一章
夢小説設定
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ーーー
家入は仕事に昨日から借り出されているのは知っていたし特にやることがなかった為
教室に行けば誰かいるだろうと思って覗き込む
「ん?」
教室の窓際の席に座って読書をしていた夏油が本から目線を上げてバッチリ目が合う
「おはよう!傑くんもしかして座学?」
「おはよう、赤根。
いいや、座学は明日だろ。
単に暇だったからね、
「そっか、明日だっけ。
私も誰かいないかと思ってたんだ!」
「奇遇だね。
嬉しいよ赤根と2人っきりなんて。」
妙に色っぽい顔でそんなことを言われるものだから反応に困る
「え?あ、あ…うん。」
「顔真っ赤だよ赤根。」
「も、も〜、からかわないでよっ!」
ぎこちなく笑って夏油の前の席の椅子を回転させて向き合う形で座る
「ふふっ
可愛い反応してくれるから、ついね。」
閉じられた書店のブックカバーのついたおそらく小説であろう それを見て話題を逸らす
「何読んでたの?」
「これは恋愛小説だよ。」
「へー、傑くんそういうのも読むんだね!
意外。」
「初めて手を出したけどこういうのも結構面白いものだね。」
「そうなの!?私も読みたいかも!」
「じゃあ読み終えたら赤根に貸すよ」
「いいの!?」
「もちろん。」
「ありがとう!」
「出てくる女の子が赤根に似て可愛いんだ。」
「またそういう事さらっと言うんだから〜」
真に受けないように流すように伝える
「赤根の方が可愛いけどね。」
机に頬杖をついて熱い視線を向けられ
頬が高揚するのが分かる
「そ、そんなことないからっ!
私普通だもん!あと、近いよぉ!」
少し早口で大袈裟に顔の前で両手を振って否定する
ふふっと少し笑って両手首を掴まれて静止させられる
「大好きな赤根の顔を眺めていたいんだけど…」
右手だけが解放され
左手はそっと夏油の顔の前まで引き寄せられ
指の付け根 それも薬指辺りが今にも夏油の唇に触れそうな距離で
「…ダメかな?」
なんて懇願され 恥ずかしさで頭がパンクしたのかもしれない
「ぃいよ…傑くんなら…」
なんて目を泳がせて口走る
反応が返ってこなくてそーっと夏油を見ると
窓の方を見て口元に手を当てて 頬がほんのり赤いような夏油が目に入る
自分だけじゃないのかと思うと可笑しくて思わず笑ってしまった
「ふっ、あははは…はぁ、ごめん。
でも、良かったぁ、傑くん恥ずかしがる事なんて無いのかと思ってたから。ふふふっ」
「ふふっ
あぁ、やられたよ…まったく。
私をこうまでさせるのはキミだけだよ。」
左手は掴まれたままいつもの調子に戻る夏油に笑いかけるとはぁとため息をつかれる
「ねぇ、赤根。」
「なに?」
「嫌なら避けてね。」
「ん?」
言葉の意味を理解しようとしてる最中で夏油の整った顔が近づいてくるのがスローモーションのように見えて
迷っているうちに唇と唇が重なって 綺麗な瞳がとても近くに目に留まる
ほんの一瞬の出来事なのに時間が止まってしまったかのようにそのまま夏油に魅入ってしまった
「赤根、好きだよ。」
そう告げられてハッと我に返る
「えっと…」
すぐに返事が出来ずにいると
「返事はいつでも構わないよ。
でも覚えていて、私が赤根を好きな事を。」
握られたままの左手の甲にキスをして大きな手は離れていく
それが少し寂しいと思った
このままこの気持ちを伝えていいのか分からずにただ解放された自分の左手をそっと握りしめていた
「そう難しく考えなくていいよ。
私は赤根の顔が見れれば満足だから。
仕事があるから私は行くね…またね赤根。」
少し困ったような顔で立ち去る夏油に
「またね」と驚く程小さな声で手を挙げて返すことしか出来なかった