2章
眠れそうに無かったので
ベッドサイドに置いてあった小説を手に取って読みふけっていると
2時間ほど経ってから夏油が訪ねてきた
「悟〜?時間だよ。」
居ないのか?とこちらに歩み寄ってくる足音
チラリとカーテンが開いて
「あぁ、リアちゃん。
目が覚めたんだね、良かった。」
「はい、ご心配おかけしました。」
「大丈夫だよ。
さて、悟。やっと寝たところで悪いけど
起きな。」
グイッと制服の首元を引っ張って体制を無理やり起こさせる
「グエッ ゲホゲホッ
締まってんだよボケ!」
「あー。おはよう、悟。」
睨みつける五条の服を離して意もせず微笑む夏油
「ほら、リアちゃんは私が見ておくから
さっさと行っておいで 特級術師様。」
「けっ、特級術師ならお前もだろ 傑。
なんで俺指名なんだよ。」
「人気者は辛いね。
ま、私向きじゃないって事だろ。」
「はー、めんどくせ。」
「早く終わらせてくればいいだろ?」
「はー、行ってくるわ。」
長く息を吐いて 気だるそうに立ち上がって
夏油の肩を掴んで何か耳打ちした
「先輩、行ってらっしゃい」
「おー、すぐ戻る。」
軽く手を上げて出ていった
空いた椅子に 夏油は座る
「それ…面白くはないでしょ?」
手に持っていた小説に目を落とす
「え?
いえ、そんな事はないですよ?
あまり読まないジャンルですけどだからこそ新しい気付きがあっていいなって思います。」
「そう。
そういうのでいいなら また持ってくるよ。」
「え?あ、これ傑先輩のだったんですか!?
すみません、勝手に読んじゃって。」
慌てて閉じて返そうとする
「構わないよ。
読んでる途中でしょ、最後まで読んでいいよ。
私は何度か読み返してるし。」
「そうなんですか?」
閉じてしまった 小綺麗な小説を見つめて
大切に読んでるんだなぁっと書店の読書カバーを指で撫でる
「それにしても、リアちゃんも災難だね。
悟なんかに好かれるなんて。」
「あはは…ですね。
私なんかの何がいいんですかね?」
ハニカミながら自虐してみる
「リアちゃんは十分魅力的だよ。」
スっと伸びた夏油の右手が左頬に触れて
顔が近付いて 五条とは違った香りが鼻腔を満たす
「私に…乗り換えてみるかい?」
「えと…」
なんて返せばいいのか分からずに目を逸らす
「ふふっ
困らせてしまったかな。すまない。」
ゆっくり離れていく手に寂しさを感じて
自分の手を握る
「あ…いえ…」
「リアちゃん」
優しい声で名を呼ばれて顔を上げる
「好きだよ。
奪い去ってしまいたいくらい。」
寂しさと愛おしさが混じった瞳は
私を捉えて離さなかった
「あ、の…私…」
「これからは悟だけじゃなくて 私にも目を向けてくれれば それで…いい。」
「はい…。」
「ありがとう。」
「いえ、こちらこそ…ありがとうございます。」
「意識してもらえるだけで光栄だよ。
さて、困った顔も可愛いけどこれくらいにしておこうか。
リンゴ食べるかい?確か硝子が置いていってたはず。」
ベッドサイドの下の扉を開いて物色し始める
「あ、はい。いただきます。」
「うん、あった。
少し待ってね。」
手際よくリンゴの皮を向き始める夏油につい見惚れる
「ありがとう…ございます」
「そんなに見つめられると恥ずかしいね。」
ハッとして手の中の小説に目を落とす
「すみません…」
「ふっはははっ」
笑いだした夏油に目線を戻せば
「いいよ。
もっと私を見ていてくれても。」
とても優しい笑顔を向けられて
本気が伝わってきて 恥ずかしさと申し訳ない気持ちでモヤモヤとした時間を過ごした
