第十五章 フラグクラッシャーの憂鬱
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「あれ…」
空気が、重い。
物理的ではなくてあたしの感覚的になんだけど。
何でだ?スリープルスを出る前まではみんなで「エッグ揃ったイエーイ!カレーでお祝いしようぜ!」みたい空気だったじゃん。
それが何でここまで淀む!?
ソファに座り、テーブルの上に集めた5つのエッグを並べて嬉しそうなルークとアーリア。
と通常運転の先生、まではいいのだが。
ソファの端に座って頭を抱えているレミと、いやに緊張感を漂わせているサーロインさん…この二人はなんだ?
とりあえず様子見かなぁ…と神妙な顔で、あたしも目の前のエッグに視線を落とした。
「これで5つのエッグが揃ったね」
「ええ、皆さんのおかげです」
「けど、こうして集めたエッグはどうやって使えばいいんでしょう?」
ルークがそう言いながら1つのエッグを指でつついた。
「そう、それなのだけれど…私、自分が持っている使者の力を使って聖閃石に呼びかけてみようと思うの」
「えっ、使者の力?」
「そんな…これ以上アーリアの魅力が上がっちゃったら、あたし消滅するかもしれない…」
「レイカさん…それ何の心配ですか」
「エッグを手にしたとき、キミはいくつかの記憶を取り戻していった。ひょっとすると、それが関係しているのかい」
「そうだと思います。私、少しずつなんですけれど使者としての力を思い出してきたんです。それも数が増えるたびに聖閃石が互いに響き合って何かが目覚めかけている気がするの」
「つまり、5つのエッグに呼びかければキミの記憶はもっと引き出せるとそう思うんだね?」
「えぇ、そうすればきっと、この石をどこで使えばいいのかもわかると思うんです」
アーリアはそう言うとテーブルに並べたエッグに向き合った。
少し離れていたレミとサーロインさんもいつの間にかこちらに注目していた。
その張り詰めた空気にルークはごくりと固唾を呑んだ。
「では、始めます」
アーリアは5つのエッグに意識を集中させたまま瞳を閉じた。
少しの静寂のあとに、エッグの装飾のような赤い石の部分が淡く青色に光りだした。
その光景に感動したあたしとルークは、わぁ…!と前のめりになって覗き込んだ。
しかしその中で1つだけ光っていないエッグがあった。
「すごい!エッグが光り始めました!」
「おや…1つだけ反応していないようだ」
光らないエッグを手に取ったアーリアはそれをジッと見つめて眉をひそめた。
どうしたんだろ、不良品かな。
「これは…聖閃石ではありません」
「えぇっ!?」
「でも、この石を手にした時、私の記憶は確かに蘇った。偽物ならどうして…」
「確かに、元から偽物だったとは考えにくい。途中ですり替えられたのかもしれないね」
「きっとタージェントの仕業ですよ。僕たちにエッグを揃えさせたくないんですよ!」
憤慨したルークがそう騒ぎだした。
確かにこんなことしてくるような連中と言えばタージェントぐらいしかいない。
すると静観していたサーロインさんが少しムッとした様子で輪に入ってきた。
「だがどうしてそのようなことを?エッグが5つ揃ってカギとなるなら、一つだけすり替えても意味がない」
「嫌がらせじゃない?」
「いや、私たちを妨害するというよりも、他に意図があるのかもしれない」
「ここで考えていても埒が明かないですね。早く本物を取り返しに行きましょう!」
意気込むレミに、必然的にそういう流れになるよねと客観視した。
嫌がらせ以外の意図があるとするならば…と考え、ピン!と一案ひらめいた。
「なるほど、あえて1つをすり替えることで、あたしたちが5つ揃えたところで初めて偽物に気付き、結果それを取り返しに動くことになる。そこを一網打尽にしてエッグも揃って邪魔なあたしたちも消して一石二鳥…どうよ!」
「可能性としてはなくはないが、それだと私たちはまんまとその術中にハマっていることになるが…」
「それに、取り返しに行くとしても本物のエッグはどこにあるのか…」
「仮に犯人がタージェントだとしたら、彼らも戦艦で移動しているので場所が特定できないですね…」
「聖閃石のある場所…もう一度、神々の壁の前に立てば分かるかもしれません」
「そうか…あれにはエッグの場所が示されていた。本物が今どこにあるか分かるかもしれないね」
「………エッグってGPS付いてたの?」
「じーぴー…?」
「急いで神々の壁に向かいましょう!」
怪訝な目でエッグを見ているとルークが意気揚々と声を上げた。
レイモンド、とサーロインさんが声を掛けると話を聞いていたのか、畏まりましたと操縦席から返事が返ってきた。
エッグは寝る時以外ずっと持ち歩いてたみたいだから、外にいる時にすり替えられるとしたら相当接近しないと無理だ。
停泊中のボストニアス号に忍び込んで隙を狙ってすり替えるなんてことは、あのレイモンドさんがいる限り不可能だし。
そうなると…本当に考えたくはないけど、この中に手引きしている人間がいる可能性は捨てきれない。
不穏な空気の中、ボストニアス号はコハンベールへ向けて航路を進めた。
第十五章 フラグクラッシャーの憂鬱
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