【五条 悟】紫煙
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お風呂から上がり短い髪をタオルドライしながらリビングに戻る
気持ち良さそうに眠る五条を見下ろして
タオルをソファーにかけてから
先刻投げつけた 空のペットボトルを回収しゴミ箱に入れて冷蔵庫を再度物色する
「割と食材はあるな。」
「んー。何か作るの?」
目を覚ましたらしい五条がのっそりと起き上がって伸びをしながら尋ねる
「起きたんですね、おはようございます。
じゃ、帰ってください。」
わざとらしく
「いやいや、今日から正式に僕もこの家の住人だから!」
「そーでしたね。」
何を作ろうかと冷蔵庫に目を戻す
「あれ?お風呂入っちゃったの?
起こしてよ〜。一緒に入りたかったのに!」
背後に躙り寄ってくる五条の気配に
左腕を後方に突き出し 指先から紡出した呪力の糸を伸ばす
五条本体には触れてはいないが
その周りにある無限共々五条を巻き付け動きを停めさせる
「俺 屋内戦の方が得意なんで。」
「知ってるよ。
なんせキミは僕の可愛い初の教え子なんだからね。
それよりこれ解いてよ〜ミョウジ。」
「嫌です。」
「ずーっと左手使えないのも困るでしょ?
自力で抜け出してもいいけど…家、どうなっても知らないよ?」
左手が使えないのは問題はないが 痺れを切らした五条が強硬手段に出られては不味い
本当に家を吹飛ばしなねない
そう思って ゆっくり呪力を抑え込む
五条の辺りに巻きついていた糸は解けて消えた
「んー。いい子だね!」
見計らったように後ろから飛びついて来る五条に 為す術もない自分に苛立ちを覚えながら
ため息をこぼす
「全くミョウジはため息ばっかりついちゃって〜。
そんなお疲れのミョウジに変わって
晩御飯の支度はこの僕がしてあげようじゃないの!
という訳で…」
くるりと後ろを向かされてキッチンから追い出される
「ささっと作っちゃうから、そっちで待っててよ。」
ソファーに座り込みスマホを開く
メッセージが1件
目を通せば近日中にまた1件仕事が増えそうだ
やれやれと 空腹感を誘う香りに包まれながら
タバコを咥えながらぼーっとしていると
「ちょっと会わないうちにそんなヘビースモーカーになっちゃって、お口が寂しいなら僕とキスでもする?」
後ろから 現れた五条に 煙を吹きかけ撃退する
「ケッホッ…うえっ。
不意打ちはなしでしょ!あー、目がっ!目がっ!」
涙目になっている五条を無視して
呼吸をするように煙を肺に吸い込む
「不用意に近付く方が悪い。」
「僕嫌われてんのかな?悲しっ!」
「まー、好きでは無いですね。」
「これから一生一緒に住むっていうのに先が思いやられるねぇ。」
五条を見上げて睨みつける
「誰が一生居ていいなんて言った。」
「やだなぁ、僕には逆らえないでしょ。
キミは黒兎家の人間なんだし。」
「…いつか殺す。」
「ははっ!光栄だね〜。
じゃ、僕の最期は君に預けておくよ。」
まだ少し湿った前髪を上げられて 額に唇が触れ虫を追い払うように手で払う
「食事の用意が出来たよ。
ご当主さま。」
嫌味の篭もった言い方に 苛立ちながらもそれをグッと抑え込んで
火を消しながらソファーから立ち上がり
五条の前に
「私のような若輩者の為にお手を煩わせてしまい申し訳ありません。五条 悟様。」
「っ…可愛くないなぁ…。」
「なにかお気に召しませんでしたか?
五条 悟様。」
「あー、もうやめてやめて!
家の事言ったのは僕が悪かったって!
もー、虫唾が走るからやめてくんない?」
「かしこまりました。」
ゆっくりと立ち上がって五条に向き合えば
青い瞳は寂しそうに光る
「悪かったよ、意地悪が過ぎたね。
僕が居る所で 頼むから気を張らないで、ミョウジ。」
そーっと 右頬に五条の手が伸びて
流れてもいない涙を拭うように親指が目の下をなぞる
今にも泣きそうな 淋しい顔をして
「そういえばキミが泣いてるところ…
1度も見た事ないね。」
「涙なんて遠に涸れきってしまいましたから。」
「また、悲しい事をいう。
ミョウジ、少しだけでいい。抱きしめていいかい?」
少しだけ迷って 五条を受け入れた
「…どうぞ。」
首元から 背中を包み込まれる 左側にあるふわりとした白い髪
握り締められた 手は震えている
「五条、さん?」
返答はなく 抱きしめられている力が強くなる
左肩が少し冷たい
どうするか迷ったがそっと 五条を包み込んで
頭を撫でる
「…ごめん。」
「いえ…ありがとう、ございます。」
涙を流せない 俺の代わりに
続→