第十五章 フラグクラッシャーの憂鬱
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再びコハンベール着いたあたしたちはさっそくあの湖の遺跡へ向かった。
久しぶりに古代の服に着替えたアーリアは何故か着心地悪そうにしていた。
髪もいつものポニーテールではなく、初めて出会った時のように結っていて少し懐かしかった。
あの頃と比べるとアーリアはだいぶ変わったよね…もちろん良い意味で。
湖の遺跡・神々の壁に入るとそわそわしていたアーリアがレミを見上げた。
「レミさん、私、変じゃないですか?」
「そんなことないわよ。元々着ていた服だけあって、よく似合ってる」
「うん!今日もアーリアは超絶かわいいよ!」
「ありがとう。でも、いつもの服の方がいいな…」
「もうっ、わがまま言って。……ほら、行ってらっしゃい」
「そんなに心配しないで。これが使命だって、分かっていますから。行ってきます」
アーリアはふわりと笑うとあたしたちに背を向けて歩き出した。
あたしはその後ろ姿を見ながら、何か込み上げてくるような思いでため息をついた。
「我が子の旅立ちってこんな気持ちなのかな…」
「きっとそうね…」
「…二人とも大げさすぎですよ」
ルークの冷めたツッコミを受けながら、中央にあるアーチに向かうアーリアをみんなで見守った。
そしてアーリアは両手をかざし、しばらくするとくるりと向き直ってこちらへ戻ってきた。
「場所が分かりました。本物の聖閃石はあそこにあるようです」
「あれは!…まさかとは思ったが、やはりそうか」
アーリアが壁面の地図を指さすと、サーロインさんはその場所を睨み、忌々しげに拳を握った。
「知っているのですか、博士」
「エッグがあるのは、タージェントの本拠地。通称『ゴッド街』と呼ばれる危険な場所さ」
「ということは、エッグをすり替えた犯人はタージェントで間違いないでしょうね」
「先生、敵の本拠地に乗り込むなんて大丈夫なんですか?」
「大丈夫なわけ…」
ないじゃん、と言葉を続けようとしたら、突然視界がブラックアウトした。
でも意識はちゃんとしてるし、自分だけが何も無い空間に取り残されている。
すると辺りが見知らぬ空間に変わった。
なにやら神殿のような場所で周りを見たらみんながいた。
駆け寄ってみたが、どうやらあたしの姿は見えておらず、みんなが何を話しているのかが聞こえない。
みんなが真剣な表情で何かを話すと、それぞれ紫の光が差す石の前へ歩いていった。
紫の光を浴びるとみんな苦悶の表情を浮かべて耐えていた。
おそらく、苦痛の声を上げているだろうその光景に、あたしはただただ茫然と立ち尽くすしかなかった。
そして―――
「レイカ?」
「!!……ぇ、あ、」
レミの声と肩に置かれた手の感覚で我に返った。
いや、現実に戻った。
バクバクと脈打つ心臓は、今しがた観た光景がどれほど恐ろしいものだったかを物語っていた。
反応の薄いあたしに、顔を覗き込んできたルークがそれを見てギョッとした。
「レイカさん、顔色が真っ青ですよ!?」
「また気分が悪いのかい」
「…ううん、ちょっと昨日のカレーが喉のここまで戻ってきてるだけ」
「それ吐きそうってことじゃない!」
レミが慌ててあたしを担いで滝まで連れてって背中を擦ってくれたが、消化中のカレーがもったいなかったので無理やり飲み込んだ。
その後、みんなから心配の眼差しを受けながらボストニアス号へ向かった。
道中で町の人と話したりナゾを解いたりしていたが、あたしは先ほどの光景について悩むことで手一杯で何一つ頭に入ってこなかった。
どうする…どうする…どうする!?
いや、どうにかできるのか?みんなに言う?でもあれが未来の映像と決まったわけじゃない。モンテドールの時は予知夢だったけど今日見たやつは…幻覚かもしれない!起きてたしね!サーロインさん曰くアスラントの影響がなんちゃらかんちゃらでラリったのかも!
うん!と自己完結し大きく頷いた。
それにそもそもエッグ集めたらシェ◯ロン的なのが出てきて願いを叶えてくれるみたいな流れで終わるかもしれない!
そんな淡い期待を胸にちょうど隣にいた先生に声をかけた。
「あのさ」
「?」
「エッグを5つ集めたら、終わりじゃないの?」
「エッグを集めることはアスラントのナゾを解く準備段階に過ぎない。本題はここからだよ」
「………」
ですよねー。
世界規模のイースターハントでしたー!終わりー!みたいな展開だったらどれほどよかったことか。
ややげんなりして黙り込んだレイカにレイトンは少し躊躇いがちに口を開いた。
「…やはり辛いのかい?」
「え!?」
「神々の壁の時も辛そうにしていたが…きっとこの先もアスラントの力は君に影響を及ぼすだろう」
「なんだ、あたしのことか」
「?」
「あたしのことは心配ないですよ。本当にダメなときはちゃんと言います」
「しかし…」
まぁ、言ってもみんなアスラントに夢中で気付いてくれなかったけどな、とは言わなかった。
先生が提案しようとしている内容に勘づいてしまったから。
「言っときますけど、今更お留守番なんてムリだから」
「………」
「それに決めました」
「え、」
「あたし、全力でフラグクラッシャーになります!」
レイトンは思った。
何かとてつもなくまずいスイッチを押してしまったのではないかと。
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