第十四章 ぶち当たる心の壁
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ロクスの案内で向かった寺院は、まるで遺跡のような長い年月を感じる
所々に苔が生えていたり、枯れた木が物悲しさを醸し出しているが、寺院の奥に見える不死鳥をかたどったステンドグラスは夕陽に照らされてキラキラと輝いていた。
するとロクスが「あの人が長老さ」と入り口横に立つ老人を指差した。
え、起きてんの?とそちらに目をやると、立ったままカクンカクンと頭を前後に揺らし寝ている老人がいた。
…まさか1週間以上ここで雨ざらしのまま寝てるのか?
深くは聞かないことにして寺院の周りで不死鳥の手掛かりを探し始めた。
その途中で中庭の石碑を何個か破壊したことは秘密だ。たぶんバレてない。
しばらくしてひと息ついたレミが口を開いた。
「ここに不死鳥を蘇らせる手がかりがあるんでしょうか?」
「この寺院は不死鳥を
「でも、何が書いてあるのかさっぱり解りませんね」
「ね、見てたら勝手に崩壊するしさ」
「それはレイカ君のせいで……ん?待ちたまえ、この石碑…」
「これは…!」
サーロインさんとアーリアが反応した石碑は、もうお馴染みの青っぽい石碑だった。
崩壊したやつじゃなくてよかった…とあたしは密かに胸を撫で下ろして、二人に続いてあたしとレミもその石碑を覗き込んだ。
「模様みたいに見えるけど、何かの文字みたいですね。神々の壁で見た物に似ています」
「これはアスラントの文字…何が書かれているのか、読んでみます。『不死鳥の導きを望む者よ、太陽と共に輝く鳥を讃え、終わりなき生命の輪を繋げ。かの鳥は西の明け方に生まれ、太陽が照らす北の大空に羽ばたき、月の照らす東の地で一時の眠りに就く。生命の輪を繋いだならば、不死鳥は伝承を受け継ぐ者として認め、そなたらを右の翼に迎え入れるであろう』」
「ふむ…生命の輪、か。しかし、肝心の輪が石碑の中には見当たらないようだが…」
「寺院の壁を見てください。あれって、輪に見えませんか?」
レミは寺院正面に構える特徴的な壁を指差した。
振り返って見上げてみると、確かにその壁面には輪のような模様が見えた。
すると壁を見て騒いでいるあたしたちに気付いた先生とルークも合流し同じように壁を見上げた。
「それに、周りを囲んでいるレリーフ、刻まれているのは太陽ですよね?きっとあれを動かすんですよ」
「なるほど。伝承になぞらえてレリーフを動かしてみよう」
「………どうやって?」
「「「………」」」
「ここは私に任せてください!」
ドンと得意気に胸を叩いたレミは軽く屈伸をすると、寺院を飛んだりよじ登ったりしてあっという間にレリーフ横のステンドグラスの縁までたどり着いた。
気をつけてと声をかければ片手を上げて爽やかな笑顔で手を振ってきた。レミかっけぇ。
そして先生とサーロインさんの指示で左右のレリーフを伝承の通りに動かすとレリーフを繋ぐ輪が光り、何かが作動したのか辺りが僅かに揺れた。
「今の揺れは…?」
「仕掛けが正しく作動したようですね。石碑に書かれている伝承が示す通りなら『不死鳥はそなたらを右の翼に迎え入れる』という事ですが…」
「伝承を受け継ぐ者を迎え入れる…迎え入れる場所と言えば入口だな」
「町の入口の方へ行ってみましょう」
ストンと華麗に着地したレミとハイタッチをして、あたしたちは寺院を後にした。
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