2章
あの状況から眠れる心境では無かったが
追い返す術もなければ 策も尽く砕かれた為
そんなに広くないベッドで
高身長の男子と背中合わせで寝転がっている
(なんで?なんで?なんでこうなったんです?
そもそもなんで急に告白なんて…
ましてや私のファーストキス…あああぁ)
と1人脳内で葛藤していれは五条が口を開く
「なぁ。」
「は、はい、なんですか?」
「なんでそんな動揺…」
理解が及んだのか すかさず謝ってくる
「あー、そりゃそうだよな。悪ぃ。
でさ、お前俺と組む気ねぇ?」
ごちゃごちゃした頭では理解が追いつかず
返答せずにいると続けて
「俺のそばなら そう簡単に殺られることねぇから安全だし、俺が守ってやれるし。」
お前そこそこ強いから 何とかするんだろうけど
とボソッと呟くのを聞き逃さなかった
「あははっ
ありがとうございます。」
「んじゃ「でもお断りします!」
「んだよ…。」
「傑先輩が手を焼いてるんですよ?
私嫌ですよ〜。」
「お前な」
ピリリと殺意を感じる
「でもお気持ちはありがたいです。
ありがとうございます、さとるせんぱいッ!」
はっと鼻で笑われる
「わーった。
でも何かありゃ俺に言えよ。」
「わかってます。」
「1番に!真っ先に俺な!」
「はーい」
生半可な返事をして
預け合った背中から伝わる暖かい五条の体温を感じる
「死んだら殺すからな」
「ふふっ
死んでるのにどうやって殺すんですか?」
「うっせぇ。とにかく死ぬなよ。」
「もし私が死んだら悟先輩はどうするんですか?」
「あー、とりあえずお前殺した奴を殺す。
それを依頼したやつも殺る。」
「じゃあその復讐が終わったら?」
「…そうだな。
お前のとこに行く。」
「あはは
随分好かれてるんですね、私。」
「そーだよ。好きなんだよ諦めろ。」
「またそんな理不尽な…」
笑い混じりで返す
「別に好きなやついねぇんだろ。」
「まぁそうですけど。
少し寂しいですけどあまり皆さんと顔を合わせて過ごす時間ないですし。」
「そういやお前 ずっと仕事に借り出されてるよな。」
「ですね。
テストは受けてますよ?
仕事の書類と一緒に渡されるので。」
「へー。
そういや来週テストかダル」
「いいじゃないですか。
教室でやるんですよね?羨ましいですよ。」
「マジで言ってる?あんなんダルいだけだろ。」
「学生って感じがあっていいじゃないですか!」
「んだそれ。わかんねー。」
背中合わせで他愛ない話を続けて
どれくらいの時間が経ったのか
いつの間にか夢川は眠りにおちた
「寝た…か。」
返事がなくなり
五条は上半身を起こして眠る夢川を確認する
そーっと体の向きを変えて転がり腕を忍ばせて後ろから抱きしめる
「同じ寝床に入れる時点で思ってたけど
ほんと無防備すぎ」
静まった部屋にすぅすぅと夢川の寝息だけが響く
五条は長い髪に顔を埋める
「このまま時間とまんねぇかな」
らしくないなんて自分で突っ込みながら
祈るように目を閉じた