第十三章 不死鳥不在の町
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「じゃあこの先、アスラントの力がもっと強くなるっていうこと?」
「マリードールの遺跡は装置が暴走していたからこの先も同程度とは考えにくいが、それなりの覚悟は必要ということだ」
「アスラントの力が…レイカさんを苦しめているの…?」
「ぜ、全然苦しんでないよ!むしろ試練?ハンデ?みたいなものだし、今のところ力使う機会ないし、何かあったらレミが気合いで解決するから大丈夫だよ!」
黙って話を聞いていたアーリアが悲しそうな顔をしたので急いでフォローに入る。
腹いせにサーロインさんをキッと睨むと当の本人は苦笑いを浮かべながらネクタイを弄った。
「アーリアにも協力してもらったが、まだ思い出すまでに至ってないようだ」
「アーリア。ダメだよ、こういう胡散臭い人の言うことをホイホイ聞いちゃ」
「う、胡散臭い…ぜひ君の力の研究もしたいのだが、レイトン君は快く思ってくれていないようでね」
「サーロインさんの研究対象にされたくないんであたしも大変快く思ってないですし、そもそもこの変な力はサーロインさんの前で使ってませんけどどこでそれを知ったんですか」
「それは教えられないな。言えるとすれば君たちの身辺調査の結果ということくらいだ」
「身辺調査ねぇ…」
しれっと身辺調査するあたりがすでに胡散臭いんだよな。
大体、いつからその身辺調査をしてたんだか…
すると腕を組んでいた先生が呆れたようにふうと息を吐いた。
「こういうことになるから、むやみに使うんじゃないと日頃から言っていたのに」
「むやみに使ってないですぅ」
「安心してほしい。レイカ君自身に危害を加えるつもりはないし、情報を漏らすこともない。それにその力について理解を深められることは私にとっても君たちにとっても利益があると思うが」
「何故博士はそこまでレイカの力を調べたいのでしょうか?この力は厳密にはアスラントとは異なるものですよ」
先生の問いに、サーロインさんは再びメガネのブリッジを上げて目の奥を輝かせた。
「答えは簡単さ。あのアスラントが記録に残すほどの脅威…つまりそれはアスラントへ対抗できる唯一の勢力ということだよ。アスラントのナゾを紐解くためには欠かせないピースと言っても過言ではない」
「まぁ、負ける気はしないけど…え、戦う気?」
「対抗できる勢力と言ってもレイカ1人です。アスラントの時代には複数いたということであれば、ただ彼女を危険な目に合わせるだけでは」
「その点は心配ない。マリードールでのあの装置は本来、その特異な力を持つ者を武器同様、無力化させるものだったらしい。しかしレイカ君は床から少し浮いていただけ…これだけでも当時の者たちを凌駕する力の持ち主であるということが証明されたわけだ」
「あの時はとにかくムカついて祠壊したかった一心でしたね」
「それについて思うに、君の力は感情が鍵なのではないかな。マリードールにいた時、しきりにテンションを気にしていたしね」
言うこと返すことにドヤ顔で返答するサーロインさん。
なんかついに本性見えてきたなって感じだけど…
「………き」
「き?」
「キモい…」
「「………」」
「そんな感じで今までサーロインさんに見られてたってこと…?ちょっと見て、トリハダパラダイスになってるよ」
袖をまくり、腕の鳥肌をアーリアに見せるレイカ。
アーリアはその様子にすごい…と言葉を零した。
「千歩譲って研究対象として見られることはいいんですけど、相手がサーロインさんってとこが無理っすね…」
「………」
「あ、おやつの時間だ」
早く行こう!とアーリアも誘ってレイカは部屋から出ていった。
打ちのめされてフリーズしているサーハイマンと取り残されたレイトンの間に気まずい空気が流れた。
「若者の言葉というものは時として刃物より鋭いな…」
「………」
「何か言ってくれないかレイトン君」
「私もお茶の時間なので失礼します」
「レイトン君」
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