第九章 幸せのカタチ
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一行はマフィン屋、ではなく大通りのマーケットへ向かった。
水路を挟んで両サイドに露店がずらりと並び、呼び子や観光客がそこかしこに賑わいでいる。
しかしそこに並ぶ商品はどれもこれも卵型で、ルークが思わず大声を上げた。
「どういうことですか?エッグがこんなに!」
「どうやら、さっきの人が言っていたポポンチョの正体はこれのようだね」
「『幸運を運ぶポポンチョ人形』『ポポンチョカスタード焼』『ポポンチョ定食』…あっちもこっちもポポンチョだらけです。アーリア、どれが本物かわかる?」
ルークがアーリアに尋ねると、周りを見回した後にゆるゆると首を横に振った。
「この島から確かに聖閃石の気配を感じるけど、これだけ似たような物があっては私にも本物がわかりません」
「これは片っ端から食べていくしかないね!」
「レイカさん、よだれが滝のように流れてますよ」
「ふむ、彼女が観光地の1つになってしまう前に何か食べさせないと…」
「…レイトン君、それはもしかしてマーライオンのことかい?」
ルークが「それ僕も知ってます!」と意気揚々と手を上げ、なぜかマーライオンについて談義をしながら4人は歩きだした。
その後ろ姿をアーリアが少し不安げに見つめていると隣にいたレミがくすりと笑った。
「大丈夫よ、アーリア。心配しなくてもエッグはすぐに見つかるわ」
「どうしてそんなことが分かるのですか?何の手掛かりもないのに」
「うーん、強いて言うならレイカがやる気だからかしら」
「レイカさんが…?」
「さっきも言ってたでしょ?『誰よりも先にエッグを見つけてやる!』って」
今はガス欠みたいだけど、と苦笑いを浮かべるレミに尚も不安げにいると前からレイカがずんずんと近付いてきた。
「アーリア!今からさっきのマフィン屋さん行くって!早く行こう!早急に行こう!」
「え?あの」
「レイカ、その熱量だとアーリアも困っちゃうわ」
「ぐっ!確かに…」
「お腹が満たされればエッグは見つかりますか?」
生真面目にそう聞くアーリアに面食らって、どういう状況かとレミへ目配せすると困ったように肩をすくめた。
レイカはうむむと少し考えたが、次の瞬間にはアーリアの手をとった。
「うん、見つかるよ!」
「その自信は何が根拠なんですか?」
「あたしの勘!」
「勘…」
「あ、今ただの勘かよって思ったでしょ。あたしのは『最強』の勘だからね!」
「その『最強』の勘はエッグがどこにあると?」
「『最強』の勘は、まずマフィンを食べないとと言っている!」
「ではそのマフィン屋さんに行きましょう」
「よし、みんなでレッツゴー!!」
「うまく丸め込んだわね…」
レイカはレミの手もとって、男性陣を追い抜きマフィン屋へ駆け出した。
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