一章
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家入と別れて部屋に戻って
明日提出の課題を思い出して机に向き合う
「あと半分…」
コンコンと玄関から音が聞こえて
立ち上がって玄関先へ向かう
「はーい。」
ゆっくり扉を押しあげれば
夏油がそこにいて 驚くのと同時に思い出して体温が上昇する
「赤根 大丈夫かい?
熱は…」
スっと右手が伸びて額に触れてくる
「あ、え?あの、傑くん!?どしたの?」
「熱はないのかな。
顔は赤いけど思ったより元気そうだね。」
なんのことか理解出来ず首を傾げる
「熱あるんでしょ?
硝子が見舞いに行けって…」
「え!?
熱なんか出てないよ!元気だよっ!」
「なるほど…硝子に、してやられたね。」
頭を抱える夏油に なんだか申し訳なくなって
顔を覗き込む
「あー、なんか心配、かけてごめんね。」
「赤根が謝ることは無いよ。
はー、さて。ゼリー食べるかい?」
左手に持っていたコンビニの袋を見せてくる
ゼリー以外にも色々入ってる様子だ
「うん。せっかくだから頂こうかな!
傑くん上がっていってよ。」
ハッとした顔をしてまた顔全体を抑えて俯いてしまった
「赤根、今日私は好意を伝えたばかりだよ?
そんな男を軽々しく部屋に…「そ、その事で!
…話もある…から。」
「(そういう事か…)わかったお邪魔するよ。」
「う、うん。どうぞ。」
夏油の後ろをついてリビングに向かう
机に広げた課題が目に付いたのか
「あ、そういえば提出明日だったっけ。」
「ん?あー、うん。そうだよ。」
「すっかり忘れてたよ。」
「傑くんが忘れるなんて珍しいね。
私もさっき思い出してやってたんだ。」
「そう。邪魔しちゃってごめんね。」
「ううん。大丈夫。
あ、好きな所座って。」
部屋の奥側の方に座って袋を漁ってローテブルにいくつかのゼリーとプリンを出してくれる
「色々買ってきてくれたんだね。
ほんとごめん。」
「赤根がなんともなくてよかったよ。
どれがいい?スプーンもあるよ。」
「んー、フルーツのゼリーも美味しそう…。
でもプリンも捨て難い…。」
「半分こするかい?」
「いいの?」
「もちろん。」
「じゃあそうしよ!」
難しく考えず夏油の案にのる
「こっちでいいのかい?」
ミカン パイナップル モモ等が入ったゼリーを手に取って聞いてくる
「うん。そっちの色々入ったやつ!」
「はいはい。」
ゼリーとプリンのフタを開けて
個包装のスプーンを開ける夏油はそのままプリンをすくって
「ほら、口開けて…赤根。」
「え、あっ。自分で食べ、れるよ?」
「いいからいいから。ほら。」
艶めいた声でプリンの乗ったスプーンを差し出される
どうにでもなれと思って前のめりになりスプーンに口を近付ける
「あ、あーん。」
甘く口に広がるプリンの味に緊張が解ける
「美味しい?」
「うん。美味しいよ!」
「じゃあ私も貰おうかな。」
先程陽菜が口に含んだスプーンでプリンをすくい上げて 躊躇なく 口に含む艷めく夏油をみて
両手で唇に触れる
「ッ!?」
「ふふっ、美味しいね。
赤根?どうしたの?」
「え、あ…な、なんでも…。」
自分1人 ドキドキさせられてるようで少し悔しい
「ミカンしかすくえなかったや…はい。」
ゼリーにスプーンをいれた夏油は
またこちらに差し出してくれる
生唾を飲んでから 口を開けて スプーンに当たらないよう気を付けてミカンを口に含む
「気にしなくていいのに。」
悪戯に微笑む夏油
「それほど意識してもらえたって事かな?」
図星をつかれて ミカンを味わうことなく
飲み込んで咳き込んでしまう
「ゲホゲホッ」
「意地悪しすぎた、ごめんね。」
袋からスポーツドリンクを取り出して軽く捻って 差し出してくれる
それを受け取って喉に流し込む
「はーっ」
「大丈夫かい?…ごめんね。」
「ううん。大丈夫。」
優しくしてくれる夏油に流されていたけれど
ちゃんと伝えなきゃいけない事がある事を思い出して
ペットボトルに封をして両手で握りしめながら
「あのね、傑くん。」
すぐ言葉に詰まってしまった
何を言おうとしてるのか気付いてくれたのか
「ゆっくりでいいよ。」
「あの、私……たくさん考えたし
…硝子にも相談したの。」
「うん。」
「…私にはまだ…よく分からなくて…」
「うん。」
「…硝子がね…
試しに付き合ってみればいいって…」
「うん。」
「でも、それってどうなのかなって…傑くんに悪い気がして」
「赤根。
…こっち、みて?」
頬を包んで上を向かされ夏油に目を奪われる
「私が困らせる事を言ってるのは分かってるよ。それでも 私は赤根と一緒に居たい。
赤根が好きだから。」
「…ん。」
「今は分からないなら、硝子が言った通り
試しに付き合ってみてくれないかな?」
「…いいの?」
「それでもいいよ。
いつか赤根の中で答えが出るまででいい。
まぁ、どっちにしろ諦めは悪いから。
好きになって貰えるよう努力するつもりだしね。
だから赤根…私と付き合って欲しい」
「…うん。」
「ありがとう。」
今までみた中で1番の笑顔で微笑む夏油から
目を逸らせなくて
この笑顔を忘れないように焼き付けておきたいそう思った