第十二章 竜神様降臨
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祠の外にいた司祭は異変を感じ、空を見た。
先ほどまでとは違う、心地の良い風が頬を撫でた。
「風が変わった…一体、どうしたというのだ?なぜ祠から音がするのだ?ええい、開けなければ何が起こったのか分からん!」
司祭は急いで祠の扉にかかった鎖を解き、扉を開いた。
そこには祠の中にいたはずの花嫁のジュリアだけではなく、ぞろぞろと人が出てきて、司祭は顔を顰めた。
「汝らは…!な、なぜ祠にいるのだ!?」
「司祭様!!」
「司祭様、竜巻はもう起こらないんだ!ジュリアは死ななくていいんだよ!!」
「どういう事なのだ、何が起こった…?」
駆け寄ってきたロミーとジュリアの喜びように、状況がわからず混乱している司祭へレイトンたちは近付いた。
「風の祠の底にあった祭壇、これは古の文明が残した遺産でした」
「だが、時が流れるに従ってあるべき形を失った遺産は悪しき風を引き起こし始めた。私たちはそのナゾを突き止め、風の流れをあるべき形に戻しました。もう二度と、竜巻は起こりません」
「なんと…いや、まさかそんな!それでは、それでは私は…」
「あるべき形…全ては元に戻りました。この風は、あなたがたのものです。この風はあなたがたが自ら治め、未来への糧にしてください」
罪悪感に苛まれる司祭にアーリアは優しく告げた。
その姿はなんとも神聖で、司祭の目には後光が差していた。
「貴女が…おぉ、なんという事だ。あなたがたが、竜神様が遣わした使者……私は、なんということをしてきたというのだろう。しきたりを守るために生き、汝らの言葉に耳を貸すこともなく多くの花嫁を犠牲にしてきたのだ…」
「……。竜神の花嫁が、ジュリアさんが祠にいなければこのナゾは解けませんでした。貴方が最後の儀式で送り出したジュリアさんが、希望になったんです」
「なんということだ…おぉ…」
「それより司祭様!竜神様がいらっしゃってるのです!」
「な、なんだと…!?」
「竜神様が人の御姿を借りて僕たちを導いてくれたんです!」
ロミーが指差す先には、フードを深く被ったコートを着た人物がふよふよと浮遊しながら祠から出てきた。
人ならざるその光景に司祭は膝をついて涙した。
「こ、神々しい…!竜神様、この村が…いや、私が犯してきた罪をお許しください…」
「よいよい。許してやるから、もう花嫁送ってくんのやめてね。全然嬉しくないから」
「はっ…!承知いたしました…」
「竜神…軽いな…」
「あれで大丈夫なんですか…」
予想外の軽い応対にサーハイマンとルークは不安を覚えた。
レイカの浮遊が収まらないので、竜神という設定で切り抜けることになったのだが、当本人の竜神像が予想の斜め上をいっていた。
「あと竜神ー、ちょっと旅に出るからあとよろしく」
「「(一人称、竜神…?)」」
「た、旅ですか!?それではこの村はどうなってしまうのですか!?」
「大丈夫大丈夫。人の姿ではもう戻れないけど風になって帰ってくるから」
竜神もたまには外の空気吸いたいからーと言うと、なるほど…!と何故か納得する司祭。
そのままボストニアス号へ向かうと、道中で村の人たちが竜神様見たさにぞろぞろと付いてきて、いつの間にか盛大な旅立ちとなった。
「最後に竜神様!この村は今後どうやって竜神様を奉れば良いでしょうか…!」
「うーん、竜神、ここのパン好きだから季節ごとにパン祭りとかやってくれたら嬉しいかな。お皿もらえるやつ」
「「「おぉ…!」」」
村人たちはさっそく話し合いを始めたので、今のうちだとボストニアス号に乗り込もうとしたが、ロミーとジュリアの姿を見つけ、一同は足を止めた。
「ロミ坊、ジュリアさん、お幸せに!」
「竜神様…!」
「ありがとう皆さん、コーチ!」
すでに幸せそうな二人を尻目に、あたしたちはボストニアス号へ乗り込んだ。
船内に入るとようやく地に足がつき、その拍子に今までの疲労がどっと押し寄せてきて、そのままソファに倒れ込んで眠りに就いた。
「竜神様、力尽きましたね」
「しょうがないわよ。なんかすごい大変そうだったし」
「いつも思うんですけど、レイカさんって1人だけ別の何かと戦ってますよね」
「ふふ、それがレイカらしさじゃない?」
「そうですけど…」
できることなら自分を巻き込まないでほしいと思いつつ、可哀想な人だなと呆れにも似た感情を抱いたルークであった。
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