第十三章 不死鳥不在の町
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再びロクスの案内でその丘を目指していると、前を歩くロクスとサーロインさんがずっと二人で会話していることに気づいた。
「…なんかサーロインさん、楽しげじゃない?」
「あきらかに僕たちと話してる時より楽しそうですよね」
「あら、二人してやきもち?」
「それはない」「それはないです」
ルークと綺麗にハモったことでレミはまたクスクスと笑った。
サーロインさんは最近になってようやく本性の尻尾が見え始めてきたってところなのに、今日出会った現地の子供とどうしてそこまで話が弾むのか…
いや、仲がいいのは別にいいんだけどさ、いいんだけど、さ…
今まで旅してきたあたしたちとロクスで心の開き具合があからさまに違って、なんか納得行かない。
「何でだろう…あたしたちにはロクスみたいなピュアさが足りないってこと?」
「僕、この中で一番ピュアですよ」
「それもない」
「あの感じ…なんだか出会ったばかりの頃の教授とルークみたいじゃない?」
「あー…それはちょっと分かるかも!」
「えぇ!?それって今は前より楽しそうじゃないってことですか!?」
違いますよ先生!と慌てるルークは次の瞬間にはムッとした表情で、レイカは何が違うんだ…と観察するようにじぃっと見つめ、レミは懐古するようにニマニマと、様々な視線がロクスとサーハイマンの背中に刺さった。
背後の異様な雰囲気に寒気を覚えたロクスは無意識に両腕をさすった。
「ねぇ…後ろからすごい視線を感じるんだけど…」
「ロクス君、こういう時は決して振り向かないことだ。私がこの旅で学んだことだよ」
「…おじさん、大変だね」
そうこうして丘のふもとまで来ると、白い木々が立ち並ぶ森に入り少し不気味な雰囲気になってきた。
古ぼけた立ち入り禁止の看板を越え、遥か彼方に見える頂上にうんざりしながら歩いていると、突然ルークが声を上げた。
「見てください!あれが不死鳥じゃないですか?」
指差す先には岩の上で羽を休ませている大きな鳥がいた。
確かに鳥だけど不死鳥って感じではないなぁと思ったが、ルークがドリ◯ル先生スキルを使って会話を始めたので黙っておくことにした。
それより気になったのが鳥の奥にある大きな建物。
ロクスに訊ねると昔からある水門とのこと。
ふーん、ともう一度水門をしげしげと見るとここにも鳥の像が飾られていた。
しかもこの旅で散々見てきた青っぽい素材の外壁…アスラント系のものということだ。
案の定、サーロインさんは水門の壁をまじまじと見始めて一人頷いていた。
「これは…アスラントの遺跡のようだ。やはりスリープルスがアスラントの文明と密接な関係にあるのは間違いないようだ」
「アスラントが遺した物…不死鳥と何か関係が?」
「この水門の向こうに不死鳥が?いや、そんなまさかな…」
「でも絶対この水門開けることになるって」
「それは何故だい?」
「いや、あからさまだし………あとは勘?」
「勘、か…」
「!レイカさんの最強の勘ですね」
少し嬉しそうに言うアーリアにハートを射抜かれた。
そうだよぉぉぉ!とデレるレイカ、鳥と会話をしているルークと、相変わらずただの水門に興味津々のサーハイマンを見て、この人たちで大丈夫かな…とロクスは一抹の不安を覚えた。
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