第十八章 例えばの話
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ぼっちのデスコール君を加えて、あたしたち3人は開かれた扉の先へ進み始めた。
本当はレミショックからまだ立ち直ってないけど、今はとにかくグラロリに追いつかなくてはならない。
その空気を読んでか読まずか、デスコールが癇に障ることを言ってくるので物思いにふけることもなかった。
ちなみに真っ二つにされたフォルム最高の鉄パイプについては、かっこよく修理してもらうことで一発殴って平和的に譲歩した。
「やっぱデスコールの時の方が絡みやすくていいわ」
「は?」
「サーロインさんだと、あの上辺だけの笑顔が生理的に受け付けられないし、思ってもないことばっかしゃべるからイラつくんだよね」
「そんな風に思っていたのか…」
「その点デスコールだと、割と顔に出るから分かりやすいし、気を使わずに暴言吐けるし」
「確かに。仮面を着けている方が博士の時より感情が豊かだ」
遠慮もしなくていいしね、とレイトンが言うとレイカはうんうんと頷いた。
「あ、そう言えばボストニアス号ボロボロになっちゃったから直して?」
「あの耐久性の高い船を…一体どんな操縦をしたらそんな状態になる!」
「順調だったよ。着陸以外は」
「うん!むしろ途中まで動いてなかったし」
「お前たちのことだ。さぞ無茶な操縦をしたのだろう」
「操縦できるお二人さんがどこかへ行っちゃったからねー」
「フン、そんなことだからあのお嬢さんに裏切られたんだろう………あ」
「「………」」
禁句ワードによってレイトンとレイカは明らかに落ち込んだ様子で黙り込んだ。デスコールはそれを見て、しまったと思いつつ面倒だなと右手で頭を押さえた。
「裏切ってないもん…」
「なに?」
「レミは助けを求めてた」
あの時、先生とルークの言葉に少なからずとも迷いを見せた。だって本当に根っからのタージェントだったら、最初からレミの腕力で鎮圧することだってできたはずだ。
あたしの反論が気に食わないのかデスコールは鼻で笑った。
「ボウヤを人質にされてキーストーンを明け渡すことになってもか」
「あれは…ああするしかなかったの!」
「それはお前がそう思いたいだけだろう」
「うるせー!そうかもしれないけどそうじゃないかもしれないだろ!」
「二人とも、前を見てごらん」
白熱目前でかけられた先生の声にデスコールと共に前を見ると、少し先の道が途切れ断崖絶壁になっていた。
崖の下を覗いてみたけど底は見えず、冷気の霧も相まって視界が悪い。正面を見ると向こう岸の暗がりにぼんやりと青い何かが見えた。
すると先生が何かを見つけたようにハッとした。
「あれは…ルーク!!」
「え、あれルーク?ルークー!大丈夫ー?」
―――「先生!!レイカさん!!」
「本当だ、ルークだ」
「ブロネフたちの姿はないようだな。先に進んだようだが、ボウヤは置き去りか」
「ずっと人質にされるよりはいいけど、こんなところに放置もどうかと思う」
あっち、明かりないよね?と目を凝らして向こう岸を見た。
こちら側には明かりの役目なのか、崖の手前の石がわずかに光っている。改めて向こう側を見たけど明かりもなければ霧で見通しも悪い。
ただでさえ怖がりなのにこんな逃げ場のない所に置き去りなんて…とちょっとルークのことが心配になった。
すると隣で同じように向こう側を見ていたデスコールがぼそっと言葉を零した。
「それにしてもよくボウヤが見えたな。微かに青は見えても霧で何かまでは判別がつかないが」
「先生たまに超人並みの五感を発揮するんだよ。それか勘」
「現にルークだったのだからいいじゃないか」
「「(勘なんだ/なのか…)」」
何とも言えない表情でレイトンを見た二人は、深くは触れないことにした。
「ヤツらを追うにしろ、ボウヤを助けるにしろ、この断崖を渡らねばならんようだな」
「そうだな…」
「いや、そこ考えるところ?どう見てもこれでしょ」
