2章
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例の廃工場での出来事を夜蛾先生に報告し
念の為と2日間休養を与えられた
久しぶりでもないのに懐かしく感じる自室のベッドに転がり胸が高鳴る
「明日から久々のお休みです!!」
嬉しくて枕に顔を埋めて視界が暗くなり冷静になる
「あれは一体…なんなんでしょう。」
高専で目覚めて夏油に触れたあの瞬間の映像
そしてその後からの 夢
「どこまで行っても暗闇なんて変な夢ですよね。」
枕を抱えたまま仰向けになって天井を見つめているとこちらを見下げる五条の顔が現れる
「元気そうだな。」
「へ?」
咄嗟に抱えた枕を投げつけて起き上がる
「な、なんで私の部屋にいるんですか!?」
「いってぇな。返事ねぇから勝手にあがった。悪かった。」
五条が珍しく素直に謝るので思考が止まってしまう
「へ?」
「なんだよ。」
「あの、悟先輩熱でもあります?」
「あ?俺をバカにしてんのか?いい度胸じゃねぇの。」
馬乗りになって両頬をつねられる
「痛いです。ふみませんでふたっ!」
「ったく。マジムカつく。」
久々の両頬への痛みから解放され頬を擦りながら五条を睨みつける
「手加減してくださいよ、地味に痛いんですからね!」
「へーへー。
で?変な夢ってなに?」
ゆっくり夢川の足の上から退いてベッド端にこちらに背を向けて座る
「え?聞いてたんですか?」
「だから声掛けても出てこなかったのお前だろ。
鍵も開いてたし、お前命狙われてんの分かってんのかよ。」
「え?私鍵閉めましたよ?」
「は?開いてたけど?」
顔を見合わせて2人して青ざめる
「しばらく高専居るんだよな?」
「はい、とりあえず2日間は居れます。」
「もう12時前か…硝子寝てるだろうし起こしたらめんどくせぇんだよな。
明日は硝子の部屋に泊まれ、今日は俺が居てやるから。」
「え?悟先輩ここで寝るんですか?」
「高専の中も安全じゃねぇんだよ。こうなったらむしろ高専の中の方が危ねぇかもな。」
「あのー、やっぱり撤回し「無理。」
「即答しないで下さいよ。
ハァ…なんで私がこんな目に合わなきゃいけないんですか…」
「なぁ、リア」
天井を見つめて問いかけてくる五条の方をむく
「なんですか?」
しばらく沈黙が流れてゆっくり夢川の方を向いて
上半身を覆いかぶせてくるので肘そして背中頭とベッドに包み込まれ逃げ場が無くなる
「あ、あの、先輩?」
サングラス越しに綺麗な瞳と目が合って鼓動が早くなる
「俺、お前の事好きなんだけど。」
「へ?」
「別に返事は今はいらねぇ。
けど本気で俺が嫌なら拒めよ。」
ゆっくり顔が近づいてきて唇が重なる
何が起こっているのか分からなくて
頭が真っ白になる中 胸の鼓動だけがうるさくて
「お前、顔真っ赤じゃん…」
人に言えないくらい同様に頬の赤い五条が優しく微笑む
「せ、先輩こそ赤いですよ…」
振り絞るように顔を背けて言い返してみる
すっと五条の右手が頬を撫で顔の向きを戻され再度サングラスを外した五条と目が合う
「言っただろ、リアが好きなんだよ。俺は。」