第十二章 竜神様降臨
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祠へ繋がる洞穴を目指して、森の中へ歩みを進めた。
レミたちが聞き込みで入手した情報の通り、キノコと野イチゴを見逃さないためにずっと地面を見ていたらテンションまで下がってきた。
そういう時は…
「ルークぅ…なんか面白い話してー」
「うわぁ!寄りかからないでくださいレイカさん!」
ルークの頭の上から顎を置き、ダル絡みするのに限る。
しかも実にちょうどいい高さで一生このサイズでいてほしい。
暴れても離れないレイカに観念したルークは、深いため息を吐いた後で前方を歌いながら歩くロミーを見た。
「レイカさんってああいう芝居がかった人は苦手だと思ってました」
「ロミ坊は芝居っていうより自然体であれだから嫌いじゃないよ。それにあたしのスパルタ指導にも付いてこられる根性もあるし」
「結局あれは何の指導だったんですか?」
「愛の指導…ですか?」
「おぉ!アーリア、分かってるね」
「どう見ても演技の指導でしたけど…」
「ですがやはり、私にはわかりませんでした」
「愛ってのは人それぞれだからねぇ…一概にこれって言うのもないんだよ」
「………」
するとアーリアはロミーをじっと見始めたので、ルークがすかさず訂正に入った。
「アーリア、身振り手振りをしながら名前を叫ぶことは愛じゃないからね」
「…難しい」
そんな雑談しながらキノコと野イチゴを順調に追っていくと草に覆われた壁にたどり着き、垂れ下がった草の茂みの中に入り口があった。
何故か風が吸い込まれるように洞穴に向かって吹いている。
「ここがブリジットさんの言っていた入口かしら?」
「こんなところに穴があったなんて…」
「少しずつ、アスラントの力が強くなっている気がします」
「それなら確かね、急ぎましょう」
「レイカ、ここの風は大丈夫かい?」
「嫌な感じはするけど、どっちかって言うと風よりこの中の方がヤバそう」
「………。引き続き無茶はしないようにね」
草のトンネルをくぐり、穴の奥へ進むとどこにたどり着くことなく行き止まりになった。
周りと比べて不自然に置かれている岩によってこの先が行けなくなっている。
「なんということだ…」
「くっ、岩がこんなに!」
「そんな…ここ、さっきブリジットさんが通った道なんですよね」
「侵入に使った隙間が崩れたのだろう。マダムも危ない橋を渡ったものだ」
「とにかく、あれを取り除かなければ先へは進めません」
「僕が退けよう。今こそこのエクスカリバーを使う時だ!」
「いや、スコップじゃ無理じゃね?」
「レイカさん…!今更正気に戻って真っ当なツッコミしないでください!」
「…はっ!ロミ坊頑張れ!気合いだ!そのエクスカリバーで道を切り拓け!!」
ロミ坊は「うぉぉぉ!」と叫びながら大きな岩を退けようとスコップで動かそうとした。
が、やはりスコップで動くような大きさの岩ではなく、スコップが岩に当たる音が虚しく響いた。
まずい、このままだとロミ坊が諦めてしまうのも時間の問題だ…
あたしはレミに目配せすると、快く頷き、目にも留まらぬ素早い動きで3つの大岩を蹴って押し出した。
息を切らせて地面を見ていたロミ坊が顔を上げる頃には、素知らぬ顔であたしの隣に戻ってきた仕事人レミ。
「あ、あれ?岩が…」
「すごいです!ロミーさん!」
「愛の力だぞ!ロミ坊!」
「よくわからないが、僕はやったんだな!」
岩を退けた先にはさらに奥へと道が続いている。
風が吹き抜ける音に混じって、微かにすすり泣くような声が聞こえてみんなで顔を見合わせた。
「…この声は…」
「ジュリアの声だ!!」
「急ぎましょう!」
あたしも気合を入れてコートを裏返し、第二形態になった。
しかし、先へ進めば進むほど嫌な感じがのしかかり足取りが重くなった。
挙句の果てには、フードを被って座り込んだ。
「うーわー、今までで一番最悪だぁぁぁ!」
「レイカさん、早く進んでください!」
「ヤバいってー!先生!もう無理!脳内ヨロレイホーじゃ太刀打ちできない!」
「先生はもう遥か先に進んでて聞こえないと思いますよ」
聞き捨てならないルークの発言に顔を上げると、確かにルーク以外誰もいなくなっていた。
そういえばアスラントがどうこう騒いでいたような…
「あの似非英国紳士は可愛い居候の安否より訳のわからない古代文明の方が大事ってこと!?」
「負けましたね」
「負けてないから!!あーもういいよ。要は気力で負けなきゃいいんだから!こんなの余裕だし。歌うたいながらスキップしちゃうもんねー!」
「えぇ…」
やけくそ気味に「ラン、ランララランランラン!」と歌いながらスキップとは言い難い足取りで進むレイカに、ルークは疲弊しながら付いていった。
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