第十章 知らぬが仏
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保安官さんに話を聞くためにあたし達も食堂を出ると、ルークがあたしの前に立ちはだかった。
「今回は僕がエッグを手に入れます!」
「どうぞどうぞ」
「だからレイカさんは横入りでナゾを解いたりしないでください!」
「えぇ…」
ぶっちゃけ道中のナゾなんてあたしとしては障害以外の何物でもないので万々歳なんだが…
そう宣言するとルークはアーリアを連れてずんずんと通りを進んでいった。
するとあたしの肩に先生が手をポンっと置いてきた。
「物足りなくなったらいつでも用意があるからね」
「私もなかなかの傑作を用意しているよ」
「いやそれ超絶いらない気遣い」
「みんな置いてっちゃいますよ!」
遠くでルークが呼んでいるので渋々歩き出した。
先頭を歩くルークは、周りをくまなく調べてナゾを見つけては解き、1つ残らず消化してくれた。
「なんであんなやる気満々なの?てかあたしへの対抗心が過去一なのなに」
「きっとマルチノでレイカが大活躍したから自分もって張り切ってるんじゃないかしら?」
「ま、あたしが大活躍するのはいつものことだけど」
「ここはルークに花を持たせてあげましょ!」
私もその分写真に集中できるし!と完全に観光気分のレミ。
本人がやる気なんだし、たまには活躍させてやるかとあたしものんびりすることにした。
そうして町の奥まで進むとに小さな小屋が見えてきた。
その左手には年季の入った家が建っていて、間に川が通っていたような干からびた側溝がある。
その時、待ち合わせの小屋から保安官さんがちょうど出てきた。
「わざわざ来てもらってすまんな。住民たちの前で話をするのはどうしても避けたかったんだ」
「みんなあの獣を怖がっているからですか?」
「あぁ、あのレッドウルフが町に姿を現すようになったのはいつからだったか。見ての通り、この辺りは荒れ地が続いてる。特にここ数年は干ばつが酷くてな。食糧に困って町に下りてきたんだろう」
「そうなのですか。彼も大変なのですね」
「同情はするが、このビストニオも食糧に困っているのは同じことだ。それに、レッドウルフの狙いが住民でないとも限らないからな」
「過度な山の開拓や山犬に育てられた女の子とかいません?」
「山犬…?」
「私たちはどうしても彼の居場所を知らなくてはならないのです。保安官さん、貴方は彼の居場所を知っているのではありませんか?」
「…どうしてもと言うのなら、今、オレが抱えている事件の解決を手伝「僕に任せてください!」
ルークが挙手をしたままぴょんぴょんと飛んでアピールをして、先生と一緒に保安官さんから相談を聞くことになった。
先生が先に分かっていそうだったが、ルークがひらめくまで待ってあげていた。
「本当に解決するとはな。約束した以上、話さん訳にもいかん。アイツは普段、町外れの廃坑に潜伏しているようだ。何か事情がありそうだが、あんたたちがレッドウルフに食われでもしたら、目も当てられん。町のためにも、どうかレッドウルフには近付かんでくれ」
保安官さんはそう言うと、また町の方へと歩いていった。
「町外れの廃坑…そこに行けばレッドウルフに会えるみたいですね」
「こういう時こそ、僕の出番です。レッドウルフを説得して、エッグを手に入れちゃいましょう!」
「そこまででかい声で宣言されたら逆に清々しいわ」
「…彼に聞こえていないことを願おう」
まだ保安官さんの背中が見える距離で注意ガン無視宣言をして廃坑へ向かうことになった。
道中でサーロインさんとアーリアにルークの動物と話せる能力について説明し、2人は感心したように驚いていた。
特にアーリアの反応には嬉しそうに照れていて、今回のやる気の理由が分かった気がした。
廃坑に入ってみると使われなくなったトロッコやスコップが捨てられていて天井に空いた穴から空が見えている部分もあった。
こんなところに住んでいて食べ物や水はちゃんとあるのかなと考えていると水の流れるような音が聞こえてきた。
音をたどってさらに進むと綺麗な水面が現れた。
「キレイな水があるのね。外から見たときには想像もできなかったわ」
「廃坑が育てた自然だね。人知れずゆっくりとした時間が流れていくよ」
「ヤバいってこれ、荒野版シ◯神様出てきちゃうよこれ!」
命の危機を感じて◯シ神様を探していると水のほとりで休んでいるレッドウルフがいた。
しかしあたし達が近付くと体を起こし警戒するように大きく吠えた。
「グルルルル…」
「うぅっ、にらんでるね…近くで見るとすごいキバだなぁ」
「何かとても苦しそうに見えるわ。おなかが空いているの?」
「ま、まさか食べられたりしないよね…」
「骨は拾っていてやるよ」
「レイカさん!縁起でもないこと言わないでください!」
「ルーク、本当に大丈夫?」
「これくらいで怯えてちゃ英国少年の名が泣くからね。僕に任せて!」
ルークとモ◯がガオガオと会話を始めた。
◯ロが会話の合間にケホケホと咳をしているのが気になった。
「分かった!」
「彼はなんと?」
「レッドウルフは小さい頃に命を助けてくれた女の子に会いたくて何度もビストニオをたずねたんだって」
モ◯は耳を倒して弱々しい声でガオと返事をした。
「せめて死ぬ前に一目、その子に会ってお礼を言いたかったみたいだけど…」
「病気なの?」
「わからないけど、苦しくて堪らないって言ってる」
「ねぇ、エッグで首締まって苦しいんじゃない?」
なんかはち切れそうだしとモ◯の首を指差した。
するとルークがギロリとこちらを恨めしそうに睨んできた。
おい、発言権もないのか。
「と、とにかく!町の人たちはレッドウルフを怖がって近づけないようにしているから、女の子を探せないんだね」
「そう。その聖閃石をくれたら女の子を探すわ」
アーリアがモ◯に手を伸ばすと大きな牙を剥き出しにして威嚇してきた。
「首のエッグはその時にもらった大切な物だから、その子に会ってきちんと返したいんだって」
「持っていても彼の役には立つものではないのに。面倒な生き物ですね」
「絶対それのせいで首締まってるだけだと思うんだけど」
「二人とも文句言わないで女の子を探しに行きますよ!」
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