第十九章 追憶の彼方
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再び断崖絶壁に道を阻まれ、歩みを止めて少し上の方にある入り組んだ建造物をデスコールと共に見上げていた。
すると後方にいた先生とルークも追いつき、同じように目の前の光景を見た。ルークの表情を窺う限り、先ほどよりは元気を取り戻しているようだけど…
横目で様子を見ていると、ルークは奈落へ視線を落としたまま小さくため息をついた。
「また行き止まり…どうしたらいいんでしょう、先生」
「ルーク、ここは水路だ。水を通せばこの先へ渡れるようになる」
先生の話を聞いてこの断崖絶壁の正体は水の抜けた水路ということが分かった。下をもう一度覗き込んでみると暗闇の底で何かがわずかに揺らめいているのが見えた。
「デスコール、飛び降りても大丈夫な高さかちょっと飛び降りてみてよ」
「まず自分の発言が破綻していることを自覚しろ」
「高さは気になるが飛び降りるのはお勧めしないよ。おそらく対岸も同じ高さだろうからね」
残念。と呟くと隣から歯ぎしりする音が聞こえてきた。そしてさらに残念なことにデスコールとの茶番ではルークを笑顔にすることはできなかった。
怒ってはいなさそうだけど眉を下げて、いつもの調子は欠片も見られない。先生も気にしているのかもう一度「ルーク」と呼びかけて話を続けた。
「上の水路橋を見てごらん。あそこで水位を操作できる仕組みのようだ」
「水を通せば、って…そんなことしたって、何も変わりませんよ」
「でも水路なんだし水ないと渡れないでしょ」
「だって…」
すっかり意気消沈して後ろ向きルーク君になってしまっている。先に進む方法よりも、彼のエンジンをどうかけたものかと思案していると、デスコールが水路橋を見上げて軽く笑った。
「仕掛けを解けば分かることだ。私は一人でも先に行くぞ」
「先生、アイツが先に進めるとは到底思えませんので僕一人で行ってきます!」
「息をするようにディスったね」
「フフ、行っておいでルーク」
先生のGOサインが出ると、ルークはデスコールを一睨みしてから水路橋を目指し、近くにあった柱に飛びつきよじ登り始めた。怒りを気合いに変えたとはいえずいぶんとたくましいな。
それにしても、今のデスコールの煽りはやっぱりわざとなのか…?あたしたちのレミショックの時も似たようなこと言ってたし。
真意を確かめるべくデスコールの顔を見上げると反対側にいる先生もデスコールを見ていた。
「気を使わせてしまったね」
「フン、そんなことをした覚えはないが」
「デスコールって意外と空気読むよね」
「…伊達にお前たちと旅をしてきてないからな。嫌でも身に付く」
絵に描いたような素直じゃないその言葉に少し驚いたあたしと先生は、デスコールを間に挟んで顔を見合わせた。自然と上がってしまった口角のまま、上で奮闘しているルークの方を見上げた。たぶん先生も同じような顔をしているだろう。
「今のはルークにも聞かせたかったな」
「えー?デスコールのこの可愛いツンデレはルークにはまだ理解できないでしょ」
「…お前たち、ずいぶんと楽しそうだな」
デスコールの不満気な声を聞きながらルークを目で追うと、何かひらめいたのか迷うことなく枯れた水路橋を爆走し始めた。走り抜けた水路橋がところどころ崩れ始め危なっかしいなと見守っていると、無事仕掛けを作動できたのかルークが何か叫んでいるのが聞こえた。
瓦礫が落ちる音でよく聞き取れなかったがとりあえず「気をつけて戻っといでー!」と叫び返すと、ルークは残った水路橋を飛び石のようにジャンプしてこちらまで戻ってきた。こんなのクラークさんが見たら卒倒するぞ。
「よくやったね、ルーク。これで先に進めるよ」
「解けて当然といったところだが、ボウヤにしては、よくやったじゃないか」
「なんだよ、偉そうに!」
「ルークー、それデスコールなりに結構褒めてるやつだよ」
「別に褒めてもらいたくなんてありませんよ!」
「キレる十代こえー」
「それで、この後はどうやって進むんですか?」
その問いに「見ててごらん」と言う先生に、ルークは納得いかない顔をしつつも暗闇の水路へ視線を落とした。
するとみるみるうちに水面が近づいてきて、それと共に木製のボートが目の前の位置に浮かんできた。しかもご丁寧に2本のオールがボートの中に置かれている。
それを見たルークが興奮気味に先生の袖を引き指差した。
「せ、先生!見てください!」
「やはり予想した通りだね。しかし、木製の船までもが、100万年の時を越えて保存されているとは…」
「…真空パックされてたとか?」
「アスラントの技術ならばこれくらいの仕掛けは、造作もないことだろう」
「先生、ボートを漕ぐのは僕に任せてください!」
ようやく元気を取り戻し張り切るルークを見て、あたしたちは一瞬目配せして密かに笑みを零した。
これで地獄の空気から解放される…!やっぱガチ目の亀裂は気が滅入るし新たな危険フラグを生みかねないから良くないよね!
しかしこの後、レイトンを除く三人によるボートのオール争奪戦が始まることになる。
第十九章 追憶の彼方
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