何なのだこの小娘は…それに余計なものもついてきたか。お前のような出来損ないに用はない。エル「おい、誰が出来損ないだって…?」
「なに…?」
「サーロインさんをディスっていいのはあたしたちだけなんだよ!お前が知ったような口で偉そうに吐き捨てるな!!」
「レイカ君、その心意気は感謝するよ。フォローになっていないが」
「そんな事はどうでもいい」
「あ゛ぁ!?」「なんだと!?」
激昂しているレイカとサーハイマンに構うと面倒だと判断したブロネフは、レイトンの方へ顔を向けて両腕を広げた。
その行動を警戒するようにレイトンは鍔を押さえ、笑うブロネフの出方を窺う。
「エルシャール・レイトン…お前が来るのを待っていたぞ。我がタージェントの一員となるのだ」
「なんだって…!?」
思いも寄らないブロネフの勧誘に、レイトンだけでなく全員が驚いた。
ブロネフがレイトンたちをこの場所へ導いた目的は、レイトンをタージェントに引き入れることだったのだ。
しかしそんな発言はサーハイマンとレイカにとっては火に油を注ぐことと同義であった。
「ふざけたことを…!レイトン君、ヤツの言葉に耳を貸すんじゃない」
「んなもんなるわけねぇだろこの自己主張激しめ極悪グラサンロリコンニヤニヤ野郎が!!」
「レイカ…!お願い、落ち着いて!」
「フラグを管理するんじゃなかったんですか!」
グラロリが調子に乗ってることを宣ったので、一発殴りに行こうと前に出たらレミとルークが全身であたしを止めに来た。
離せともがくレイカを見て、アーリアはどうしたらと、おろおろと困惑している。
「ちょ、もう!二人して何なの!?離してよ!」
「先生に言われてるんです!レイカさんが暴れたら取り押さえろって!」
「何それ!まさかこのあたしが暴れるとでも!?」
「現に今ブロネフを殴りに行こうとしたでしょ!そんな命知らずなことさせないわ…!」
「分かった、分かったから!暴れないから全力で締めるのやめて!!」
ルークは腰部分、レミは首を腕で絞めてきて、一歩間違えればあたしの息の根が止まることもあり得る状態に訴えかける。
すると二人もやりすぎていたことに気付き、死にかけのあたしを解放した。
揉めている間も話は進んでいて、どうやら自由か強制かの論争をしていた。
途中からだからもう話がわからん。どうでもいいからエッグ返せよ。
話を聞く気がなくなったレイカがヒマそうに部屋を見渡していると、ブロネフは話を切り上げてゲームの提案をし始めた。
「エッグを賭けたコイン勝負だ。付き合う気はないかね、レイトン」
「…勝負を受けよう。どんなルールで始めようか」
勝負に乗ったレイトンにブロネフはニヤリと笑うと、上段から降りて右側に置いてあるテーブルの横に移動した。
テーブルの上には銀色に輝くたくさんのコインが1列に並べられている。
「ここに24枚のコインを用意した。私とお前は交代でそれを取っていく。一人が一度に取れるのは3つまで。卓に残った最後のコインを手にした者が勝ちだ」
「…しょぼくね?」
レイカの一言は辺りの空気を凍らせた。
否、ブロネフにだけその言葉が突き刺さり、凍りついたようにピシリと止まっている。
「あたしたちが貴方がたのよくわからないセキュリティのせいでわざわざ世界周り直してる間にもうちょっとひねったもの考えられないものかねぇ?ここにきてコインって、手抜きもいいところだよ。え?このテーブルにコイン並べてずっと待ってたんですか?そんなことしてる暇があるんだったらご自分でアスラントの謎でも解いてたほうが有意義だったんじゃないんですかねぇ?あ、無理かぁー結局のところ武力だけの寄せ集め集団ですもんねー!」
「ブ、ブロネフも結構考えたんじゃないかしら?私もちょっと思ったけど…」
「さすがに言いすぎですよ、レイカさん。確かに単純なコイン遊びですけど」
恨みつらみを乗せたレイカのマシンガントークに加え、レミとルークの心無い追撃がブロネフの精神にダメージを与える。
それを見ていい気味だと鼻で笑うサーハイマンを横目に、レイトンはブロネフに少しの哀れみを感じた。
「………なるほど、興味深いゲームだ」
「それ絶対思ってないよね?」
「レイカ、この勝負はエッグがかかってるんだ。例えどんなゲームであれ受けるしかないだろう?」
「つまりしょうもないって思「では始めようか。コインを取り合う順序はお前の好きにするがいい」
レイカの言葉に被せて、ブロネフは半ばやけくそ気味にゲームを始めた。
レイトンは後攻を選び、順にコインを取っていく。
黙々とゲームは進んでいき、レイトンがコインを4枚残しにしたところで勝敗は決まったも同然。
この状態ではブロネフが何枚取っても最終的にレイトンがコインを取り切るからだ。
「この勝負は私の勝ちのようだ。エッグを渡してもらうよ、ブロネフ」
「仕方がない、エッグはお前にやろう。だが、私に勝ったつもりでいるのならこれを見るがいい」
ブロネフは余裕の笑みを浮かべたまま、壁に設置されているモニターまで移動してスイッチを入れた。
そのモニターに映った二人の人物を見て、レイトンは初めて焦りの表情を見せた。
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