ベッドサイドに置いてあった小説を手に取って読みふけっていると
2時間ほど経ってから夏油が訪ねてきた
「悟〜?時間だよ。」
居ないのか?とこちらに歩み寄ってくる足音
チラリとカーテンが開いて
「あぁ、リアちゃん。
目が覚めたんだね、良かった。」
「はい、ご心配おかけしました。」
「大丈夫だよ。
さて、悟。やっと寝たところで悪いけど
起きな。」
グイッと制服の首元を引っ張って体制を無理やり起こさせる
「グエッ ゲホゲホッ
締まってんだよボケ!」
「あー。おはよう、悟。」
睨みつける五条の服を離して意もせず微笑む夏油
「ほら、リアちゃんは私が見ておくから
さっさと行っておいで 特級術師様。」
「けっ、特級術師ならお前もだろ 傑。
なんで俺指名なんだよ。」
「人気者は辛いね。
ま、私向きじゃないって事だろ。」
「はー、めんどくせ。」
「早く終わらせてくればいいだろ?」
「はー、行ってくるわ。」
長く息を吐いて 気だるそうに立ち上がって
夏油の肩を掴んで何か耳打ちした
「先輩、行ってらっしゃい」
「おー、すぐ戻る。」
軽く手を上げて出ていった
空いた椅子に 夏油は座る
「それ…面白くはないでしょ?」
手に持っていた小説に目を落とす
「え?
いえ、そんな事はないですよ?
あまり読まないジャンルですけどだからこそ新しい気付きがあっていいなって思います。」
「そう。
そういうのでいいなら また持ってくるよ。」
「え?あ、これ傑先輩のだったんですか!?
すみません、勝手に読んじゃって。」
慌てて閉じて返そうとする
「構わないよ。
読んでる途中でしょ、最後まで読んでいいよ。
私は何度か読み返してるし。」
「そうなんですか?」
閉じてしまった 小綺麗な小説を見つめて
大切に読んでるんだなぁっと書店の読書カバーを指で撫でる
「それにしても、リアちゃんも災難だね。
悟なんかに好かれるなんて。」
「あはは…ですね。
私なんかの何がいいんですかね?」
ハニカミながら自虐してみる
「リアちゃんは十分魅力的だよ。」
スっと伸びた夏油の右手が左頬に触れて
顔が近付いて 五条とは違った香りが鼻腔を満たす
「私に…乗り換えてみるかい?」
「えと…」
なんて返せばいいのか分からずに目を逸らす
「ふふっ
困らせてしまったかな。すまない。」
ゆっくり離れていく手に寂しさを感じて
自分の手を握る
「あ…いえ…」
「リアちゃん」
優しい声で名を呼ばれて顔を上げる
「好きだよ。
奪い去ってしまいたいくらい。」
寂しさと愛おしさが混じった瞳は
私を捉えて離さなかった
「あ、の…私…」
「これからは悟だけじゃなくて 私にも目を向けてくれれば それで…いい。」
「はい…。」
「ありがとう。」
「いえ、こちらこそ…ありがとうございます。」
「意識してもらえるだけで光栄だよ。
さて、困った顔も可愛いけどこれくらいにしておこうか。
リンゴ食べるかい?確か硝子が置いていってたはず。」
ベッドサイドの下の扉を開いて物色し始める
「あ、はい。いただきます。」
「うん、あった。
少し待ってね。」
手際よくリンゴの皮を向き始める夏油につい見惚れる
「ありがとう…ございます」
「そんなに見つめられると恥ずかしいね。」
ハッとして手の中の小説に目を落とす
「すみません…」
「ふっはははっ」
笑いだした夏油に目線を戻せば
「いいよ。
もっと私を見ていてくれても。」
とても優しい笑顔を向けられて
本気が伝わってきて 恥ずかしさと申し訳ない気持ちでモヤモヤとした時間を過ごした