祈り
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その日は季節外れの温かさで、今季一番の強風が吹き荒んでいた。直ぐに乾いた洗濯物を取り込みながら、僕は気乗りしない君の話に相槌を打っていた。
「◯◯って△△が好きそうじゃない? 付き合ってないのに、いっつも△△の隣にいるしさー」
女の子はこういう話が好きだな。小さく溜息を吐き、風で暴れるシーツを押さえ込んだ。
「ねえ、ベルトルトには好きな子っているの?」
「……」
「……聞いてる?」
反対側の洗濯物を取り込んでいた君が、僕の様子を見にシーツをくぐって来た。
「えっ? あ、……何?」
「……ねぇ、やっぱアニが好きなの?」
「は……、な、なんで……いきなり」
「あ、耳まで真っ赤だ。図星でしょ? 可愛いー」
挑発するような微笑で指を差されているせいか、更に気が動転する。思わず片手で『待った』のポーズを取った。
「そんなんじゃ……僕の事は放っといてくれないか」
「無理よ。私、ベルトルトの事、好きなんだもん」
まるで世間話のような、サラッとしたものだった。だから君の言う『好き』の真意がわからず「あ、ありがとう」としか返せなかった。
「……」
君は一転して真顔になり、シーツの中へ隠れた。
「早く取り込も。午後の座学が始まる」
「あ、ああ」
「も〜、何これ。風強すぎて絡まった。取れないよ」
「ん、貸して。僕がやるよ」
「ベルトルトって身体大きいくせに器用だよね」
「それ、どういう意味?」
その後も、僕たちは何食わぬ顔をして過ごした。君の真意を問う事もせず、この日の記憶に蓋をした。これが後に悔いを残す事になるなんて、まだ知らずに。
「◯◯って△△が好きそうじゃない? 付き合ってないのに、いっつも△△の隣にいるしさー」
女の子はこういう話が好きだな。小さく溜息を吐き、風で暴れるシーツを押さえ込んだ。
「ねえ、ベルトルトには好きな子っているの?」
「……」
「……聞いてる?」
反対側の洗濯物を取り込んでいた君が、僕の様子を見にシーツをくぐって来た。
「えっ? あ、……何?」
「……ねぇ、やっぱアニが好きなの?」
「は……、な、なんで……いきなり」
「あ、耳まで真っ赤だ。図星でしょ? 可愛いー」
挑発するような微笑で指を差されているせいか、更に気が動転する。思わず片手で『待った』のポーズを取った。
「そんなんじゃ……僕の事は放っといてくれないか」
「無理よ。私、ベルトルトの事、好きなんだもん」
まるで世間話のような、サラッとしたものだった。だから君の言う『好き』の真意がわからず「あ、ありがとう」としか返せなかった。
「……」
君は一転して真顔になり、シーツの中へ隠れた。
「早く取り込も。午後の座学が始まる」
「あ、ああ」
「も〜、何これ。風強すぎて絡まった。取れないよ」
「ん、貸して。僕がやるよ」
「ベルトルトって身体大きいくせに器用だよね」
「それ、どういう意味?」
その後も、僕たちは何食わぬ顔をして過ごした。君の真意を問う事もせず、この日の記憶に蓋をした。これが後に悔いを残す事になるなんて、まだ知らずに。
