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2章


目覚めるのに数日かかった

ぼーっとした頭で目線を動かせば
隣で 酷くやつれた顔で目尻が光る 五条の姿

「さ、とる…せんぱぃ?」

「ッ!?…リア!?」
綺麗な瞳が見開く
ゆっくりと上半身を起こす
「はい、リアですよ。」

言い終わる直前で背中は再びベッドに沈みこまされる

「先輩、重いです。どいてください。」

「うっさい、ちょっと黙ってろ。
…どんだけ心配したと思ってんだよ、バカ。」

首元から頭を包み込む腕の力が込められる

「えーと、心配お掛けしました?」

「なんで疑問形なんだよ、バカ。」

「なんで私、また医務室にいるのかちょっと分からなくて…。」

「覚えてねぇの…?」
腕が緩んで 驚いた顔の五条と目が合う

「えぇ、残念ながら全く…記憶に無くて。」

盛大にため息をついて 椅子に背を預けて天井を仰ぎながら事の顛末を話してくれた。
着替えて戻ってきたが 返事が返ってこなかったので 部屋に上がってみれば
バスタオル1枚巻き付けたまま 倒れてたので
急いで 家入の元に運んだが
「はっ ゲス。 リア置いて消えろ。」等と罵られて説明に時間がかかって治療が遅くなった事
翌日 夏油や夜蛾からも いじられたらしい

大きく脱線したが要約すると
薬物投与により昏睡していた
高専内こそ危険
という事らしい

「なるほど…そうだったんですね。
なんだか色々お疲れ様でした。」

「全くだわ。」

「悟先輩」

「ん?」とようやく天井からこちらを見た五条に
改めて感謝を述べる

「ありがとうございました。
悟先輩が居てくれて助かりました。」

「お、おう。」
目を丸くする五条に少しムッとして

「なんでそんなに驚いてるんですか」

唇に手を当ててそっぽを向く
「そんな 素直に感謝されると思って無かったから。」

チラリと見える耳が赤い様な気がした

「それより先輩、ずっとついててくれたんですか?」

「別に…」

「私はもう大丈夫なので 少し休んでください。」

「はぁ〜
そうするわ。」
大きく息を吐き出してベッド脇に腕をついて背中を丸める

「ここで寝るんですか?」

「言ったろ、高専ここも安全じゃねぇんだよ。
またお前に何かあったら…困るし。」

照れ隠しのように突っ伏してしまう。

「ふふっ、おやすみなさい。」

ふわりとした白い髪に手を伸ばして撫でる
抵抗もせず撫でられていた彼が眠るまでそうしていた
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