第十六章 ナゾ解かぬ者、ナゾに泣く
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その後、ようやくビルの外に出た。
ここまで来る途中で先生とサーロインさんが、せっかくだからと楽しげに柱を調査し始めて、マジで外に出られないんじゃないかと思った。
もう完全に緊張感消え失せたよね。
それもこれもあのグラサン、そして自己主張激しめ極悪グラサンロリコン野郎のせいだ。
「ねぇ、腹立つからこのビルの廊下一帯に画鋲と粘着剤ぶち撒けちゃダメ?」
「またここを通るから今はやめなさい」
「確かに」
忌々しげにビルを睨むレイカと普段通り流すレイトンとのやり取りを聞いて、今じゃなきゃいいんだ…とルークが静かに思った。
「それにしても、あと72問か…」
「どう考えてもゴッド街でその数のナゾを見つけることは難しそうですね…」
「だがもう一度世界を巡るとなると、さすがに今の物資じゃ足りないな」
サーロインさんとレミの会話が聞こえて悲しい現実が再び突きつけられる。
しかもあたしにはもう一つ悲しいポイントがある。
せっかくいい感じにアーリアを後押ししたところなのに、考える時間を設けるどころか脱線しちゃって申し訳なくて…
あれ、逆にあたしにとっては都合が良いのか?いや、そういう問題じゃないよな…
エッグが揃わないからアーリアの悩みは消えないわけだし。
「ごめんねぇ…アーリア…」
「いえ、一度あの柱から離れて落ち着きたかったから、よかったです」
「なんて良い子なんだこの天使様は…!」
微笑むアーリアに後光が見えた。
アーリアを拝みながら来た道を戻り、頭上に架かる線路がある路地に差し掛かると、ルークが何かに向かって指を差した。
「あ、あそこに隠されたナゾがありますよ!」
「もう何ー?交差点?助けてください?…知らん!こっちが助けてほしいわ!」
ルークが見つけたナゾをレイカが文句を叫びながら挑戦している。
「荒れてるね」
「荒れてますね…」
「荒れてるな…」
「でもレイカってナゾで苦戦してるイメージはありませんよね」
「お得意の勘も活躍しそうだしな」
「ナゾを解く能力は高いが、あのレイカだからね。レミとルークが率先してナゾに挑戦してくれるおかげで今まで回避してきたんだろう」
サーハイマンとレミはその言葉にすぐ納得した。
面倒だからとナゾをさりげなく避けるレイカを容易に想像できたからだ。
レイトンは、私も最近はナゾの管理が甘かったよ…と反省しながら、今しがた勘でナゾを解いたレイカの元へ歩いていった。
「レイカ、甘やかしすぎた私の責任でもある。私もサポートするからどんどんナゾを解いていこう」
「甘やかされた覚えは1ミリもないしどこに責任感じてんですか」
「ウォーミングアップにこんなナゾはどうかな」
「ねぇえ!!内輪で出したやつはカウントされないって言ってたじゃん!!」
しかもあたしの苦手なスライドパズルだし…!
地面に置いて、動くパズルを威嚇のようにカチカチ鳴らすも、ナゾは解けないし先生はやれやれと小さくため息をこぼした。
「ナゾトキというのは1日サボってしまうとその分だけヒラメキが落ちてしまうものだ。君は一体何日サボったのかな?」
「わ、わからないです…先生の言ってることが」
「それなら、サボった日がわからなくなるぐらいナゾを解かないとね」
「もはや死刑宣告」
「…嫌なら、逃げてもいいんじゃないでしょうか」
げっそりしているレイカを見て、心配そうに眉を下げたアーリアが口を挟んだ。
その言葉に救いの手を差し伸べられたとレイカが嬉々として顔を上げたが、レイトンの手によって頭ごと下げられてしまった。
「アーリア、レイカにはそれができないんだよ」
「何故ですか?」
「これは逃げ続けた結果なんだ」
「うっ…」
「確かに逃げという選択肢は誰にでもある。しかし逃げたとしても問題がなくなるわけではない。逃げとは、問題と向き合うために時間や距離をとるということだ」
「問題と向き合う…」
「あぁ。そうすることで正しい答えを導き出すことができる…それがレイカの言っていた、アーリアのための逃げだと思うよ」
逃げ続けると彼女のようになってしまう、と出されたナゾに悶えているレイカをレイトンは見る。
つられてアーリアも視線を送り、少しするとレイカの隣へしゃがみ込んだ。
「レイカさん、頑張ってください」
「アーリアがあたしにトドメを刺してきた…」
「それは応援だよ。さぁ、それが解けたらゴッド街にある残りのナゾを解きに行こう。…あと3個はありそうだな」
「何その能力」
なんで残りのナゾの数がわかるんだよ…
引きつった顔で先生を見上げるととってもニコニコしていた。何がそんなに楽しいんだ。
「先生、なんだか楽しそうですね」
「教授"は"ね」
「ナゾ好きであることはわかっていたが…今までで一番生き生きしてるようだ」
少し離れたところにいたルーク、レミ、サーハイマンはレイトンの輝く瞳とレイカの死んだ魚のような目の対比を面白可笑しく見ていた。
そして、さてと一息ついたサーハイマンがレイトンへ声を掛けた。
「レイトン君、私たちは先にボストニアス号へ戻って航路について考えておくよ」
「ありがとうございます、博士」
「………」
「レイカさんが目で何か訴えてます」
「残念ながら私たちにできることはないわ…」
アーリア行くわよーとレミが呼ぶとあたしの隣から天使が去っていった。
アーリアはちらちらと振り返ってくれたが、残りの3人は無情にも振り返るどころか目すら合わないままボストニアス号へ進んでいった。
残ったのはあたしと激難パズルと変な能力に目覚めた先生。
「これ後回しにしちゃ「今、解こうか」
こうしてあたしの地獄のナゾ巡りが始まった―――
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