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1章


ーー

「…ここは?」
ふと目を覚ますと見慣れない天井とカーテン
隣に目を向ければ椅子に座って眠っている夏油

「傑先輩?…高専に戻されたんでしょうか?」

ぐーっと伸びをしてベッドをおりて眠っている夏油の方へ歩く

(どこも痛くない…ちゃんと…治ってる)

足と腕を組んで眠る夏油の顔を覗き込んで頬に触れる

瞬時に世界が切り替わって
見たことの無い1面の椿の咲き乱れる場所で
夏油がいつもの優しい笑みでこちらを向いて名を呼んでいる

スキダヨ
そう夏油の口が動いたが声が聞こえなくて

「リアちゃん…
男の顔なんて見つめるもんじゃないよ」

頬に触れていた手を掴まれ現実に引き戻される

「あ、え?」

「残念、起きてたよ。
何してくれるつもりだったのかな?」

「え!?いえ、何も…」
意味深な問いかけをしてくるので急に恥ずかしくなる

「ふふっ
冗談だよ。真っ赤になっちゃって可愛いね。」

手首を握られたまま 空いた手で頬に触れられる

タイミングよく扉が開いて誰かがこちらに歩いてくる

「傑〜、あいつまだ寝て…何してんだよ…」

「残念…悟来ちゃったね。」

「悟先ぱわぁっ!?」
夏油に掴まれた手首をひかれて体制を崩し
夏油の胸で受け止められる

「傑、なにしてんだよ」

「私ならリアちゃんをこんな目には合わせないよ。」

「へー。」

殺気が背中でぶつかり合っているのを感じて
気が気じゃない

「おーい、お前らリア一応怪我人なんだけど。
やるならお前らだけでやれよ。」

家入の助け舟が入りホッとする

「ほら、傑。リアこっちよこせ」

無事家入に保護される夢川
よしよしと頭を撫でられる心做しか涙が溢れ出そうだ


「表でやれよー。」

「行こうか、悟。」
「勝手に行けばいいだろ」

ガラガラとまた扉の開く音が聞こえて

「なんだ?揉めてんのか?青春してんなー!!
あ、でも外でやれよー。
お、リアちゃんもう起きてるのか!」

「清水さん、心配おかけしました。」

「ほんとびっくりしたよ。
でももう元気そうでよかったわ。」

未だに殺気立って睨み合う五条と夏油の間に立って
「悟先輩、傑先輩
あのご心配おかけしました!」

深々と頭を下げる
2人ともキョトンとして
「大丈夫、リアちゃんが無事でよかったよ。」
「無駄に心配させんじゃねぇよ」

「あはは…」

その後も夏油と五条が険悪な雰囲気ではあったが
家入がいつもの事だからと言うので
なんとも言えない空気の中
清水が持ってきたゼリーをみんなで食べた


一章 END

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