第十三章 不死鳥不在の町
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最後のエッグを求めてたどり着いたのは、全方位が高い壁に囲まれた町だった。
飛んでいたときは町の様子が見えていたが、壁の外に着陸したため、今は壁しか見えない。
これはもう、巨人が攻めてこないように隔離してる壁だろ絶対。
しかし壁の門から町に入ってみると、不自然なくらい音がなく、どこにも人の姿が見当たらなかった。
その異様な光景にあたしたちは足を止めた。
「エッグがこの辺りにあるのは間違いないと思うのだが…」
「建物の造りはロンドンに似てるけど、なんだか静まりかえってて不気味です。本当にこんなところにエッグがあるんでしょうか?」
「この町はスリープルス。事前に調べた情報によると、不死鳥が棲む町と呼ばれているようだ」
「不死鳥の伝説…それが『空を駆ける者』の言い伝えならば、アスラントにゆかりのある町なのでしょうか」
「だとしたら町がアスラントの外壁で囲まれているのも納得できる」
「えー?巨人から守るためじゃないのー?」
「巨人って…レイカさん、寝言は寝てから言ってください」
「…ルーク君、最近ツッコミ辛辣すぎない?」
とにかく話を聞ける人を探すため、二手に分かれて近くの家から訪ねることになったのだが、声をかけてもノックをしても誰も出てこないし返事もない。
何軒目かの留守にルークはうーんと首を傾げた。
「ちょっと静かすぎますよ。この辺りはみんな外出してるんでしょうか」
「スリープルスって名前からして住民みんな寝てるとか?」
「えぇ?そんなわけないですよ」
「何か様子がおかしいな。町の奥の様子も見ておこう」
サーロインさん・レミ・アーリアの方も収穫なしのようで、そのまま町の奥まで進むと、見えてきたのは目に赤い石が嵌められた金色の大きな鳥の像。
台座の両脇の燭台に火が灯されているから少なくとも誰かしら人がいると思うけどやっぱり近くには誰もいない。
「不死鳥の正体は人を食らう怪鳥で、町の人みんな食べられたとかない?そして知識を得た怪鳥が、新たな獲物をおびき寄せるためにこうして火を灯して寄ってくる人間を待っている…とか」
「それは興味深いね」
「ど、どうしてこの雰囲気でそんなこと言うんですか!?それにそんな鳥さんいるわけないです!」
「先生には好評じゃん。…ならオバケだな」
「レイカさん!!」
「…ガチギレやめろし」
つまらなすぎてルークで遊んでいると、後方から人の声が聞こえて全員後ろを振り返った。
「さっきの道から声が聞こえたぞ。行ってみよう」
「ルーク君?動きづらいんだけど…」
「発言に責任を持ってください」
「えぇ…」
あたしの後ろにぴったりとくっついた状態のルーク。
これ完全に盾にされてるじゃん、それでいいのか英国少年。
それをレミが写真に撮りながらくすくすと笑っている。
背後霊(ルーク)を連れながら来た道を戻るとターバンを巻いた男の子といつもの黒服コンビが揉めていた。
様子を見るに男の子の方が二人を引き止めているようで、何か言い合っていたが邪険に扱うように男の子を置いて別の場所へ走っていった。
この町で初めて会った第一町民なのであたしたちも声をかけようとしたら、男の子の方もこちらに気付いて駆け足で近付いてきた。
「おじさんたちも外から来た人だね?頼むよ、ちょっとでいいから話を聞いて!」
「キミは?」
「オレはロクス。この町に住んでるんだ」
「私たちは探し物をするためにこの町へやってきたんだ。町の伝承やこの周辺について詳しい大人はいないかい?」
「大人はいないよ…もう1週間以上になるけど、町中の大人たちが眠ったまんま起きなくなっちまったんだ。オレの母さんも、いくら起こしても起きてこなくなっちゃってさ…」
ロクスが心底困ったように右手を後頭部に当てたのを見て、背後からルークが何か言いたげにこちらを見上げてきた。
失礼な、あたしは適当に言っただけで無実だぞ。
「大人がみんな寝ている?それはどういうことだい」
「説明すると長くなりそうだし、せっかくだから、うちにおいでよ。ずっと話し相手がいなくてヒマだったんだ。それに、お客さんが来たら母さんも起きるかもしれないし。オレの家はすぐそこだよ」
ついてきて!とロクスが指差す方向へ向かうことになった。
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