2章
翌朝 ゆっくりまだ重い瞼を開くと
五条の腕枕で眠っていたらしく
眼前にすやすやと眠る五条の姿が目に入って
驚くと同時に息を飲んだ
綺麗な顔立ちだとは思ってはいたが
こんな至近距離で見つめる事はなかったため
まじまじと観察してしまう
(まつ毛長い…髪も陽の光ですごく綺麗…
肌も白くて綺麗ですし…)
自然と五条の顔に手が伸びる
(って危ない。何してるんですかっ私!
…触っちゃダメですかね?…ちょっとくらい…)
頬にかかる髪にそっと起こさないようによけるように触れてみる
思った以上に柔らかく滑らかな肌に目を見開く
(スベスベ肌…もう1回触りたい…)
伸ばしたままの行き場を無くした手を見つめながら葛藤していると
んっと眠ったままの五条にぐっと引き寄せられ
吐息が額にかかりあと数cmで唇が触れてしまいそうな距離で 足も絡んでくる
伸ばしていた手は引っ込みそびれ 五条の頬に触れている
(…起きたわけではないんですね…
にしても ち、近い。…あと手が辛いぃ…)
鼓動が早くなっているのが分かる
冷静を取り戻すのを優先したために 動くに動けなり 変な角度で伸びた手が痺れはじめる
限界をむかえて引っ込めれば
起こしてしまったらしい
「んっ んん?…りぁ?」
「おはようございます。
先輩…離してもらえると助かるのですが。」
寝惚けたままの五条の胸元に向かって喋る
「あー……んー、無理」
五条はまだ働いていない頭で思考した結果
もう少しこのままでいることを選択し
より一層引き寄せて 夢川の額に唇が触れる
「いや、あのっ!
先輩!起きて下さい!」
抵抗する幅もないほど密着しているので
先程より少し声を上げる夢川
「あと5分…」
「え? 2度寝するんですか!?」
「どうせやる事ねぇだろ。
…もう少し寝ようぜ。
ふわぁあ
お前いると 俺も寝れるっぽいし。」
「えぇーっと」
「とにかく俺はもう少し寝るから。
抜け出したきゃ勝手に抜け出せ、おやすみ。」
そう言い放って抜け出しにくくしてから
しばらくして ずっしりと五条の重みを感じ
2度目の眠りに落ちたことを知らされる
抜け出すにもよろしくない体制でホールドされているため
現状について考える事を諦めて目を瞑っていることにした
落ち着かない胸の高鳴りも そのうち忘れ
また闇の中へと夢川もおちた