【五条 悟】紫煙
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高専まで後10分程まで差し掛かったとき
背後から車の排気音そして光がチラつき始める
出来るだけ目に止まらぬように
顔を背け 通り過ぎるのを歩みを緩め待つ
難なく通り過ぎたと安堵した時ブレーキランプが光り少し先で停車する
嫌な予感がして歩みを止める
案の定車の扉が開き 誰が降りてくる
「ミョウジさん お疲れ様です。」
「あぁ、お疲れ様。」
まだ互いの顔は見えない距離で声をかけてくる伏黒は少しづつこちらによってくる
「五条さんは?」
「乗ってますよ。
俺降りるんで よかったら乗って下さい。」
「気にしなくていい
もうそんなに距離もない 先に戻りな。」
パタンとまた扉の開閉音が聞こえて
誰かが降りてくる
「恵、早く帰るよ〜。
明日は朝から3人揃っての座学なんだから!」
「俺、歩いて戻ります。」
歩みを止めない伏黒に五条の声のトーンが変わる
「恵、それ以上ミョウジに近づくのはおすすめしないよ。」
お互いの顔がはっきりと見え始めると
驚いた表情を見せる
「ミョウジさん!? 怪我してるんですか?」
「いいや、してないよ。」
「恵、先に戻れ。」
「…でも「僕がミョウジと帰るから 恵はさっさとクルマで高専に戻ること。
…いいね。」
「分かりました。
何か知ってるんですよね。
戻ったら説明してください。」
まだ納得していない伏黒はそう言って 車の方へと引き返す それとは反対に近付いてくる五条を見上げる
「ハァ…しっかりしてくださいよ。」
「ごめんね。
いつも通りなら大丈夫かと思ったんだけど、今日は随分派手にやったんだね。
綺麗な顔が台無し。」
そっと手を伸ばしてきて血のこびりついた頬を撫でる
「内容的に仕方なくです。」
五条の後ろから走り出した車の音が聞こえる
「そ。じゃ、僕達も帰ろうか。」
抵抗もせず素直に抱きしめられる
嗅ぎなれた柔軟剤の香りが鼻を通り抜けていくのを感じていると高専敷地内へ転移が完了する
しばらくそのまま突っ立っていたが痺れが切れる
「顔洗いたいんで、そろそろ離してくれませんかね」
「えー、僕はもう少しこのままがいいかな。
ミョウジ、なかなか触れさせてくれないからね。」
これは聞いてくれないパターンだと察して
大きくため息をついて問うてみる
「なんで俺なんかを構うんですか。」
「…そんなの好きだからに決まってるでしょ。
周りがなんて言おうが構わない。」
「…好き…ね。」
「自分はそんな人間じゃないとか思ってるんでしょ。
でも僕はミョウジが好き…いや、違うのかもしれないね。
僕は君を守りたい。
ミョウジは変に強いから…僕のそばに居る時だけでも肩の荷をおろして欲しいんだ。」
背負い込み過ぎなんだよ。そう消え入りそうな声で頭上で囁いて優しく包み込んでくる
他人からこうされるのは正直妙な感覚でしかない
この温もりを受け入れてしまえば 自分が自分で無くなってしまうようなそんな感じがする
「もう…充分でしょう。」
どれくらいその状況を受け入れていたのか分からないが
数分はそうしていたはずだ
「…ん。顔洗わなきゃね。」
名残惜しそうにゆっくりと解かれ解放される
五条に背を向け水道の蛇口を捻り 両手で冷たい水を掬う
もうどこに付いたのかも覚えていない 血をしっかりと洗い流す
濡れた前髪ごと 水をきるようにかきあげる
「とれました?」
「んー。ちゃんとおちたよ。」
「そうですか。
で、恵には言っていいんですか?」
ポケットからすかさずタバコを取り出して咥える
「そだねー、言い逃れできそうな案があるなら言わなくていいと思うけれど?」
「案…ね。」
ボッとライターの火が辺りを照らす
「まぁ、今回に関しては言い訳も厳しいかもしれないけれどね。」
「でしょうね。」
続→