第十八章 例えばの話
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人数も増えたし少しは気が抜けるかと思いきや、そんなことは全然なくて。
『………』
ルーク合流前の方が会話はあったし、このなんとなくギスギスした空気は一体何なんだ…?
あたしは首を傾げながら、前を歩くデスコールのマントを蹴りながら進むルークを見た。うむ、さっぱりわからん。
そんなギスギスパーティで歩き続けると、一際強い寒さが襲ってきた。何事かと思っていると少し広い空間に出た。
壁や地面に雪のように付いている霜や天井から貫く大きな氷柱がその寒さを表している。その奥には氷や岩ではない異質な素材の壁が行く手を阻んだ。
それよりも…
「え、これマンモスだよね?紛うことなきマンモスだよね?」
「こっちはアンモナイトですよ!」
「これは見事だな…」
天井・壁・足元と至る所に様々な化石が顔を覗かせている光景にあたしたちは目を奪われた。
もうアスラントの遺産これでよくない?これもなかなかな物では?と思ったがグラロリたちがいないということはヤツにとってはもはやアウトオブ眼中なのだろう。
「資料価値の高い化石があちこち転がっていて気になってしまうよ…」
「天然の博物館だねこりゃ」
「すごい化石がいっぱい!お父さんがこれを見たらきっと喜ぶだろうなぁ」
「保存状態はよさそうだが構っているヒマはない」
ちょっと空気が良くなったかもと思っていたら、スタスタと進むデスコールのその一言で笑顔だったルークが舌打ち+無表情になってしまった。
お前口ではそんなこと言ってるけどさっきから化石の方ずっと見てるからな。実はめちゃめちゃ気になってんだろ。
「この先がアスラント神殿なんですか?」
「氷を溶かした痕跡があるな。おそらく位置的にスノーラの氷山の下といったところだろう」
「氷の中に封じ込められたまま、ずっとここに眠っていたのか…」
「てことは神殿の上に後から氷山ができたってこと?」
「どうだろうね。そうであれば今までの仕掛けはいつ造られたのか…」
確かに、今までの道や扉はどこを目指していたのかが噛み合わなくなる。あれ、じゃあ氷山の中に神殿を造ったってこと…?
頭の上にハテナをいっぱい浮かべていると、いい着眼点だねと先生に褒められてむず痒くなった。それも相まってか新たな疑問が湧く。
「ねぇ、わざわざ神殿の前に都合良くいろんな生き物が大集合して、そのまま化石化することってあるの?」
すると先生とデスコールの足がピタリと止まった。理由は分からないが直感的に失言をした気がした。
不穏な空気に身構えると、先生が何かを堪えながらゆっくり諭すように言葉を発した。
「レイカ、君が考古学に対して鋭い疑問を持つことはすごく嬉しいよ。ただ、今はこの場を調査できないから、これ以上考古学欲を刺激するのは…」
「考古学者にとっては生殺し、ということだ」
「ごめんごめんごめん!マジでごめん!悪気はなくて……考古学欲って何」
「お前が疑問に思う通り、この場にこれだけ様々な生物の化石が同時に見つかるのは不自然だ。もしかしたらアスラント人が研究「構っているヒマ、ないって言ったの誰だっけ」
デスコールの語りを遮ったのは、無表情ブチギレルーク君。もうこえーよ、基本的に年上には敬語なのに、容赦なく敬語なしなところがなんというか…
特大ブーメランを受けて石化したデスコールを無視して、先生には満面な笑顔で「あ、先生は気にせず観察しててください!」と言う辺りも本当に恐ろしい子だよ。それにはさすがの先生も「そういう訳には…」と引き気味に言い淀んでいた。
化石ゾーンをスルーして、奥の扉をよく見てみると、翼を持った何かの像が付いていたり細かい装飾があって今までとは違う雰囲気をしていた。
「扉が閉まっているようだ。開けられるような仕掛けも見当たらない」
「へー、アスラントってオートロックなんだ」
「ブロネフたちはどうやって進んだんでしょう?」
「キーストーンは謂わば選ばれた者の証だ。あれとアーリアさえいれば、先に進む方法はいくらでもある」
「そんな、それじゃあ僕たちは先に進めないって事じゃないか!お前がキーストーンを持って逃げなきゃ…!」
「そういきり立つな、ボウヤ。さっきは道を繋げるための装置があった。今度も何か仕掛けがあるはずだ」
威嚇するルークを軽く流したデスコールは扉の上部にある装飾を観察し始めた。
どう見ても扉の真ん中にあるよくわからん文字と石盤が仕掛けなのに…この人本当に1人でアスラントのナゾを解けると思ってたのだろうか?
呆れを通り越して心配の眼差しのまま黙って見ているとデスコールの目線がようやくそこにたどり着いた。
「『鍵』を持たざる者たちよ、我らの英知を欲するならば、汝らの力を我に示せ…フン、私たちを試すつもりか。そのナゾとやら、解いてやろう」
デスコールは1人でブツブツと扉の古代文字を読みながらナゾに向きあった。
たまには役に立ってもらわないとな、と見守ることにした。しかしいつまで経っても扉は開かれず、寒さは身に染みるし隣のルークはイライラし始めるし…
「ねぇまだー?」
「うるさい、今集中している」
「デスコールなんかに任せるからですよ!もう僕が解く!」
「おい、やめ「解くも何もないでしょこんなの」
左からルーク、右からレイカがデスコールを挟んで押し合いになった。そして揉めている最中にレイカが適当に窪みへ石をはめ込み扉は呆気なく開いた。
「もう!なんで解いちゃうんですか!」
「この手のナゾは考えるだけムダだから適当にポンポンやった方が早く解けるんだよ」
「中に入ろう。待っていろ、ブロネフ」
「お前は何自分で解きましたみたいな顔してんだよおい」
3人で大いに揉めている様子を蚊帳の外から眺めていたレイトンはなんとなく疎外感を感じた。
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