あたしは崖の手前に立つアーチの左側にあるよくわからん装置を指差した。なんならルークを見つけるより先に視界に入るぐらいの存在感を放っている。
二人はそれを数秒見つめると、何事もなかったかのように顔の向きを崖の方に戻した。
「さて、レイトン。この奈落をどうやって渡る?」
「アスラントの人々が神殿を蘇らせる気だったのなら、必ずここを渡るための手段があるはずだ」
「おい、渡る気あんのかあんたら」
「道も探せないようでは先へ進む資格なしということか」
「現実を見れない無能どもにはその資格はないね」
「私はルークを見つけた」
「気にはなっていた」
外野がごちゃごちゃ何か言っている間にあたしはよくわからん装置を作動させた。
すると奈落から石片が次々と浮かび上がってきて橋のように並んだ。
「さすがだね」
「当然と言ったところか」
「デスコールさんはムカつくのでここから飛び降りてください」
「私だけ扱いが雑だぞ!」
突っかかるデスコールに今更でしょーと適当にいなしながら橋を渡る。意外と足場はしっかりしているけどなんで手すりをつけなかったんだと恐怖を怒りに変えて足を踏み出す。
待てよ、一気に三人も渡っちゃってるけど重量的に大丈夫かこの橋…やっぱデスコールだけでも突き落としておくんだった。
足元に不安を覚えていると向こう岸から半泣きのルークが待ちきれずに走ってきた。必然的に先頭にいる先生の足も止まる。橋のど真ん中で。
「先生!」
「ケガはないかい、ルーク」
「だ、大丈夫です」
「よかったよかった、安否確認オッケー!さ、早く渡ろう!」
「…レイカさん、本当によかったって思ってます?」
「置き去りにされたようだな、ボウヤ。なぜお前だけがここにいる?」
「…デスコール!」
最後尾のデスコールがひょっこりと顔を出すと、ルークが指を差し眉をつり上げて叫んだ。おい、ふざけんな。こんなところで火に油を注ぐんじゃない!
「先生!どうしてこんなヤツと一緒にいるんですか!!」
「フン、ブロネフを止めるという目的は同じだ。ここは協力しておいた方が賢明だろう」
「違う違う。デスコールが1人は寂しいって言うから仕方なく一緒にいるだけだよ」
「………」
これ以上炎上させまいと口を挟んで説明すると、ルークは押し黙ったデスコールへ同情の視線を送った。
これでルークは丸め込めたか。とりあえずこの場を収めて早急に橋を渡りたい…!
「だから早「だからって誰がお前なんかと!!」
「ルーク、落ち着きなさい。今はいがみ合っている場合ではない。それよりも重要なことがある」
「そうそう、早く渡ろ「アスラント文明が蘇ってしまったら、私たちはおろか、世界中の人々が助からないかもしれないんだ」
「それ今ここで話す必要ありますかねぇ!!」
全体進め!と勢いで指示するとルークが引き気味にしぶしぶ回れ右をして進み出し、ようやく向こう岸にたどり着いた。あぁ、閉塞感のある洞窟に感謝する日が来ようとは…
ルークとデスコールはあたしが荒ぶっている理由が分かっていないようだが、先生は絶対分かってて話を伸ばしてた。振り返った時に口の端が妙に上がってたのをあたしは見逃さなかった。
壁があることの喜びを感じていると、デスコールを睨みつけているルークに先生が話しかけた。
「それで、ブロネフたちは何故君を置いて行ったんだい?」
「そうでした!先生、レミさんは僕たちを裏切ってなんかいないです!」
「どういう事だい?」
「レミさんは僕を逃がしてくれたんです…」
ルークの話では、レミはアスラントに取り憑かれたグラロリを先生であれば説得できるかもしれないと希望を抱いていて、ルークを逃がすために置き去りにするよう導いた、とのことだった。
その話を聞いてあたしはそれ見たことかとデスコールの方を見た。デスコールもそれを察してこちらを嫌そうに見た。
「おい、その顔をやめろ」
「その顔ってなんですかー?」
「ブロネフたちを追いかけよう。レミの考えも、きっとそこで解るはずだ」
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