第十章 知らぬが仏
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ということで、あたし達は◯ロが探しているという女の子を探しに廃坑を出た。
ルークの通訳によると黒髪の三つ編みで赤いスカーフをつけていて、ルークより小さいとのこと。
そんなパッとしないヒントで本当に見つかるのかと先行きの怪しさを感じていると、小屋の前で保安官と見知らぬおばあさんが何やら揉めていた。
おばあさんはキヒヒと独特な笑い声をあげると町の方へと歩いていった。
「こんにちは、保安官さん。先ほどのご婦人は?」
「なんだ、見ていたのか。さっきのはこの辺りに住んでる変わり者のばあさんだよ。レッドウルフが下りてくる度にあの調子だ。町じゃばあさんがまじないを使ってヤツを呼んでいるとまで言われる始末さ」
「確かに、ちょっと気味の悪い人でしたね。レッドウルフはとっても優しい子だけど、あの人と仲良しとは思えません」
「でもああいうオカルトチックなおばあさんって結構的を得たこと言ってるパターンあるよね。この地に昔から伝わる歌とかありません?」
「優しい子…?歌…?」
「いえ、気にしないでください」
「それならいいが…まぁ、長年ひとり暮らしのばあさんだ。変わったことを言って気を引きたいんだろう」
「そんなことより先生、僕たちが探しているのは女の子です。早く調査に戻りましょう」
「あぁ、おばあさんの事は気になるが、今は先を急ごう」
それから町に戻り女の子の聞き込みをすると酔っぱらいだったカービンさんが素面に戻り、ガーネットという食堂の女の子じゃないかと教えてくれた。
「とは言ってもそんな都合よく目的の女の子に会える訳なくない?」
「今はお手伝いの時間とは言ってたけど、どうかしら」
どうせまたたらい回しパターンかなと落胆しながら食堂に入ると、手前のテーブルに赤いスカーフを着けた黒髪で三つ編みの小さい女の子が机に向かってうんうん唸っていた。
絶対この子やん、しかも可愛い。
「うーん、うーん。困ったなぁ」
「何かお困りのようですね。力になりましょうか?」
「えっ、ホント!?わたし忙しいお父さんのために、ハンバーガーが作りたいんだけど…」
「ルーク隊長!これはナゾではなくお手伝いなんであたしが対応してもよろしいでしょうか!」
「し、仕方ないですね。いいですよ…」
「よし!お嬢さん、食べ物ならあたしに任せな」
うまく重ねられないと悩む具材について、どうしたら乗せられるか説明しながらあっという間に繁盛間違いなしの特製ハンバーガーが完成した。
女の子はぱぁと明るい笑顔で喜んでくれてあたしも感無量だ。
「わぁ、すごい!あっという間にできちゃった。ところで、貴方たちは誰?この町の人じゃないみたいだけど…」
「僕はルーク、レッドウルフの友達だよ。動物の言葉がわかるんだ」
「実は、レッドウルフがキミに会いたがっているんだ」
「レッドウルフと話したの?」
あまりに直球で聞くのでコイツら正気か?と思ったが、ガーネットちゃんはむしろわくわくとした目で答えた。
「おばあちゃんは言ってたの、レッドウルフはみんなが言ってるような悪い子じゃないって。町のみんなはおばあちゃんのことを嘘つきだっていうけど、そんなことない。わたし、おばあちゃんを信じてるの。だから、平気だもん!レッドウルフに、みんなを驚かせるのはやめてってお願いするの」
「それじゃあ、僕たちと一緒に来てくれるの?」
「うん!」
「頼もしい味方ができたね。では、レッドウルフのところへ行こうか」
ガーネットちゃんはお父さんに出かけることを伝えるとあたし達と共に食堂を出た。
ガーネットちゃんを連れて廃坑へ向かうまでにいろんな人が声をかけてきた。
めちゃくちゃ可愛いしきっとこの町のアイドルなんだろう。
でもさっきのガーネットちゃんの発言はなんだかレッドウルフとは会ったことはないような感じだったけど…
ま、可愛いからいっか!
廃坑に着くとレッドウルフと黒服2人組が対面していた。
しかも黒丸の方は機関銃を構えていた。
「せ、先生!」
「まずい。彼らを止めなければ!」
「そんなことしたらタ◯リ神になっちゃうでしょうが!」
駆けつけようにも距離があり、どうしても間に合わないと思ったが、黒服2人がまごついていて弾が入ってないと騒いでいるだけだった。
レッドウルフがその様子に大きく吠えると2人は一目散に逃げ出していった。
「あのコンビが間抜けで助かったね…レッドウルフ、女の子を連れて来たよ!」
「あなたがレッドウルフなのね。わたしが来たから、もう平気よ。だからみんなを驚かせるのはやめて」
「グルル…」
「どう?話したいことがあるなら、僕がきちんと伝えるよ」
ガーネットちゃんの匂いをスンスンと嗅いだレッドウルフは、耳を倒して弱々しくルークに語りかけた。
これで解決かと思いきやルークが驚いたような声を上げた。
「どうしたの?」
「レッドウルフがキミは捜してた子じゃないって」
「えっ、そうなの?わたしの会いたい気持ちがレッドウルフに伝わったのかと思ったのに」
「こんなに可愛いのに違うの!?」
「…レイカさん、レッドウルフは可愛い子を探してるわけじゃないです」
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