第九章 幸せのカタチ
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マフィンを食しながら店の人に話を聞くと、この島には遺跡の心当たりはなく、エッグに似たポポンチョも昔から伝わっているとのことだった。
そのことについて島の人に聞き込みするため人通りの多いマーケットに戻ってきた。
「『最強』の勘はどうですか?」
「うーん、勘2分目ってところだなぁ…」
「それは勘ではなく腹では?」
「もううるさいですよサーロインさん!勘が減っちゃうじゃないですか!」
「(勘が減る…?)それはすまない…あと私はサーハイマンだ」
全ての責任をサーロインさんに投げ、アーリアと2人で大きなため息をついた。
すると前方からサングラスをかけた南国なおっさんがこちらへ寄ってきた。
「よぉ、お嬢さんたち。暗い顔してるな、お腹が減ってるのかい?」
「いえ…私はそんなことはありませんが」
「めちゃ減っておりまする…」
「今さっきあれだけの量のマフィンを食べたというのに一体どこに消えたんだい?」
「そういえばエッグを探していて、ちゃんとした食事をしていなかったね。どこかで休憩しようか」
話を聞いていたレイトンがそう提案するとレイカの目が輝いた。
その変わりようにアーリアはわぁと声を漏らした。
「あんたたち、探し物をしてるのか。俺はそこのダイニングの店長、ゴドックだ。うちは客の入りも島で一番。情報も一番。あんたたちの知りたいことも教えてやれるかもしれないぞ」
「それは助かります。しかし、ただで教えてもらうという訳にはいかないようですね」
「わかってるじゃないか。このナゾで困って「ここをこうしてこう!!」
ゴドックがボードを取り出した瞬間にレイカはナゾを解いた。
感心したようにゴドックはほうと声を上げるが、ルークはナゾを解くその早さに引いていた。
「やるな、嬢ちゃん!サービスするから、うちの店に来な」
ゴドックが親指を立て、後ろを指すと頭上にある跳ね橋が下りてきて向こう側へ行けるようになった。
「あっ、橋が下りて…」
「あの先にゴドックさんの店があるようだね。さっそく向かうとしよう」
「…?レイカさんがいません」
「レイカなら橋がかかる前に水路を飛び越えてお店に向かっていったわ」
「ミストハレリの時のレミさんみたいな動きでした…」
「…店の料理を全部食べられてしまう前に私たちも向かおうか」
ゴドックに続いて一行もお店に向かった。
そこには、オーシャンビューを堪能できるテーブルをちゃっかり陣取り、料理を味わっているレイカがいた。
レイトンたちも席につき、空腹を満たしたところでゴドックが再びやって来た。
「改めて、ようこそ、幸せを運ぶ島マルチノに!」
「幸せを運ぶ島?」
「坊やたち、その様子じゃ知らんようだね。この町の名産であるポポンチョは幸せを運ぶ卵と言われているのさ」
ゴドックはカウンター横にあるフラダンスを踊るポポンチョの頭にポンと手を置いた。
「かなり独特な装飾ですが、なぜあの卵型の名産品ができたのですか?」
「あれはこの観光地の創設者ポポンチョが手に入れた遺物をもとに作られたんだ」
「それって、きっと本物のエッグですよ!」
「遺物が見つかった場所はどちらに?」
「島のずっと奥の洞窟さ。年に数回の干潮の時期にしか現れない危険な場所で、島民すら近付かんよ。もし遺跡に行くつもりなら、悪いことは言わん、やめときな。あそこにゃ、もう何もないからな。それに、あんたらが欲しいのは、本物のポポンチョだろう?」
「そうです、ボクたちが欲しいのはそのエッグ…じゃなかった、ポポンチョなんです!」
「その様子じゃ、あの風習も知らんようだな。遺跡から見つかった本物のポポンチョはこの島の誰かが持っている。それが誰かはわからん。それは『幸せの贈り物』として、人々の手を渡り歩いては幸福を与えているのさ」
「それじゃあ、ボクたちにも本物を手に入れるチャンスがあるってことですか!?」
「そうとも。本物のポポンチョはある法則に従って人から人へ伝えられている」
「つまりその法則を知れば、ポポンチョは私たちの手元へ回ってくるということですね」
「あぁ、そういうこった。俺ももらったことがあるぞ」
「えっ、ほんとですか!?誰に渡したんですか?」
「そいつは言えねぇな。相手の名前は教えちゃいけない決まりでね」
「ここにあるでしょ」
「「「え」」」
ようやく空腹を満たしたのか、レイカが口をナプキンで拭いながら不敵に笑っていた。
「アーリア、最強の勘が復活したよ」
「本当ですか?」
「じょじょじょ、嬢ちゃん!ちょっとお話しようか…!」
ゴドックが焦った様子でレイカに駆け寄り、こそこそと密談をし始めた。
その結果、
「ここで働くことになった!みんなポポンチョ探し頑張って!」
「あんたらには悪いがこの嬢ちゃん、ちょっと借りるな!いやぁ、この後大口で客が大勢来るから人手に困ってたんだよ!」
「店長!仕事前の賄いはありますか!」
「え、あ、あぁ、キッチンに「きゃほーい!」
「…絶対賄いで釣られましたね」
「そうね…」
「まぁ、本人も楽しそうだし、困っているのなら仕方がないね」
「お、俺があんたたちに教えてやれるのは客からもらった、ってことくらいだよ。法則がどういうものなのかは、自分たちで考えてみることだな」
「でも島の人たちはみんな知らないって言ってましたけど…」
「そいつぁ聞き方が悪いのさ、坊や。『幸せの贈り物』を探してるって聞いてみな。そうすりゃ違った話が聞けるはずだぜ」
「なるほど…私たちの聞き方の問題だったようだね」
「そうと聞いたらこうしている場合じゃないですね!」
「さっそく、島の人たちにポポンチョについて聞いてみよう」
「でも、レイカさんが…」
「大丈夫だよ」
レイカを待つアーリアにレイトンがそう言うと、アーリアは何故?と首を傾げた。
するとカウンターの奥からスプーンを片手に持ったままのレイカが顔を出してニカッと笑った。
「大丈夫だよ、アーリア!絶対見つかるから安心して!最悪、あたしがぶん取ってくるしね!」
「!はい」
「さ、彼女の犠牲者が出る前に私たちは聞き込みに行こう」
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